大阪都構想の賛否を決める住民投票の投開票日。永田町の情報に強い友人が来姫。大阪都構想の住民投票に関しても教えてもらう。

期日前投票が始まる前の9月あたりからの世論の動向について。当初の世論調査で予想外に反対が多いと感じたが、それでも賛成が15%程度多かった。しかも、反対の中核である自民党の府議団で賛否が別れているとか一枚岩ではないという報道も出ていた。また、この都構想については5年前に一度住民投票があったことから、既に都構想のメリット・デメリットは知られているはずで、新しいことも区割りの変化くらい。吉村知事人気が続くだろうからあと1ヶ月くらいで世論が大きく変わることはないだろうと。しかも当時反対した公明党が賛成に回っている。秋に再度の住民投票を設定したのは今やれば勝てると読んだ維新の判断だったと思う。私も同様に予想し、当日記でも賛成派が勝つだろうと書いた。

20時に投票が締め切られ、21時から開票が始まってからも市内でネットとテレビで二人で固唾をのんで見守った。NHKサイトの開票速報ではでは当初から賛成がやや多く、22時を過ぎても1万票弱賛成が多い状況が続き、別のところで見守っていた同僚とも、このまま賛成が勝つかなと見ていたが、突然、22時40分ごろテレビで都構想否決確実の速報。ネットでもほぼ同時刻に同様の見方が示された。

NHK開票速報サイトで「多数確実」の速報がでた瞬間

賛否同数で積み上がった票数で公表されていたいくつかの区の開票が進み、実際は反対の方が多い区が多かったのだろう。最終確定後もやはり接戦だったが、接戦とはいえ前回より差が開いたというのは驚いた。吉村人気があっても、公明党の翻意があっても、それとは別の判断を大阪市民がしたということだろう。驚いた。

兵庫県でも流された都構想に関するCMやニュースでは地域政党維新の会の代表の松井大阪市長が中心だった。今回投票したのが大阪市民なのだから大阪市長が全面に立つのも当然だが、今思えば、松井市長が否決されれば政界引退と退路を断ったのもどうだったか。

世論調査は投票日が近づくごとに賛否の差が縮まり、最終盤には逆転の兆候も出ていたことから、吉村代表代行を全面に出して勝負するという方針転換をしなかったことを僅差だけに悔やんでいる人も内部にいるかもしれない。とはいえ、維新は結党当初から名実ともに松井代表が仕切っていると聞く。その判断は簡単ではなかっただろう。

今後は、維新内部はともかく大阪市長として統制力の低下は免れないだろう。選挙最終盤に大阪市の財政局長が単純に市を4分割すれば基準財政需要額が200億円以上増えるというコスト増の回答をメディアにしたという話があった。すぐに撤回されたが、この時期にこの回答をすることがどれだけの政治的メッセージになるかは誰でもわかる。敗北により引退を明言した人が市の内部でいまの力を持ち続けるのは簡単ではない。

また、都構想勝利、公約実現、次いで、他府県から全国への党勢拡大という維新のシナリオは今回の投票結果で大きく損なわれると思われる。また国政では、複数の政治評論家などが「維新(カード)は菅総理の持つジョーカー」だがこれでかなり弱くなるという解説している。その通りだろう。さらに他府県への拡大という点では、来年夏の兵庫県知事選挙が大きな試金石と見られてきた。今回の都構想の投票結果は単に都構想の実現可否にとどまらない大きな影響があるということだろう。

予想を外したことをお詫びしたい。全て大阪市民の判断だから尊重する。都構想は今後も大阪が政治の面でも東京に次ぐ扱いになれる可能性があった。もう都構想が3度目の議題になることはないという。その点でも今回の選択には驚いた。