朝から政治関係のテレビ報道を見る。4月27日の朝鮮半島の南北首脳会談についての話が中心。私も当日はテレビの生中継を見ていたが、2日たってテレビでは専門家が多数出て冷静に分析している。

 

私は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、板門店の軍事境界線を越えて韓国に入ったあとで、韓国の文在寅大統領が「私はいつ北朝鮮に行けるんですか?」と聞いたところ、「今行きましょう」と文大統領の手をとって北朝鮮側に連れて入った(予定外の行動)ことにまず驚いた。


そして、途中から2人だけで随行もなくベンチで話しているのを見てまた驚いた。少し前に核弾頭搭載可能な長距離ミサイル実験を繰り返し、アメリカを挑発していた金正恩委員長の豹変。両首脳が合意した板門店宣言では、「完全な非核化」を通じて「核なき朝鮮半島」を実現することが南北共通の目標とされた。先日、北は核実験や大陸間弾道ミサイル実験の停止、核実験場の閉鎖なども表明している。


実現のプロセスなどは現在のところ示されていないものの、突然の豹変の裏に何があったのだろうか。昨年末の国連安保理の経済制裁決議が中国やロシアを含む全会一致で採択されたことにより、石油関連などエネルギー輸入が制限され北朝鮮の実態経済に深刻な影響を与えているとか様々な情報があるがあの国の実態はよくわからない。ある知人は半年ほど前に6月頃にアメリカが北朝鮮を攻撃するのではと言っていたがこの流れでは外したと言えるだろう。さすがにこの状況を当てたという人は知らない。太平洋戦争開戦前の「石油禁輸」で苦境に陥ることが明らかとなった日本が、逆に対米開戦を決断したことになぞらえる向きもあったが現在のところそうではなさそうだ。

 

近年、トランプ大統領就任以降、米韓合同軍事演習の際に突然そのまま北に攻めてくるのではないかと北朝鮮が恐れていたという話も出ていた。西側から見ればそんなことはありえないと思うような話だが、父親の死によって権力が自分に委譲されると、自分より経験のある軍幹部をはじめ、叔父や異母兄ら親族をも粛清し、権力を掌握してきた金委員長だ。猜疑心や将来不安など独裁者につきものの悩みは経験のない私らにはわからない。


会談当日、役職でと言うより"妹"として甲斐甲斐しく兄の周辺にいてサイン用のペンを差し出したり秘書のように世話をしていた金与正党宣伝扇動部第1副部長の姿が目についたが、何をおいても信じられる幹部などそんなにいないと思う。


トランプ大統領の政敵に対する強烈な攻撃性、それが北朝鮮に対しても何をしてくるかわからないという不安がアメリカとの交渉を早期に行うべきだ、それが金王朝の国体の護持につながるという結論に立たせ、まず自ら核の放棄に踏み込むような、過去を否定する言動を先に公表していかざるを得なかったということなのだろうか。

 

いずれにしろ北朝鮮が非核化するのは現金正恩体制をアメリカが保障するということが前提だが、トランプ大統領のツイッターなどを見ていると今後行われる米朝会談が決裂するなんて感じではなさそうだ。そうなれば過去の兄の暗殺などの違法行為も帳消しとなる可能性が高い。日本の抱える拉致問題がどうコミットされるかなど今後の北朝鮮関係の動きには要注目である。


自分で肉豆腐うま煮をつくる。味つけが駄目。あんまり食べてもらえない…。