神戸の県庁。本会議一般質問3日目。午後一番に登壇、質問。


平成30年2月定例会 一般質問
[発言方式:一問一答]
1 学校給食を活用した県民意識の高揚について-神戸ビーフまたは但馬牛の「県政150周年給食」の提供-
2 マンション等の集合住宅における民泊規制について
3 ヤマトヤシキ姫路店閉店の影響及び旅券事務所の移転について
4 自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設の規制について
5 公立高校の入試制度の見直し(希望校変更の不平等廃止)について
6 基金再編と将来負担比率目標の設定について



一問目は壇上から

二問目以降は質問席から。


1 学校給食を活用した県民意識の高揚について

-神戸ビーフまたは但馬牛の「県政150周年給食」の提供-
 ある日、小学生の娘と学校給食の話をした。今日は『じゃぶ』を食べたという。汁の中に、糸こんにゃくや、ごぼう、鶏肉が入っていたというので「治部煮」と勘違いしているのでは、また他のものと間違えているのでは、と思い、家庭に配布されている「給食だより」でメニューを確認すると本当に『じゃぶ』と書いてあった。皆さん『じゃぶ』をご存知ですか?
 給食だよりにはその説明として、「新温泉町の郷土料理で、祭りやお祝いなど人が集まるときに大鍋でふるまいます。」と、「具材は鶏肉、糸こんにゃく、豆腐、野菜などで、野菜や豆腐から出る水分でじゃぶじゃぶ煮込むことから『じゃぶ』とか『じゃぶ煮』」とか。新温泉町の公式HPにも『じゃぶ煮』は郷土食として紹介されていた。
 娘がなぜ初めて食べた給食のおかずのことを家に帰ってきても覚えていたのか。先生が給食の際に説明してくれたという。姫路市立の小学校でも兵庫県内の郷土料理を提供し、その説明を先生が行うことで子どもなりに何かを学ぶ。県民意識の高揚、郷土意識の涵養につながる、大変素晴らしい取り組みである。この話を健康福祉常任委員会の調査の際に黒川県会議長としていたところ、「神戸ビーフの給食での提供はどうだろうか」という話になった。会派の中でも賛同する声が多かったので提案したい。
 但馬を県内で育て、肉にした但馬のうち一定以上の基準を満たすものが神戸ビーフとして認定されるが、その価格は高く、簡単に給食で提供できるものではないことは十分理解している。また、学校給食の提供主体も学校設置者であり、その多くは市町である。困難なことは多い。
 とはいえ、今年は県政150周年である。県民意識を育む絶好の機会を逃す手はない。恐らく全県での神戸ビーフを使った給食の事例はなく、記憶に残る給食となるだろう。
 例えば、サイコロステーキとか、カレーでの提供とか、淡路島の玉ねぎとの牛丼とか、知恵を絞って、わずかでも提供出来ないだろうか。神戸ビーフの量を確保するのが難しいなら、但馬も合わせて考えてはどうだろうか。
 県内の小学校や特別支援学校(小学部)に、県政150周年給食として提供することを提案したいが、見解を伺う。

答 弁 者:高井教育長
 大変大胆なご提案をいただき答えが苦しいところだが、明石市や香美町では但馬牛、南あわじ市では三年とらふぐ、新温泉町でセコガニ、さらに朝来市では岩津ねぎなど、県下各地で地場産物を活用した学校給食が提供されている。こうしたことは地元産業の理解や、地域の生産者への感謝の気持ちを抱かせることができるため、各市町教育委員会では積極的に導入が行われている。
 そこで、提案の神戸ビーフだが、質問でも触れたとおり大変高価なものである。100gのステーキ肉のA5のところだと一食3,500円。提案のとおり50gにすると1,750円だが、小学生の給食代が、今、平均で一食240円、240円のところ、1,750円ちょっと、保護者の負担を求めることは困難である。仮にこれを公費で負担するとなると、50gのケースでも県内小学生が29万人、29万食なので5億円ほどかかる。
 提案のようなカレーやシチューのような形で、量を30gにおさえたとしても、プラス分は一食1,000円で、総額3億円となる。
 地元食材を食育に活用することは大変有意義とはいえ、例えば自然学校の県費予算が3億5000万のところ、1食のカレーに3億円使うのかといったようなことで、いくら県政150年と言っても、よほど慎重な検討が必要であろうと考えている。
 昨日の夕刊でも丹波市の小学校で鹿肉の給食が紹介されていた。県内各地で冒頭に申し上げたような様々な形で、地域の特産品を用いた給食が提供されている。それらはだいたい一食50円、もしくは100円程度のプラスで実施をされている。高級和牛は費用の面で難しいが、他の県産の特産食材を用いた給食で、県民意識を高めるということも考えられるので、安くて美味しいメニューの紹介など、様々な方法をこれから研究したい。

