占冠村。村内にある星野リゾートトマムの外国人の訪日インバウンド観光が好調ということでインバウンド対策についての調査と星野リゾートの現場ということで現地訪問。


占冠村の位置


星野リゾートトマムは1980年代に以前の事業者が夏場のゴルフ、冬場のスキーで展開したリゾート施設だが、事業に失敗し倒産。債権者(うち半分程度の債権は占冠村が持つ)管理となっていたが星野リゾートがここに目をつけて事業展開している。近くの山で早朝に雲海が見られることで知られる。



まず星野リゾートトマムの現地訪問

星野リゾート支配人室の方から事業展開について話を伺いつつ施設内を案内して頂く。

建物自体は80年代のものだが、部屋のリノベーションを行っている。


まさにリゾート施設という雰囲気

コテージ風レストランなど


その後、同行して下さっていた占冠村の企画商工課長から占冠村の施策について説明を受ける。

占冠村の観光入り込み客数は平成29年度で176万人。宿泊は延62万人、うち星野リゾートのあるトマム地区は60万人(1日あたり1640人。占冠村の人口は1200人)。星野リゾートだけをとってみると35万5千人の宿泊者があり、うち11万7千人、約33%が外国人観光客という。年間平均してではなく冬場に7割の観光客が集中する。

課題など。オンシーズンの前後には多くの外国人従業員が村に住民登録をすることから村役場トマム支所に住民登録などの臨時窓口を設置し迅速な手続きができるようにしている。外国人観光客のほか外国人従業員も増えているということになるが、大きな犯罪の増加は見られない。外国人の交通事故は増加傾向にあったが、近年の車の安全制御装置の進化で事故が減ってきているとの駐在所の情報もある。

また、占冠村が受け入れる一般ゴミのうち約50%がリゾートから出されており、村の最終処分場があと2年後にも一杯になる可能性もあることからゴミの分別の徹底について行政としてリゾートに指導している。

このほか、JR北海道トマム駅のリゾートの玄関口にふさわしい駅舎への改善要望を出したり、リゾート職員の村への定住を促進をするため子ども応援民間賃貸住宅を建設し助成を行っている。


その後、札幌市にある株式会社 道銀地域総合研究所。北海道銀行の100%子会社。従業員は30人。地域に根ざしたシンクタンクの意義と役割について調査。I常務取締役、地域戦略研究部のK担当部長、から説明を受け、質疑応答。


地域戦略研究部では行政のまちづくり関連の調査研究や政策立案の支援を事業として受託している。また、異業種間連携ビジネス、産業クラスター形成支援などを行っている。

ただ、北海道庁は財政難であり、予算自体が減っており受託事業も減少している。道庁単独予算の調査予算の受託はこの10年くらいないと思う。一方で観光プロモーション事業は増えているが総研は銀行系のためどちらかというと研究中心のため受託につながっていない。

道庁や道内経済の状況や課題としては、インフラ整備が1970年代に一気に整備されたため、その老朽化がいま一気にきている。北海道新幹線の赤字も予想を大きく超えている。道庁が財政難という話をしたが、採用合格者の内定辞退率は50%を超えている。転勤や給与減少が嫌気され、札幌市など他の公務員に流れている。就職時の道外流出も多い。北海道大学の理系卒業生は東京に本社のある企業や名古屋の自動車メーカーに就職してしまう。
意見交換ではロシアとの関係についての話も。ロシア関係では、冬に生鮮野菜がとれない地域ということで、他国産の農薬漬けでない野菜を供給する現地生産・物流システムをアドバイザーとして導入。総理のロシア訪問の際に頭取が同行するなど北海道とロシアの関係は深いという。

北海道の将来負担比率は兵庫県についで悪い。最も力を入れているインバウンド観光は好調。それがどこまで道内企業の収益や道経済を刺激し、道財政に寄与するか。もう少し時間を置いてみる必要がある。

その後、札幌市中央区の札幌市立資生館小学校。「資生館」という校名は、中国の古典『易経』の一節「至哉坤元 萬物資生」から。「至れる哉(かな)坤元(こんげん)、万物資(と)りて生ず」。「坤元(大地の徳)は、なんと素晴らしいものだろうか。全ての物はここから生まれる」。これは化粧品の資生堂(元薬局)と同じ語源。

校舎は市立しせいかん保育園、札幌市子育て支援総合センター、市立ミニ児童会館との子ども関連複合施設となっている。

学校概要について事務職員のKさんらから説明を受ける



札幌市都心部のドーナツ化減少による都心部4小学校の児童数減少に伴い、小学校統合による規模適正化を契機に、0歳児から児童期までの一貫下子育て支援を行うことも合わせて計画。地元説明会を70回余も行いなんとか地元合意を取り付けて2004年4月開校、現在14年目を迎える。

開校当時は児童は減少傾向にあったが、現在は都心部のマンション建設などがあり、1、2年生は4クラスにもなり、教室が一杯になるという状況にもなっている。

しせいかん保育園は近隣にすすきのという大繁華街があることから夜22時までの夜間保育に対応している。

ミニ児童会館は放課後児童クラブの教室としても使っているが見学したところ満杯状態だった。建設当初の計画を超える状況になっている。

各施設の所属は札幌市の教育委員会、こども未来局の2部局にわかれており、責任体制は明確にしてある。

経費分担もかっちり決まっている

施設見学も。
玄関口の警備員室。複合施設の場合、子どもだけの出入りとならないため、こうした配置が必須となるようだ。

放課後の教室

なんと教室と廊下の仕切りがありません。他のクラスの授業や廊下を移動する人のことが気にならないのかなどと考えてしまいました。これも初めて見ました。

なんと体育館は学校の地下に!

地下体育館も初めて見ました

ミニ児童会館の掲示。将棋いいですね〜

子育て支援総合センター

ランチルーム


旧校から移設された二宮尊徳の像

宿舎到着後、一度姫路に来て下さったこともあるAさんが来訪。喫茶コーナーで兵庫県に対する政策提言を受ける。I先輩が私が北海道に来るとの情報を伝え、ならばと訪ねて下さった。恐縮。