以下の記録は過日の私の財政状況にかかる質問と答弁を取りまとめたものです。ただし、正式な議事録は2か月程度かかりますので、その点はご了承ください。

財政状況
1 新行革プラン7年間の人件費カット総額とその目的について
(1) 人件費カット総額について
平成19年度途中の620億円の歳入欠陥、予算の執行留保という事態から始まった「新行革プラン」。プランが実行された20年度から7年目を終えようとしている。ここで検証したい。
平成20年以降の新行革プランによる兵庫県の独自給与カットの総額はいくらなのか?給与・報酬・期末・勤勉手当等カット分で定員削減は含まない。金額は26年度見込みを含む。知事ら特別職・議会議員・職員ごとの総額。ただし国が地方に要請して実施した東日本大震災復興のためのカット分を除いて答えてほしい。

(答弁)(人事課長)
本県独自の給与抑制措置による人件費カット総額は、平成20年度の新行革プラン策定以来、今年度末までの見込みを加えた数字であるが、一般職については累計約700億円、特別職については累計約1億8千万円という額になる。なお、県議会議員については累計約6億円と聞いている。
 
(2)人件費カットによる財源の目的について
国が地方に要請した東日本震災復興のためのカット分を除いての数値ということで、本県独自の措置であるが、総額もかなり大きい。
阪神淡路大震災の復旧復興という影響もあるとはいえ、神戸市などではいま独自の一般職の給与カットは行われていない。また、震災以降継続実施しているならまだしも平成19年の年度途中に予算の執行留保という緊急事態になるまで実施されていなかったのだから職員にとっても突如降って沸いたような話だった。

公務員の給与は、労働基本権のうち団体交渉権・争議権が制約されていることから、国においては人事院勧告、県においては人事委員会勧告で、それぞれ勧告されて決定するシステムで、基本的には同じ条件で給与等が定められることになっているが、勧告以外で独自に金額をカットしていても話は県民には全くと言っていいほど知られていない。身近な学校の校長先生や担任の先生まで7年間給与カットされているという話にしても誰が知っているだろうか。
これらが県財政の健全化に大きく役立っていることには間違いがないが、カット分は一般財源に含まれているため、何のために使われているかということは明確でない。
そこで提案したい。本来受け取るべき人件費を明らかにした上で、そのカットされた額との差額を、人件費のかわりに、教育費に充てたとか、子育て支援に使うとか、県債管理基金に積み立てて県債の償還財源にあてたとかにすればどうだろうか。そうなると、給与カットを受け入れている職員の皆さんにとっても、我々の給与カット部分は未来の兵庫県のために役立てられていると少しは納得度があがるかもしれない。少なくとも、私たちも胸を張って外で発言できる。
本来、給与カットは望ましくないが、やむを得ず本県だけが実施するような給与カットについては、人件費に振り向けず何かしらの財源として活用したとするような説明をすることで内部の理解や外部への告知にもなると思うがどうか。 

(答弁)(財政課長)
平成20年度の新行革プラン策定以来、人件費、事務事業、投資事業、公社など行財政全般にわたる改革を進める中で、給与についても職員の協力を求め、抑制措置を行ってきた。これにより、平成27年度当初予算の収支不足額は、平成19年度の1,280億円の約1/3まで縮減するとともに、第3次行革プランでは、一般職員の給与抑制措置の段階的縮小を明記する中で、平成30年度収支均衡を目指していくこととしている。
行革の目的は、震災で悪化した財政を立て直し、地震や津波、風水害への備え、少子化対策、地域活力の再生など多くの課題に対応できるしっかりとした行財政基盤を確立することである。給与抑制措置もその一助であり、単に特定の事業への充当ではなく、まさに兵庫の未来づくり、基盤づくりのために活用されていると考える。「ポスト震災20年」を踏まえた平成27年度当初予算「安全地域創生予算」を編成したのもその賜である。
人件費カットを含め、なぜ行革をやっているのかの周知が不十分であることは、これまでも指摘を受けている。そのため、第3次行革プランの策定の趣旨を説明したリーフレットや県民だよりひょうご等により職員や県民に周知を図っている。
平成30年度の収支均衡に向け、これからが正念場である。それだけに、職員の士気を維持し、県民の理解と協力を得ながら改革を着実に実行するとともに、引き続き積極的な情報発信に努めていく。