【竹内議員から再質問】
 全部を神戸ビーフで提供するのは予算が非常に高騰することはわかるが、例えば但馬牛で提案したい。一人当たり30g、それでもちょっと多いとなるともっと単価を下げることは可能ではないか。そこで、これは30年度の当初予算に入っているものではないので財政措置を、仮に教育委員会がやるといっても、知事がつけるかどうか検討されるところであるが、神戸ビーフがなかなか難しいとはよくわかったが、但馬牛でなんとか150周年、そうした肉の提供ができないか、知事の方で予算措置を含めて考えていただけないか。

【井戸知事】
 神戸ビーフの値段と但馬牛の値段とどの程度違うか、まさか100分の1にはならない、10分の1にもならないのではないか。いずれにしても費用対効果をしっかりと比較考量する必要があるのではないか。子どもたち、ちょっとだけ但馬牛が入ったカレーライスを食べたからといって、カレーライスの味に但馬牛が負けてしまって、味覚を覚えてないということになったら、何のためかわらなくなるし、そういう意味で効果的かどうかを十分吟味した上で、教育委員会としっかり相談したいと思う。

【竹内議員】
 今日の提案は不発に終わりそうだが、しかし、印象に残る、150周年だからできるということを何か子どもたちにとってプラスの方でやっていただきたい。

2 マンション等の集合住宅における民泊規制について
 「住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」案が、今定例会に提出されている。可決成立すれば、住居専用地域や学校周辺での民泊は規制されるものの、住居専用地域以外のマンションでの民泊でトラブルが発生する可能性があると私はみている。例えば、マンションの居住ルールを理解しない者が宿泊することにより、騒音・ゴミ問題などトラブルが起きやすくなるし、外国人観光客が利用する場合、文化や慣習の違いから、こうしたトラブルが一層起きやすくなることは、大阪や京都などのマンションの違法民泊の報道等でも明らかである。
 国土交通省はマンション管理規約のひな型である「マンション標準管理規約」を公表しているが、昨年8月29日に、民泊を可能とする場合と禁止する場合の双方の規定例が示された。これを受けて、県下の神戸市では、いち早く、「住宅宿泊事業法の公布に伴う分譲マンション標準管理規約の改正に関する資料送付について」と題する文書を昨年9月に市内約 3,500 の分譲マンション管理組合やマンション管理会社へ送付するとともに、12 月号の広報こうべやホームページでも告知している。
 「分譲マンション内での民泊の「許容」または「禁止」について、区分所有者の皆さまで議論いただき、民泊を禁止する場合はできるだけ早く(民泊事業者の受付が開始される予定の平成30年3月15日までに)管理規約を改正してください。」、「それまでに管理規約の改正が間に合わない場合は、一時的な措置として、総会または理事会での『民泊を禁止する方針決議』で対応が可能です。」と記されている。
 これは、現行のマンションの多くで採用されている改正前のマンション標準管理規約第12条「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」の条文だけでは民泊も可能と解釈される可能性があり、管理組合の方針を明確にする必要があるためである。
 また、規約に定めがない場合、国のガイドラインから「届出時点で民泊を禁止する方針が総会や理事会で決議されていないことを確認した」旨の誓約書が出された場合、管理組合に民泊を禁止する意思がないと解釈され、届出が受理されると懸念されるからこうした告知をしている。
 国土交通省が新しく示した民泊禁止のための規約の改正について、県下の管理組合に徹底されているだろうか。2月23日付読売新聞社会面では、私も住んでいたマンションの大手管理会社の代表が「訪日外国人の増加で、家賃よりも宿泊料のほうが高収益を得られるチャンスがある」と語り、一度民泊禁止の規約改正をしたマンションを同社が「収入の選択肢が広がる」と提案して容認に再改正したとの記事もあったように民泊を推進する人もいる。
 管理人が常駐不要でどこの国の誰か分からない外国人が隣の部屋に出入りする。三田市の若い女性の監禁容疑で逮捕されている外国人容疑者は民泊施設を転々とし、10人以上の日本人女性と交友していたと報道されている。頭部が発見された西成区の民泊施設では強烈な異臭が発生し通行人にも臭うほどだったのに管理人はおらず発見まで数日が経過していた。

