県議会文教常任委員会の但馬丹波地区管内調査2日目。

スマホを落として電話として使えなくなる。液晶の一部破損とイヤースピーカーの停止という物理的故障。2014年から使っているので思い入れがあるが、修理代を調べると残念だが新しいものを買うほかない…。

まず養父市立大屋中学校。学校と保護者、小中学校が連携したネットトラブル防止対策についての調査。





2012年度から継続的にスマホやSNS、ネットトラブルについての小中学校保護者向けの情報モラル研修会を実施してきた。地区懇談会の前段で行うためほとんどの保護者が出席している。今年度からは生徒も一緒に研修会に参加し、実際にスマホなどを持参して操作方法などを確認する。毎年同じ講師(元兵庫県警サイバー犯罪、サイバー攻撃アドバイザーの篠原嘉一氏)を招き、地域の実情等を把握したうえでの実態に即した内容となっているという。

当中学校の現在のスマホ所持率は44%。思ったほど高くないが、2015年に23%だったということで急に高くなり今後の更なる上昇も予想される。

質疑応答では、私からフランスはマクロン大統領の選挙公約が法制化され今年9月から小中学校へのスマホ持ち込み自体が禁止されたこと、一方で昨日の超差のように、教育のITC化により、教育現場にはデジタル機器やネット環境がどんどん入ってくる実態があることから、どう切り分けていくのが良いのかという現場の感覚について質問。

『学校はスマホやゲームを我慢する時間』との篠原講師の言葉があったという中島校長の回答に納得。家庭では食事中のスマホ禁止や夜9時までの使用などを生徒や保護者が申し合わせて皆で実践していくことでルールを守りやすくしているそうだ。

質疑応答の後、学校見学。

こちらはテレビモニターを使っての数学の授業。

木材が多く使われている学校だった。

その後、豊岡市の県立出石特別支援学校。

県立但馬農業高校等との交流及び共同学習実施研究校としての調査。卒業後の就職等についても調査が行われた。校内見学も。最後に他の議員からなぜか主幹教諭の校務分掌について厳しい意見が出ていた。驚かれたと思う。






その後、但馬教育事務所。所管事務調査。


かつて文教常任委員会に所属していた時と比べ少子化が更に進行している。

下記データでも学校数こそ近年減少していないが、1校あたりの生徒数が減っているということになる。

管内の63小学校で各学年でクラスが替えできる12学級以上の学校は6校(10%)だけ(文部科学省は小学校の学級数について12学級以上18学級以下を標準としている)。残る57校(90%)は小規模校となっており、完全に複式学級(1・2、3・4、5・6年生)となっている学校もあるという。

香美町などでは小型バスを利用して、数校が共同で体育の授業を行い、ドッジボールなど一定の人数が必要な試合形式の運動などを実施しているという。超少人数教育は教員がきめ細やかに接するというメリットがある一方、運動での競争や対戦経験のほか、他人の意見を聞いて議論したり、集団行動の経験を得ることが難しいというデメリットがある。

また、小規模校には特別支援教室の設置が難しい(対象生徒の多い学校に優先して教員が配分されるため都市部が優先となる)といった課題も明らかに。現在の出生数では、複式学級の増加や一段の学校統合も検討されるのだろう。残念ながら根本的な解決策は子どもの数が増えること以外にない。

その後、県立豊岡高校。
文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)認定校。理数科(1クラス40名)も設置している。

本校OBという今井校長。今春まで県教育委員会教職員課長として勤務されていました。現場でいきいきとしておられましたね。



学区統合の影響は?

SSHの概要説明



以降は、県議会の議会改革の取り組みの一つ『県民との意見交換』として、理数科生徒と生徒自治会役員、県議会文教委員との意見交換会を実施。

まず理数科生徒による研究成果等の報告。

しっかり発表してますね。



高校生でこんな難しい研究をしているとは…

なぜこの研究テーマを選定したのかという議員の問いには、福山雅治さんが主演した映画『ガリレオ』でガウス加速器の実験シーンがあったので自
分で確かめたかったという説明。一同驚く…。

その後、議員側からまず質問し、その後に生徒側から質問という形で意見交換。


生徒側の親の所得で進学状況に差があるのを解消すべきではという意見に、給付型奨学金の制度化をずっと主張してきた小池副委員長が我が意を得たりとといった感じでマイクを握る!


随行していた県教育委員会の八木総務課長も参戦!。部活動への非教員の指導者増加の見通しについての生徒自治会長の意見に回答。

また、生徒側から高校のトイレが古くて汚いという声があり、議員側から地元議員がまず意見を聞いて予算化に向けて対応すべきだといった声や、限られた財源の中で何を削ってトイレの予算を捻出すればいいと思う?などの逆質問も。

なんと『国会議員の給与を削減すればいいのでは』との回答が生徒側から出て一同苦笑。県会議員と言わなかったことが、彼らなりの配慮だったのだろう。

私からは2015年の公立高校の学区統合、当管内では、北但、南但学区が統合され、第5学区となったことに関連して、理数科の2女子学生が出身中学から女子1人だけで入学していることからなぜ本校の理数科を選んだのか、加えて旧学区では別だった朝来市から来ている生徒には別の近い高校に行くことを考えなかったのかといったことを聞く。

このことに関して、学区統合前は南但学区から理数科に来る生徒はごくわずかだったが、統合後は増えたという今井校長の説明も。旧南但学区の中学校に向けた説明会やオープンスクールへの勧誘を堂々と出来るようになったことが大きいのだろう(理数科は『科』のため統合以前から南但学区からも受験可能だったがやはり憚られたと推測)。

当初別の近い高校に行くつもりだったが、担任の先生にオープンスクール参加を勧められ、それを体験したことでこちらを受験することにしたという話も。第5学区は進学提携校方式※が現在も残っており、普通科等は対象区域にある中学校以外からの合格者数は募集定員の一定枠内に限られる。

※事例.香住高校の場合
第5学区の進学連携校方式により、香住第一、香住第二、村岡(村岡区のうち、長瀬、山田、小城、境の区域に限る)、竹野の4中学校から指定を受け、普通科では4校以外からの合格者数は募集定員の18%以内に限られる。なお海洋科学科は進学連携校方式を採用せず、県下全域から出願可能である(ウィキペディアより)。

学区統合の際、但馬の進学連携校方式は残せという管内全自治体からの意見書を受けて残したこともあり、当地域では学区統合の影響はさほど出ていないようだが、こと豊岡高校理数科については恩恵を受けているということだろう。

旧制豊岡中学の校舎だったという同窓会館『達徳会館』や隣接する茶室も見学。

旧制豊岡中学、豊岡高校の同窓会館組織である達徳会。県庁に支部もあるなど結束の強い組織として知られる。達徳の名称は『知仁勇三者天下之達徳也』(「中庸」『礼記』)に由来するのだろうか。知、仁、勇の三者は天下の達徳なり(達徳とは特別な徳といった意)。

民社党委員長だった本校OBの故 佐々木良作衆議院議員による『達徳会館』の書





参考−豊岡高校のSSH教育にかかる卒業生アンケート。凄いデータだ。普通科とこれだけの差があるとは…。