この間、県警本部から連絡があった。神戸西警察署の新型コロナウイルス感染について。感染拡大と報道されている会合にかかる署と本部の事実関係の齟齬について。警察官の感染については予算委員会で質問したが、別の理由で大きく報道されているのは残念だ。

特措法に基づく民間の店舗等への休業要請の問題。東京都の方針に合せて関東では千葉県も休業要請を行うこととなった。近畿圏の大阪府、兵庫県も感染者は増え続けているのでこれを行うことになろう。

あとは休業要請に協力した店舗等への補償の問題だ。国が出さないと強く決めている以上、自治体が出す出さないを決定するしかないが、東京都が協力金を50万〜100万円出すなど自治体の財政状況によるというのは酷すぎる話だ。

本来の自治は違いがあっていいというものなのだが、日本国内はほぼ同一の住民税の税率であることからやるせない。要請によるものとはいえ、経済活動を自粛してほしいと依頼するのだから、私有財産の一定の毀損(私権制限)と捉えて都のような協力金を出すのは憲法の規定とも合致すると考える。

○日本国憲法第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

ちなみに東京都の協力金予算額は約1000億円とも報道されている。他の府県で頑張って対応できるのは財政調整基金だけの現状では大阪府くらいだろう。とはいえ大阪府はしないと言っている。昨日の当日記でも兵庫県の財政状況について示したが宣言7都府県の中でもワーストの状況。無理だ。国からの交付金をこうした財源に充当出来るようにしてもらわないといけない。

また、自治という観点の話でもう一つ。特措法では知事に権限が与えられているとはいうものの、規制の強弱について独自の基準を設けると強い批判が出る。特に軽い規制は批判され、より厳しい方に寄る。

国の想定より休業要請が早くなったこと、当初反対していた関東の4県がすぐに東京都に合わせる方針に翻意したこと、学校休業延長継続など全て住民の声の反映だ。いまそんな状態にある。

学校の休業延長問題では、「再開して学校で感染したら責任がとれるのか?」という保護者の電話が学校にあったという。登校日の設定にしてもしかり。感染を恐れて入学式を欠席したという親子が実際にいたという。我々にもそうした声が届く。こうした声が決定権のない現場にまでもちこまれたら混乱や不信しかもたらさず、現場が持たない。

新たな規制などをする時は十分に調整してできる限り同じようにするべきだ。テレビ会議ができるのだから。


また、生活困窮する個人向けの給付金制度の詳細も決まった。

財源は4兆円だが、世帯あたり30万円の定額支給なので

3.9兆÷30万=1300万

つまり財源から逆算すると最大1300万世帯に支給可能である(報道では4兆円でしたが、旧 4兆÷30万≒1333万、国の通知を見ると事務費を含んでいたため給付額を3.9兆円に修正しました)。


これは5,853万世帯(2019年1月1日現在。154万の外国人世帯を含む。官房長官の会見で2009年の定額給付金の際と同様に外国人も対象とする方針が示されている)の何%になるのか。

1,300÷5,853≒0.222
約22%だ。

支給基準は最下段のリンクを参照頂きたいが、世帯への支給なのに世帯主だけの減少率を採用し、配偶者分を合算しないなど制度に穴がある(支給を急ぐためだと思うが)。

一方、そもそもコロナの影響を収入面で受けないということで給付金が支給されない生活保護世帯は164万世帯(2018年度平均)ある(増えたと感じる)。

164÷5,833≒0.0281
3%

また、年金受給のみで生活し、働いていない世帯も同様の理由で支給対象外となる。高齢者世帯数は1,406万。生活保護などを受ける無年金者を除く高齢者世帯のうち、総所得に占める公的年金・恩給の割合が100%の世帯は51.1%(いずれも2018年国民生活基礎調査)ということから

1,406×0.511≒718.466
718÷5,833≒0.123
12%

3%+12%=15%
生活保護世帯数と年金のみで生活している高齢者世帯は15%程度おり、少なくともこの方々は支給対象ではない。また、公務員も対象外だが世帯主が公務員というデータはないのでわからない。

そんなことを踏まえると、低所得の高齢者世帯等を除く85%が理論上は給付金制度の対象となるが、収入が減少するという条件を課して、公務員や大企業で働く人を対象から外すとともに、非課税世帯の収入の水準の2倍までを支給対象とすることで、一定の所得制限を設け、22%の世帯まで給付を受けられる枠を設けたということだろう。

ちなみに判断基準の一つとなっている住民税非課税世帯はいま現在どのくらいの比率なのだろうか。

住民税非課税世帯数は自治体によって若干基準が異なるため統計がなく推測するしかないが、下記論文から推測すると直近では若干増えて全世帯比で16%程度とみられる(高齢者が多いため住民数は世帯率より少なくなる)。


上記の生活保護や高齢者世帯の状況からこの非課税世帯の多くは生活保護や年金収入だけの世帯だと推測出来る。いま現役世代で非課税となっている世帯の数は少ないということだ。

収入の変わらない低所得者層に加えて、今回の影響で収入が減少し、非課税水準に低下した場合のほか、収入が半分以下に減少し、非課税水準の2倍以下に落ち込んだ場合がどれほどでるのか。特に後者は大変な事態だと思うが、ここが鍵を握ると思う。実際の支給状況を確認しなければ誰もわからないだろう。

15%(収入の減少がなく支給対象とならない非課税世帯)+22%(今回の支給世帯枠)=37%

粗い話で恐縮だが、理論的には非課税世帯を含む全体の37%程度となる水準の収入のある世帯までが今回の給付金を受け取ることができることになる。そう考えると支給対象としては言われているほど少なくない。

ただ、想像に過ぎないが、私はこの条件を純粋に満たす世帯が22%に達するとは思わない(雇用保険等の他の給付措置の対象になることも含めて)。そうした場合には実際には支給される世帯は限られ、予算の全額が活用されず、宝の持ち腐れになる可能性があることを指摘しておきたい。

4兆円は全額給付される前提ではないというところが今回の給付制度のミソだ。30万円への増額となった官邸での話し合いといった出し方といい、住民に誤った印象を与えているのはよくないと思う。

政府がこれで終わりではないと言うアナウンスをしているが、使われるかわからないのでそういうことにしているのだろう。

いずれにしろ、2009年にリーマンショック不況対策として定額給付金として1.2万円(高齢者・18歳未満は2万円)を所得に関わらず給付したが、それに比べて今回は所得の低い世帯に限定しているため、貯蓄に回らず消費に回る比率が高いということだけは明らか(所得区分を設けることへの反対や困っている人に配られるかどうかとは別の論点)。

現在、非課税かどうかを確認するには、源泉徴収されている給与所得者は給与明細を見ればよい。住民税(市県民税等の表記も)が課税されているかわかる。今年も同じような給与水準でコロナ前より給与が減ったなら確実に給付対象となる。

注意点は、給付基準は現在非課税かどうかは関係なく(住民税は前年度所得に課税されるため)、今年2月以降のコロナ感染により収入が減少して非課税水準またはその2倍に達する見込み(2倍の時は収入半減が必要)がある場合に支給対象となることだ。
また、世帯主でない場合は判定とは無関係であり支給対象とならない。

Q&Aや問合せコールセンターの電話番号の記載もあります。