2 財政改革の次なる課題について
(1)水道用水供給事業会計の県債直接引受について
一般会計の側からすれば、金利や条件が外部借り入れより有利に発行できるメリットがある。外部資金の支払金利と運用の受取利息の差があるのは事実・メリットがある。独立した会計とはいえ、知事と管理者の関係は実質的には上司と部下、事業は子会社みたいなものだから指示がきく。これまで公社などの外郭団体もグループファイナンスとして協力してきた。
 ・今回は、補正予算という形で直接引受が表に出てきた。こうった珍しい事例は本県の場合、補正で出る。
いろいろ全国の他の自治体を調べてみたが事例が見当たらない。なぜか。水道用水供給事業自体が企業債という県債を発行して金融機関等から借金していることからもわかるように企業会計は県債を発行する団体であり、逆に公営企業が儲かって資金が潤沢であるということは想定されていない。
 
特別会計や企業会計による一般会計の県債の直接引受は過去から行われているのか?今回、誰がどう持ち掛けて話がスタートしたのか?この県債は何を目的とする県債で、引き受け条件はどうなっているのか?
 
(答弁)(資金財産室長)
 本県債は、一般公共事業等の資金調達を目的として平成24年度に発行され、県道路公社が保有していたもの(10年、1.02%)を、同公社の資金需要の必要性から、債権譲渡したい旨の申し出を受けた。
直近の発行条件(10年、0.6%)に比べても引受側に有利な債権であったため、県として関係団体に希望調査を行った結果、資金の運用先を探していた企業庁(17億円)及び住宅再建共済基金(7億円)がこれに応じ、購入したものである。企業庁の水道用水供給事業では、「アセットマネジメント推進計画」に基づき、老朽施設の計画的な修繕、更新を図っている中で、年平均更新費用を大幅に上回る資金需要に対し、平成22年度から建設改良積立金を計画的に積み立てているが、実際に資金が必要となるのが、平成36年度以降であることから、より有利な資金の運用を行うこととした。
また、住宅再建共済基金では、住宅再建共済制度の加入者からの払込金の一部を例年県債で運用しており、その一環として、今回、県債購入を行った。
なお、県債の直接引受は、まず特別会計ではそもそも独自の運用財源を持たないことから事例はなく、企業会計においても過去に引受はないと聞いている。

(2)青野運動公苑土地信託事業にかかる105億円の負担処理について
①今後の運営形態について
同信託事業は、現段階で既に105億円もの運営費用の損失補填等が最高裁判決で確定しており、平成23年11月、勝訴した信託銀行側に県が約105億円を支払った。
一般会計は未だ収支不足の状態であることから、企業庁から105億円を借り入れて、支払いを実施した。
信託事業を開始した28年前当時の選択について、県民の代表であった県議会も議決しているし、今当時の責任を問うことは法的には現実的ではない。
ところで、現在の信託事業の相手方である三菱UFJ信託銀行(東洋信託銀行)及び三井住友信託銀行(住友信託銀行)両銀行との信託契約期間は、平成27年11月末まで。残すところ約半年になってきた。
契約満了となれば、土地信託に出していた土地や、銀行から借り入れた資金を活用したゴルフ場やスポーツ施設は県に戻ってくる。
次なる利活用については、現にゴルフ場を中心とした施設であることから他の目的での利活用については簡単ではなく、慎重な検討と透明性を確保した運営方針決定が必要と考える。
 知事は、会見で「県に戻ってくる施設を普通財産とし、企業庁に借りてもらい、企業庁で引き続き県民ゴルフ場等の経営にあたってもらう」と述べているが、12月以降の運営形態をどう考えているのか?地域整備事業として直営で経営するのか、ウエスティンホテル淡路の㈱夢舞台のように子会社で運営するのか?
 
