朝日新聞で陸上自衛隊トップの幕僚長が昨日辞意を大臣に伝えたとの報道。

これは『刺し違え』を求めてのものだろう。昨日の参院の予算委員会の閉会中審査では大臣は自衛隊の文民統制が効いているとか、辞任を否定する答弁をし、総理による罷免も否定されていた。来週にも内閣改造が行われる予定の中で、それでは駄目で自分の辞表で大臣にも辞任を迫るということだ。

国会審議で立ちいかなくなるなどして大臣自らの辞意表明を待っていたが、予算委員会の答弁を見てその気がないことが分かり、刺し違えを選択したということだろう。昨晩、国会が終わってから南スーダンPKOの日報が見つかったときの大臣への報告内容やその対応のやりとりをメモしたノートの現物映像が昨日フジテレビで流れていた。手書きのもので、筆跡も明確、パソコンなどで別人が作成したようなものではない。流れるルートも容易に判明するような精度の高いもの。野党に独自の情報が入ってないことは以前書いた通りで国会審議を見ていてもよく分かったが、この出し方については分かり易過ぎて驚く。

この問題について触れてきたが、制服組が記者会見して大臣の発言の否定や責任追及などを行うなどということは文民統制の原則を否定しかねないとの判断の中で、『刺し違え』は最後の手段。内閣としては内閣改造までもたせたいはずだったと思うので、その方針にも体をはって疑問を呈したということだろう。

大臣だけ無責任は絶対に許せないと現場の最高幹部に思わせたからこそ、これほどの動きをさせたということ。あるメディアは現場がここまでするとは思えず、情報も入らないため官邸の関与に触れていたが、全くの間違いだった。とはいえ、これだけ分かり易い形で表沙汰になったことは珍しく邪推するのも理解できる。それほど今回はかなりリスクを伴う、ある種の実力行使だったと思う。

いずれにしろ、他山の石としては大きすぎる話だ。

後刻、大臣も辞意を漏らしたと報道され、この通り刺し違えは達成されることになった。