 分譲マンション等の集合住宅における民泊規制について、特に旧規約のままの場合、法施行規則で、届出の際、管理組合に届出住宅において民泊を禁止する意思がないことを確認したことを証する書類の添付が必要となっている。この場合、理事会や総会で議論されないまま、理事長が一存で管理組合として民泊を禁止しない旨を証する書類を発行することも十分考えられる。県としてどのように対応するのかについて伺う。

 ※規約の改正には区分所有法により「所有者4分の3以上の多数による集会の議決」が必要

答 弁 者  井戸知事
 分譲マンションは、玄関や通路等が共有財産となっていますので、いわば共同生活を営む場であります。したがいまして、民泊による騒音の発生等が深刻な住民間のトラブルを招く恐れがあります。また、ご指摘のように、旅館・ホテルと異なり、管理者の常駐がほぼ考えられません。
 このようなことから、昨年8月に国において、民泊の可否の条項等を明確にしたマンション標準管理規約の改正が行われ、県から各市町を通じ周知を行いました。加えて、今年1月にも分譲マンションでの民泊について、届出が3月15日から始まることや届出の際に民泊を禁止しない旨の管理規約の写し等の添付が必要なことについて、各市町に周知依頼を行いました。
 規約改正がなされていない場合については、議員ご指摘のとおり、管理組合の意思として、理事長が一存で印を押した書類を発行することなども考えられます。このことから、本県では、総会や理事会で民泊を禁止しない旨の決議がされた議事録の写しも届出に際して添付してもらうなど、管理組合全体の意向かどうかの確認を行うことにしています。
 さらに、条例案では独自に、事業者が行うべき取るべき措置として、周辺住民や管理組合への説明会の開催を行い理解を求めることを定めております。また、届出の際には、同意書や説明会開催報告書を添付してもらうことにより、改めて管理組合を構成する住民の意向を確認できるものと考えています。これらの詳細については、条例の規定に基づいて規則で定めることといたしております。
 今後、県土整備部と健康福祉部とが連携しながら、規約改正の必要性に加え、法及び条例内容を管理組合に周知徹底することにより、分譲マンションにおける民泊の適正な運営を確保して、県民が安心して暮らせるように取り組んでまいりたいと考えております。そのような意味でも提案しております条例の取扱いをよろしくお願いします。

【答弁終了後のコメント】
 理事会又は総会を開いてその証明書を構成する大きな要因となる居住者のみなさんの意志を確認しなければ、事業者の届出を受けない。これは、全国でも、今のガイドライン上見ましたら、兵庫県だけだろうと思っている。県所管地域はよく理解しているが、県内の政令・中核市にも徹底していただき、望まない民泊、勝手に誰がこんなことを了解したんだということがないように徹底していただきたい。


3 ヤマトヤシキ姫路店閉店の影響及び旅券事務所の移転について
 地元姫路市の創業111年、老舗百貨店「ヤマトヤシキ」は、姫路店を2月末つまり明日28日で閉店することを発表した。同加古川店は存続させるものの姫路店を含めて全従業員を解雇し、一部を別会社で雇用する方針であると報道されたが、既に雇用を希望する従業員の面談等も行われ、再就職する人、解雇される人が決ったと聞いている。
 また同社は、姫路店の閉店後の利用について、建物が老朽化しており、建て替えが最善の策としているが、建て替えの詳細な計画や工事の開始時期については未定で3年程度かかるとの報道もある。
 ヤマトヤシキで働いている人の雇用や姫路店が面する大手前通り、みゆき通り商店街などへの閉店の影響などについてどう考えているのか。また、ヤマトヤシキ姫路店内には兵庫県旅券事務所姫路出張所もある。この閉店後の移転措置等も含め、ヤマトヤシキ姫路店の閉店後の商店街への支援も検討する必要がある。県の支援策について伺う。


