総務常任委員会の管外調査、最終日(熊本)。(株)くまもとDMCの「DMCによる地域活性化策」についての調査。近くのホテル会議場を借りて開催。

DMOとは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のこと。Destination Management Organization(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の頭文字の略。DMCはDestination Management Company(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)の略(JTB総研公式HPより)。

野上社長のご挨拶

復旧工事中の熊本城

2016.4の熊本地震による観光客の激減に対応するため、戦略的な誘客、観光消費増加対策として2016.12設立された。DMOではなく、DMCすなわち、株式会社として設立されている。

資本金5千万円だが、熊本県2百万、肥後銀行2百万、残る46百万円はくまもと未来創生ファンド(肥後銀行、鹿児島銀行、中小企業基盤整備機構などが出資)が出資している。職員も肥後銀行からがの出向者が多く、野上社長も肥後銀行出身ということで、行政主導ではなく、肥後銀行主導での運営となっているというべきだろう。

行政からの観光関連受諾事業やインバウンド向けのキャッシュレス決済機器の導入、多言語コールセンターサービスの提供、海外商談会の運営など自主事業も行っている。売上は双方半分程度。ファンドの出資を受けているため黒字を出す必要もあるが、2017年度は黒字だったものの2018年度は赤字だったという。

行政の観光分野の歳出は広報費を始め一定あるが、それに見合う直接的な歳入、観光分野での直接的な行政の歳入は施設の入場料・利用料を除けばほとんどない。地域への入り込み観光客の増加により、ホテルや飲食店などの観光関連産業の事業者の売上増が一定の税収増につながると考えられるが、その収入は観光部局の歳入には計上されないからだ。交流人口の拡大、地域活性化には資するが、観光産業として収益をあげるのは行政が直接ではないということ。

つまり、行政が行っているような事業を自主事業として行っても黒字を出すというのは無理。行政に代わって広報等の事業費(行政の歳出)を民間らしく効率よく執行するというのが株式会社として一定の利益を出すのには不可欠なのではと思う。

設立から2年半、事業の方向性を含めて模索しながら取り組んでいるというお話も出ていたが当然だろう。頑張って頂きたい。

その後、国立大学法人 熊本大学。研究成果を活かした震災復興施策についての調査。

旧制五高をルーツとする熊本大学。

松本副学長のご挨拶


大学の学生被害状況の確認を終えたあとは、熊本全体の復興に関与すべく熊本復興プロジェクトを大学内に設置。

具体的なプロジェクト

被災地の都市計画やまちづくりでも専門の大学教授を都市計画審議会の会長に送り込むなどプロ人材を派遣。逆に2013年から県土木部の現役職員を1人、大学に派遣してもらっており、震災時に県の把握している情報がすぐに入手できるなど役に立ったという。

益城町の中心道路を複線化、10メートルを27メートルに拡大する区画整理計画に立ち退きが必要となる住民の反対も強かったが粘り強く説得。




阿蘇方面は別の切り口で支援。地質学の専門家を派遣し、現場の体育館で説明会を開くなど、正しい情報の伝達を行ったという。地震後の土石流の発生箇所などはプロなら大まかにわかるので、危ない場所は事前にきちんと教えたので、後に土石流が発生しても家は建物は流されたが、人名人命被害はなかったという。これもプロの仕事。



熊本地震被害の大きかった益城町には大学として「ましきラボ」を設け、被災住民との交流を開始。

災害時などで行政は信用をされてない部分があるが、熊大は信用があるという説明も。プロという発言。大学の存在が地域住民に一目も二目も置かれているということなのだろう。出席している委員皆驚いていた。