(答弁)(地域振興課長)
青野運動公苑は、県民スポーツ・レクリエーションの拠点施設として定着し、今後も引き続き利用が見込まれ、地元加西市をはじめとする周辺地域の振興にも寄与することから、11月末の信託契約期間満了後も収支改善を図りながら運営を継続することとした。
 その経営主体については、経営の機動性と弾力性が確保できることを基本として検討した結果、独立採算の下、水道供給事業や地域整備事業等の収益事業を営む企業庁に貸付け、運営を担ってもらうこととしたところである。
 山梨県、群馬県をはじめとする他の自治体ゴルフ場においては、公営企業が民間事業者を活用して経営をし、本県信託事業を上回る収益を上げている。
 このため、本県においても、企業庁が、今後公募により選定する民間事業者にゴルフ場やテニスコート・ホテル等の施設の運営を委託し、そのノウハウを活用して経営にあたることが適当であると考え、対応していくこととしている。

②地域整備事業会計での受け入れについて
会計間であっても利率や返済の方法を定めなければならないと思うが、地域整備事業から一般会計への105億円の貸付条件は?
 
(答弁)(企業庁総務課長)
平成24年3月に企業庁が一般会計に対して貸し付けをしている。
毎年度、貸付期間や貸付利息等条件の変更について、協議を行っており、平成26年度について、貸付期間は平成27年3月31日まで延長し、貸付利率は0.310%としている。

企業庁が一般会計に払う地代は一か月500万円とのこと。それをそのまま105億円の借入金償還財源に使うということらしいが、
年間の企業庁受取利息105億×0.310%=3278万円①
年間の企業庁支払地代500万×12=6000万円②
年間の企業庁受取元金500万×12=6000万円③
と資金の出入りを単純に見れば、企業庁側は、27年度は3,278万円の収入増となるかと思うが、そうではない。
 企業庁・地域整備事業の105億円とはいっても企業債等の外部調達コスト(金利)がかかっている。このための起債ではないことから、借り入れ全体の借り入れレートを確認しなければならない。
  地域整備事業の借り入れ(負債・企業債970億円、一般会計100億円・県債管理基金借り入れ金320億円を含む。計1390億円)に対する26年度の支払い金利はどのくらいの金額なのか? また、それにより、借り入れ全体を分母として、支払い金利を分子とする平均借り入れレートは何%になっているか?
 
(答弁)
そもそも地域整備事業は年度間の収入が一定ではないこと、また、整備費用の投下から回収まで時間差があることから常に一定の資金を運転資金として保有しておく必要がある。この貸付金については、こうした留保資金を活用したものである。他の地域整備事業債のように、回収が長期にわたる土地造成事業資金の財源として企業債を発行して調達したものではない。
従って、この借入金の利息と当該貸付金の調達コストを比較して考えることは適切ではないと考えている。
 しかしながら、委員のおっしゃるような形で計算すると、借入金に係る26年度の支払利息は総額決算見込みで13億7,600万円、その算定基礎となる借入金の額は1,435億1,300万円となっており、これを分母とすると、借入金に対する利息の割合は0.96%となる。あくまでも仮に計算した場合の数値としてご理解いただきたい。
 
③損失が出た場合の一般会計からの補てんについて
平均借り入れレートを1%として、
年間の企業庁支払利息は105億×1%(支払い利回り)=1億500万円④
① -②+③-④=▲7,222万円 以上の利益をあげないと損になる。
貸付は0.3%、調達は1%では利益を105億円の0.7%で回していかないといけない。これは官営企業では簡単ではない。過去のゴルフ場経営の負担が更に拡大するということにもなりかねない。明らかに借り入れレート以下の条件で105億円を貸付けているのでかなりの黒字を出さないと持っているだけでは赤字となってしまう。
 
財務状態から実質的には全額外部借入といっていい。バブル期を含む過去の民間の経営でも、この青野事業は結果として利益がでなかった。青野運動公苑土地信託事業の損失の105億円は減少するどころか、支払い金利を考えると更に拡大する可能性がある。減少させることができるのか?逆に損失が出た場合の一般会計による補てん等についてはどう考えるのか?
 