【答弁者】片山産業労働部長
 近年は売上高が落ちていたとはいえ、かつては、県西部の小売業を牽引していた、姫路を代表する老舗百貨店でありますヤマトヤシキ姫路店の閉店は時代の流れを感じざるを得ません。
 まず、従業員の雇用対策についてであります。中播磨県民センター、姫路市、ハローワーク、労働基準監督署により「ヤマトヤシキ関連離職者雇用対策本部」をこの1月に設置し、就職相談会を開催するなど円滑な再就職を支援しております。
 また、ヤマトヤシキ姫路店の閉店は、姫路駅から大手前公園に至る播磨随一の「みゆき通り商店街」にとりまして、核となる店舗を失ったのと同じ影響があると考えられます。県では、「商店街元気づくり事業」や「コミュニティ機能強化応援事業」などの商店街支援策を行っており、周辺の商店街も含め、これらを活用して集客力向上に努めていただきたいと考えております。
 さらに、旅券事務所姫路出張所については、移転先が決まるまでの間、現状通り業務を継続することでヤマトヤシキの了解を得ております。同出張所は、年間約6万5千人が訪れており、この4月から土日開庁が始まれば、土日では1日当たり400人程度が訪れるものと見込んでおります。利便性だけではなく地域活性化の視点も踏まえまして、適切な移転場所を検討してまいります。
 引き続き、地元姫路市や姫路商工会議所などとの連携を密にして対応していく所存であります。


4 自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設の規制について
 姫路市北部山中のそうめん滝キャンプ場に計画が持ち上がっている太陽光発電所建設に反対する自治会の住民説明会に先日出席してきた。事業者から兵庫県に提出された計画は、約51万坪・170万平方メートル、甲子園球場43個分の山林を開発し、太陽光パネル等を設置するもの。西播丘陵県立自然公園の中に例を見ない大規模な開発だ。
 説明会には、排水路となっている砥堀谷川下流域周辺の住民の方を中心に100名ほどの方が来られていた。地域の自治会役員から、下流域の土砂流出の危険を伴う開発であること、過去には明治時代から大きな水害に悩まされてきた地域であること、開発代理人の計画内容を隠したボーリング調査許可など不誠実極まりない姿勢などの説明や計画への反対運動等について話があり、多くの心配する住民から疑問や反対の声が湧き上がった。
 大規模な森林開発を伴う太陽光発電施設の建設については、森林伐採が再生可能エネルギー導入推進の理念と相反しないのか、また、近年多発しているゲリラ豪雨など集中豪雨の際に土石流や鉄砲水などを発生させるなどして、同一水系の近隣住民の家屋や人命等の安全確保に支障をきたすのではないのか。近年も広島市内で大雨により山腹傾斜地が崩落し、多数の死傷者が出た。一方、開発した者や許可権者等は天災に起因するものとして刑事上、民事上の責任も何も問われてはいない。これが現実。
 家屋の屋上や市街地の遊休地などの太陽光発電に反対するものではないが、大規模に森林を伐採して開発することで逆に地すべりを起こしたり、保水機能等を大きく破壊するもので、さらには下流の住民の命を危険に陥れるもの。
 特に危惧するのは固定価格買取制度(FIT)の終了する20年後以降の管理等について何の担保もないこと。開発者が利益を失い、価値を失ったパネル等をきちんと管理する保証は何もない。
 住民の安全・安心な生活に危機をもたらしかねない大規模な自然破壊を伴う山林等への太陽光発電施設建設については、関係法令の厳格な運用を図るなど何らかの規制をかけるべきと考えるが、県の見解を伺う。


