朝一から関係各所を訪問。様々な相談対応や意見交換など。コロナで一定の自主規制をしているが、様々な案件がある。



夕刻まで。

途中、あるところで旧知の先輩方らと懇談。総裁選の話になる。その中の一人の自民党員の人が兵庫県連が行う総裁選予備選挙の投票用紙(返信用葉書)を持ってきていた。

頼まれた人はいるがその人より意中の人がいるので、その候補に投票しようと思うが…と。返信用ハガキによる無記名投票だが、心配があるという。無記名だが、ハガキにあるバーコードで誰が誰に投票したか把握されるのではないかと…。

投票用紙たるハガキを見せてもらうと、表の宛名面の下にバーコードがあった。すぐさま、「このバーコードは郵便料金を大口割引にするために印刷してあるバーコードです。宛先がどこか以外の情報はありません」と教えてあげた。

投票の秘密が守られることがわかったようで意中の人に投票をされるようだ。あのバーコードが個人情報管理に使われると思われているのか。私は大口郵便を使う機会があるので知っているが普通に生きていたらあのバーコードは何だろうと思って不思議ではない。勉強になった。

そうそう、今日は自民党の総裁選の告示日だ。何よりもまず菅候補陣営の選挙対策本部の役員体制に注目だ(恐縮だが、この陣営の推薦人リストに注目してもあまり意味はない)。

勝利は確定しているのでどんな支え手、担ぐ人がいるのか、派閥から派遣されて名前を貸している人を除いて体制がとれているのか。役員体制で一定の判断ができる。

「菅義偉」選举对策本部役員
令和2年9月4日

選挙対策本部長 小此木八郎

事務総長 山口 泰明

副事務総長 松野博一 平沢勝栄 棚橋泰文 坂本哲志 松下新平 桜田義孝

常任幹事 越智隆雄 関芳弘 上野通子 伊藤忠彦 片山さつき 松本純 武見敬三 木原稔 牧野たかお 田野瀬太道
 園田修光 佐藤勉 土屋品子 三原純子

事務局長 吉川貴盛

事務局長代理 坂井学

事務局次長
田畑裕明(地方票) 堀井巌(集会)  武部新(地方票) 井上貴博(地方票) 笹川博義(地方票) 石原宏高(集会) 田中良生(SNS) 島村大(職域)

本部長の小此木さんは自身が秘書を務めた代議士の息子さん。次いで名前のある山口代議士は党組織対策本部長。長らくこの立場を務め各種団体に睨みの聞く人らしい。中心はここということになる。あと派閥の割り振りメンバーを除けば、派閥の力を借りずにとか、自信をもって言えるものではない。担ぐ人の体制は覚束ないと見られるだろう。

早期解散説が様々なところから出ているのがこれを見てもよくわかる。連立を組む公明党からは幹部から早期解散に反対する声がずっとあがっている。準備が整っていないので早期解散を本当に心配しているからだ。

派閥に気を遣わずに内閣を構成、施策を進めるには解散しかないだろうと逆に予測されてしまっているということだ。陰のリーダーが仕切るのはあり得ない中で、先週記者会見した領袖メンバーたちに好き勝手やらせれば船頭多くして…になる。

一方、石破候補も立候補届けをされていた。こちらも役員体制のペーパーを見たが、基本的に自派閥の方(岸田陣営も同様)。また推薦人だが、立候補に必要なのは20人の国会議員。自らの派閥議員では足りない石破候補だが、兵庫10区の渡海紀三朗代議士も推薦人に名を連ねたようだ。石破さんのすぐ後ろでテレビに映っていた。ある人が指摘してくれた。

渡海代議士と石破候補は初当選が同期。2人は1980代のリクルート事件に際して、自民党の「政治とカネ」の問題を解決するため自民党の若手議員が立ち上げた勉強会「ユートピア研究会」のメンバーだ。

ユートピア研究会では、その名の通り理想論を語り、政治とカネの問題をまずオープンにした。当時は5当4落とかいう角さん時代の話こそ過去の話になりつつあった(選挙に5億円かけると通るが4億だと負ける。さすがに当時は角さんの時代とは既に変わっていて激しい中選挙区でも2当1落とかだった思う。昨年の広島参院選の1.5億は全県とはいえ近年珍しい金額だ。しかも表。また、角さんの時代の総裁選と言えばカネが動くこともあっただろうが今はさすがにないだろう)。

とはいえ、当時は政治とカネの話は当たり前で、ユートピア研究室は自民党らしくなく斬新で、新聞などでも取り上げられていた。当時の当選1回のユートピアのメンバーが今年のある特捜部案件で名前が上がっていたときには、時代を感じたものだ(事件化なし、事実関係不明)。

当時、ユートピアのメンバーは自民党の改革が党内からは難しいと判断すると渡海代議士を含む多くのメンバーが自民党を離党し、武村正義代議士や鳩山由紀夫代議士らと新党さきがけを立ち上げた(石破候補はさきがけには入党せず、宮澤内閣不信任案に賛成して、新進党に合流)。

新党さきがけに到ったユートピア研究会の理想論。私の中できれいすぎる話は、どうも肌に合わなかったので、当時、同じ自民党を割って出た田中派系の新生党のほう、奥田先生の事務所や新生党学生塾に入った。ユートピアの鳩山代議士ら若手国会議員の理想論は当時「ソフトクリーム(のように甘い)」と言われたものだ。

当時の日本の第一の政治の論点は、政治とカネの問題の根本とも言われた政治改革、特に選挙制度改革だった。当時の中選挙区制は同じ自民党の人間が同じ選挙区で争い、政策ではなく有権者へのサービス合戦で金まみれ選挙になる。小選挙区を導入すればこの問題が解決できると(政治とカネは一定きれいになったが、小選挙区は域内でピラミッド化し、江戸時代の藩のように世襲が座りよく、新しい活力が入りにくくなっている[実力が伴えば何の問題もないことを付言しておく])。

そうそう、当時、自民党の国会議員は小選挙区制を巡って分裂したが、自民党の学生組織でも日本新党、新党さきがけ、新生党、はたまた自民党学生部にそのまま残る人に別れた(なんと学生の分際で多数派工作もあった笑)。

選挙制度改革を巡っては、国会議員への守旧派、改革派といったレッテルはりが行われた。改革派が我々から見れば正義だった。若くして守旧派に残っている人で魅力のある人はいなかったと記憶している。学生運動みたいなものだろう。理想を追うのが普通で、当時の中選挙区制の現状を肯定する若い議員なんて魅力がなかった。まだ1993年初当選組は寄ってなかったが(苦笑)。

石破代議士を見ていると今でも理想を追っているなと感じる。

昼食は網干のマドリードでスパゲティ&唐揚げ。