姫路駅前。朝の街頭演説。師走に入ったこともあり、寒いことは寒いのだが、雲一つない晴天が寒さを忘れされる。







その後、神戸の県庁。本会議。終日、一般質問。

散会後、少しためていた資料に目を通す。その後、他の県議らと意見交換。

選挙と任期開始の2ヶ月のタイムラグの問題について、少し冷静に考えてみる。

前回の各会派の検討会では、特例法の制定を唱える会派もあったようだ。これは、特定の自治体の議会の任期だけを地方自治法によらず特例法を制定して2ヶ月縮めるという立法のこと。

これまでは、法律上、任期満了の30日以内に選挙を行わなければならないのだが、阪神淡路大震災以降の統一地方選では、兵庫県など震災特例で当時任期を延長した自治体の意見を聞いて公職選挙法によらず特例的に60日以内に拡大して選挙を執行している。だから2ヶ月のずれが生じているだけで、本来の公職選挙法の規定では6月10日の任期満了の30日以内ということになる。

とはいえ60日に拡大する特例法は内閣(総務省)提出の法律。事前に兵庫県などに意見を照会するなど丁寧に立法準備をして成立させている。

今回、国に特例法について問い合わせた元国会議員の県議によると、特定の自治体の議員の任期だけを地方自治法上の4年ではなく3年10ヶ月にすることは『閣法では提出出来ない』と回答があったという。

閣法とは内閣提出の法案の意。閣法で提出できないのには理由があると思うが、閣法になじまない趣旨であるほか、法理的にも内閣法制局を通らないのではないかと推測する。となると国会議員による議員立法しかない。

議員立法は衆参法制局の審査があるが内閣法制局に比べて審査が緩いことで知られているからだ。

争点は、法律上、何の瑕疵もなく、過去の延長と無関係な新議員の任期を国が独自に3年10ヶ月にするということが憲法や地方自治法に照らして合憲か合理的かということになろうか。物理的に選挙の執行が出来なくて特例法で延期したということとは背景が全く異なる。

今回の特例法の目的は統一地方選に復帰させるもの以外は何もない。というのも本来のルール通りで満了の6月10日以前の30日以内に選挙をすれば法的には何ら問題がないから。

任期が大きくずれているということに批判があるのはわかるが、特定の自治体の議会の任期だけを縮める特例法の意義は、統一地方選から外れないようにというだけの、法理というより、投票率とか選挙コストとかいう判断。

20年前に2ヶ月任期を延長したことと、当時の議員との重複もほとんどなく、ましてや、統一地方選の統一率など、既に全国的にも終わってしまったような低調な話だ。

まず、意見が対立している中で、国の与野党が一致せず多数決で決める内容ではないと国会議員も判断するだろう。それでも多数で押せば当然成立はするが、新議員などから訴訟が起こったときには違憲立法との判断が下る可能性もあるだろう。

特例法を言い出した人は、法制や立法審査の専門家に相談して案を出しているのだと思うので、議論の中身には要注目だ。

議員立法については、私も少し経験があるので触れるが、今回の内容は少なくとも野党第一党が反対したら成立するものではないだろう。

特定の党が自分の弱い地域の地方議員の任期を短くしたり、逆に強いところを長くしたりできる、と考えれば、いくら多数を占めていてもあり得ない法制だからだ。

地方議員とはいえ、議員の任期を多数の都合で短くするなんてことが簡単に行われるとしたら、それは凄いことだ。趣旨がどうであれ、それが先例となって可能になる。

とはいえ、私がそこを離れて10年以上立つ。最近は強引な国会運営も見られる。いずれにしろ、そんな案を地方での協議段階で見過ごすのも分権的にも問題。決めて置いて法制的に難しいと判断されたとなると、いずれかの責任問題となるだろう。

私は検討会のメンバーではなく、法制のことは専門ではないので、体験でしか分からないが、『閣法では出せない』との判断は常識的ではないか。

メディアも任期の問題は注目している。先に述べたように、国に特例法の法制上の問題等について問い合わせたり確認している県議もいるので、今後、想定通りに進まなくても県議会全体の責任にするようなことはしないでほしい、と思う。