答弁者 水埜まちづくり部長
 かつて、高度成長の時代、様々な開発行為によって、県内でも自然環境が損なわれ、景観の悪化をもたらしました。この反省の基に、本県では、大規模開発の調整・指導や緑条例による地域環境の形成を推進してまいりました。
 太陽光発電施設は、FIT法による再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入後、急速に増加してきた訳でございますが、一方で、この法律の中に開発調整機能が欠けていることから、防災や環境をめぐる住民とのトラブルが顕在化してまいりました。
 このため、本県では、「太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例」を、全国に先駆けて制定しました。この条例では、安全に関する基準への適合や近隣関係者への説明を求めるほか、設置時だけではなく、廃止の時にも、届出を義務付けて、適正なパネルの撤去や跡地の保全を促しております。
 ご質問の姫路市内の計画、これは現在、大規模開発指導要綱に基づいて審査中でございます。約170haに及ぶ山林、南北方向約1.6キロ、最大幅約1.4キロの山林を開発するこれまでにない大きな計画であります。ほぼ全域に県立自然公園や砂防指定地が含まれています。また、地元の住民の方々との合意形成もできていない状況でございます。こういった非常に課題が多い計画と認識しておるところでございます。このため、今後、太陽光条例をはじめ、森林法や砂防法、さらには自然公園条例や総合治水条例など、様々な個別法令の審査において詳細に事業内容を確認して、慎重に対応してまいります。
 もとより、再生可能エネルギーの拡大というのは、人の営みと自然との共生を目指す政策でございます。太陽光発電施設の導入が自然を破壊する、こういった本末転倒の結果を招かないように、しっかりと調整・指導を行ってまいります。あわせて、抜本対策としまして、国に対して法改正による規制の強化も求めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

(答弁後コメント)
 ご答弁ありがとうございました。今の答弁を聞いて、安心をしました。住民のみなさんが本当に不安に思ってることと、それだけではなくてやっぱり、自然、再生エネルギーという、そもそもの導入理念とまったく逆のことをする。お金儲けだけをする。これはやはりおかしいと私思っておりますので、しっかりと対応していただきたいと思います。


5 公立高校の入試制度の見直し(希望校変更の不平等廃止)について
 県内公立高校では、平成27年度入試から通学区域を従来の16学区から5学区に再編し、複数志願選抜が全県で導入されたところである。
 これらを評価・検証するため設置された、「高等学校通学区域検証委員会」は、昨年12月に「制度は概ね円滑に導入された」とする報告書をまとめた。報告書の中で、「単独選抜の専門学科から複数志願選抜の高校への第1志望の変更を可能としていることについては、より適切な進路選択となるよう、制度の改善を検討する必要がある。」といった今後の中長期的な方向性が示されている。
 これは、当初から複数志願選抜の高校が定員割れとなる場合も視野に入れて、まず「単独選抜の専門学科」を第1志望として出願しておき、複数志願選抜の高校の倍率が確定したあとで、第1志望校を変更させることである。中学校の現場では『偵察出願』と言っている。当初から複数志願選抜の高校を志望していた生徒は第1志望校の変更が出来ない一方、「単独選抜の専門学科」を仮に志望していた生徒は、倍率や定員割れを考慮して志望校を変更する。まさに「後出しジャンケン」である。行く予定のない専門学科の側も迷惑であるし、何しろ教育指導上も好ましくない。定員割れとなった高校で、こうした制度が悪用されている事例が複数にわたって発生しているのは、性善説に立った制度の運用の限界を示している。こうした実例を中学校、高校の現場の教員から生の声として聞いているが、こうした制度の穴は早期に埋めなければならない。中長期的などと悠長に構える課題ではない。
 もちろん、複数志願選抜を含めた全生徒に第1志望校の変更を認めれば不平等ではなくなるが、実務上大きな混乱が生じるだろう。
 公立高校の入学試験にかかる希望校変更の不平等廃止について、早期実現を求めるが見解を伺う。


答 弁 者:高井教育長 
 複数志願選抜での志願変更におけます、ご指摘のような事例については、一部に制度の不備を訴える声があることは認識しております。これらを防ぐために、現在いくつかの改善案を検討しています。
 その一つは、ご質問にもありましたが、職業学科等の単独選抜実施校のみならず、3月実施の学力検査の全ての出願について、変更を認めるという案でありますが、これは質問でもおっしゃいましたように大きな混乱が見込まれて、中学校での進路指導の根底を揺るがしかねない案でありますので、現実的ではないと考えています。二つには、逆に、複数志願選抜実施校と単独選抜実施校の間の変更を全て認めないという案でありますけれども、現実的には郡部などの高校数が少ない地域では、一つの高校に普通科と商業科、普通科と家政科のような両方を併せ持つ高校があって、進学の都合ですとか、様々なことから学科にはこだわらず、とにかくその学校へ行きたいんだという風なケースもございました。学科を越えた志願変更を認めざるを得ない状況もありまして、それらの地域ではこれを一切禁止としますと入学の選択肢を狭めてしまうという課題が生じます。そこで、一番これが近いかなと考えていますのは、検証委員会でも意見が出ましたが、普通科・総合学科を第1志望で受検する生徒を優先するために現在、加算点というものがありますが、当初職業学科を希望しておきながら志願変更で普通科に願書を出す行為は、いわばそれ自体が第2志望であるという風に考えて、設けている加算点を与えないという案が考えられます。
 いずれの案でも、生徒・保護者の進路選択に多大な影響を与えることが予測されますから、この他にももっと案がないか、精力的に検討して各方面から意見を伺い、幅広く研究して最終的には何らかの制度変更を行いたいと考えています。
 今年度の入試の結果も見た上で、より良い制度となるように、生徒が学びたい高校に安心してチャレンジできる制度づくりに努めてまいります。

【再質問】
 地域によって実情が違うんですよね。北播とかそういった学校が少ない地域とは事情が異なるんですけれども、例えば私の地元第4学区では、高校が結構あるんです。第4学区で専門学科から普通科への変更を認めないということでの不利益は殆どないと思うんですよ。加算点の制度も学区によって違うわけですから、第4学区だけは、もう来年からこういうことを止めよう、そうでなければ第4学区は私学で国公立大学とかへの進学実績の高い学校がないものですから、上位校がどうしても定員割れする。3年で2回も定員割れしている。そこに今の話ですと加算点がなくても全員が合格してしまうんですよね、出願さえすれば。そこが私は非常に問題だし、これは学校現場では、入学する前から言うと、後ろの手段で入ってきたというようなことを言われている。これは絶対に良くない。少なくとも第4学区でそういうのを禁止するということを地域的に出来ませんかね。

【再答弁】
 こういった普通科と職業学科などの単独選抜の学校の間の移動といいますのは、第1学区が8名、第2学区が4名、第3学区が21名、第4学区が20名、第5学区が3名ということで全県で似たような状況がございます。第4学区の中でも進学校と呼ばれる学校に変更する例が数名おりますが、各地に点在する、その地域のいわば中心校と専門学科の間での変更というのが、かなりございます。したがって、これの影響を度外視するというのは難しいものですから、先ほど申し上げましたように地区ごとの状況も見ながら、どんな方法が実際、現実的にとりうるかといったことを検討してまいります。

【答弁後のコメント】
 教育現場に後出しジャンケンのようなものが合法的に行われる。ここが絶対に良くないと思いますので、今検討されているということはよく分かりましたので、早期対応をよろしくお願いします。


6 基金再編と将来負担比率目標の設定について
 今定例会で新たに提案されている条例の中に、地域創生基金条例、県有施設等整備基金条例がある。これらの条例等の中には、廃止する基金として、公共施設整備基金等5基金の名称が記されており、既に役割を終えたとされている。また、県債管理基金に含まれる旧明石海峡大橋関連施設整備等基金についても、地域創生基金に移管することとされている。いずれも新条例の目的によって基金は処分されることになる。
 一方、平成29年度補正予算では、この度創設する基金を集約するための県債管理基金積立金が336億4千万円増額計上されており、地域創生基金から151億6千万円分、県有施設等整備基金から184億8千万円分が各々県債管理基金に移されることになる。
 この多くは従前から県債管理基金に集約されているもので、財政指標である実質公債費比率の基金積立不足の改善に活用されているが、これまで県債管理基金に集約されていなかった国民健康保険事業広域化等支援基金6億68百万円、県有建物復興基金96百万円の計7億64百万円が新たに集約、活用されることになる。特に国民健康保険事業広域化等支援基金6億68百万円については、今定例会に提案されている国民健康保険財政安定化基金に積み立てることがこれまでの基金目的と最も合致するのではないかと思う。いずれにしろ、今回は僅かな金額でも、こうした基金を活用した実質公債費比率対策は今年度末で約1200億円と多額となっており、現行ルールを技術的にクリアするものであっても、会計間の債権債務の相殺や基金の本来目的を考えれば一時しのぎに過ぎないことは従前より指摘してきた通り。
 債務をストックベースで表すもう一つの財政指標、将来負担比率において、新行革プラン導入前後の順位や数値の改善があまり見られないことが、このことをよく表している。

※将来負担比率
      新行革プラン開始前のH19年度361.7→H29年度335.7 ▲26ポイント改善
       震災関連県債を除きH19年度272.3→H29年度277.4 △5.1ポイント悪化

 この10年間は職員の3割削減や給与カットなど痛みを伴う歳出対策も含んだ新行革プランを実行し、震災関連県債の償還を着実に行ってきたものの、県債全体、将来世代の負担といった観点では他府県平均水準とは大きくかけ離れたままということもできる。

 今議会では、収支均衡となる来年度を見て早速景気のいい話も聞こえているが、退職手当債や行革推進債などの資金手当債の発行や県債管理基金の取り崩しをしなくてよくなった、とはいえるものの基金集約のような状況を残したままで新たな投資事業をどんどんできる状況かどうかということ。知事は新行革プラン後の財政運営について、今後新たな方針を示していく必要があると言われているが、財政目標として、将来負担比率を重視した新たな目標設置を求めるが見解を伺う。


答弁 井戸知事

 今回創設する2つの基金は、今後とも重点的に取り組む必要のある、地域創生や県有施設の老朽化対策を推進するために設置したものです。
 また、既に役割を終えた基金をあわせて廃止をさせていただきます。国保事業の広域化等の支援基金は、市町村国保の支援のため、国と県とが共同で設置していたものでありますが、国保運営の都道府県化に伴いまして、新たに国保財政安定化基金が創設され、その役割を担うことから、廃止するものです。その際、残余の基金額について、国拠出分は国へ返還し、県拠出分が県に返還されるので、これを地域創生における健康福祉対策に活用しようとしたものです。
 なお、基金の集約ですが、実質公債費比率対策であることは間違いありません。しかし一方で、特定目的基金として活用することを明らかにさせていただいておりますので、十分機能していると考えております。
 将来負担比率については、行革プランの中で、本県の特殊要因であります、震災関連県債を除いた比率が平成19年度当時の全国水準250%となることを目標としてきました。この11年間、将来負担の大宗を占める県債残高を平成19年度から概ね20%削減することに取り組んできたことから、ほぼその目標を達成できる見通しです。
 今後の財政運営については、震災関連県債約3,600億円に加え、平成20年度から平成29年度までの10年間に発行した財源対策債、退職手当債と行革推進債約4,000億円の償還が続きます。引き続き厳しい財政環境が続くことは間違いありません。そのような意味で、フローとストック両面からの財政目標が必要と考えています。
 フロー面では、収支均衡を維持することはもとより、実質公債費比率、経常収支比率に加えまして、例えば、一般財源に占める公債費の割合を示す公債費負担比率など、県民に分かりやすい指標を検討してまいります。
 ストック面では、県債残高や将来負担比率が重要です。平成 30年度当初予算では、行革フレームの中で、本県の特殊要因として、震災関連県債に加え、財源対策債の残高を除いた今後の将来負担比率の見通しも参考に試算したものです。
 いずれにしても、来年度早期に行う行革検証におきまして、将来負担比率はもとより、適切な財政指標を選定するなど、県民の方々に安心して財政運営を見ていただけるような枠組みをきっちりとお示しする必要がある、それが、信頼に応える道だと考えております。今後とも、よろしくご指導下さい。


【竹内議員 コメント】
 過日、県庁建て替えの話をある県OBにしたところ長期土地保有問題や震災関連県債の償還など「井戸さんは過去のツケの後始末をしてきた。新規事業に着手したいという気持ちもよくわかる。」と言っていたが、、全体的な県の財政をみてみると、時期尚早ではないかと考えている。耐震化の検討をされているのは承知しているが、このような声があるということもまた聞いていただければと思う。


傍聴者や同僚議員と記念撮影

昼食はマルシェでカツカレー。勝負メシ。