(答弁)(地域振興課長)
現行の信託事業においては、借入金元本を返済できるほどの運営はできていない現状にある。信託契約期間満了後、企業庁が公募により選定する民間事業者のノウハウを活用して経営を行うようになれば、料金戦略の見直しや営業活動の徹底などにより売上げを増す一方で、管理経費の削減により収支を改善し、健全経営を行えると考えている。
 現行経営について調査した専門家からも改善の余地があるとの意見が述べられている。また、平成27年度当初予算では12月から3月までの4ヶ月の運営で2千万円の事業者納付金を計上しているが、他の自治体が所有するゴルフ場ではこれ以上の納付金を県に納めている例もある。
 このため、企業庁より受ける賃借料を原資として借入金の返済に努めながら、事業運営を取り巻く環境を見極めつつ、返済方法を幅広に検討していきたいと考えている。

(3)県債管理基金の貸付金320億円の行方について
①県債管理基金の貸付金の扱いについて
都道県間の相対比較では新しい財政指標の制度がスタートした平成19年度の将来負担比率がワースト 1位の361.7%だったものが、直近の25年度決算では341.1%、27年度当初予算ベースでは338.8%。
 一方、もう一つの指標である実質公債費比率では導入時の平成17年度決算、全国ワースト3位の19.6%だったのが、直近の25年度決算では16.2%とワースト13位、借換の平準化を終えた27年度予算ベースでも18.0%となる見込みで、新行革プランの目標達成は可能となる見込みである。
 
過去に実質公債費比率の算定に大きく影響する県債管理基金の積立不足について質問した。平成21年10月13日の平成20年度決算の県議会決算特別委員会の財政状況についての質問では、県債管理基金の中に土地や美術品などを含めていることを問題視し、一部は改善された。昨年の私の本会議質問の結果、集約基金の内訳も予算説明書の公表された。しかし、未だ改善されていないものもある。今回は任期の最後の質問であり、それについて取り上げる。
 
県債管理基金には、企業庁の地域整備事業会計に対して平成18年度以降約320億円の貸付がある。
 
総務省の地方債に関する省令第3条第2項では、基金の積み立て不足を計算する際に、年度を超えて一般会計または特別会計に貸し付けられたものの額がある場合については、当該額を基金残高から控除すると記載されている。企業会計は特別会計に含まれており、明確に年度を超えて貸し付けていることから、減額計算しないのは適切ではないと考えているが、
 
「公営企業である企業庁の保有資金等の状況から考えて、一般会計への償還、すなわち現金化が可能なものであるため、減債基金残高から控除していない」と独自の解釈をしているとのことだった。法令の解釈として全く理解できない。
 
地域整備事業については、簿価487億円もの進度調整地という長期保有土地を保有し、27年度でも企業債の借換率が80%を超えるなど、未だ売却のめどが立たない土地を多く保有していることから、そのための貸付かと思って調べると、逆に地域整備事業会計から一般会計に対して⑱100 ⑲120㉓105の計325億円が貸し付けられている。
 
県債管理基金から地域整備事業会計に320億円が貸し付けられ、地域整備事業から一般会計に325億円が貸付けられている。
 
県債管理基金から一般会計に直接お金を貸し付けると貸付とはならず「取り崩す」という。取り崩せば基金の額は減る。これが地域整備事業会計を経由して貸し借りしたら貸付金として基金は減らないという。
 
お金に色がついていないとはいえ、地域整備事業を相手に、貸し借りし、325億円が一般会計の収支不足を埋めるための財源として現に何年もの間、活用されていることから、総務省令や債権債務の考え方からしても、会計間の債権債務を相殺する必要があるのは自明である。
 
この320億円の県債管理基金の貸付金を、実質公債費比率算定の基金残高から減額しないことは総務省令にてらして不適切ではないか?

(答弁)(資金財産室長)
ご紹介のあった地方債に関する省令第3条第2項についての解釈は、現時点においても変更していない。
すなわち、公営企業である企業庁の保有資金等の状況から考えて、一般会計への償還が可能なものであることを考慮し、減債基金残高からは控除していない。
会計間の債権債務の相殺についての指摘は2つの事例である。一つの、基金から地域整備事業会への貸付けは、旧北摂特会の企業庁移管前の平成11年度に土地造成費として貸し付けたものであるもの、もう一つの、地域整備事業会計から一般会計への貸付金は、運転資金(内部留保資金)の運用として、平成18年度以降に実施されており、2つの事実は目的を異にしていることに留意する必要がある。

(答弁)○総務省令の解釈について(企画県民部長)
総務省出身ではあるが、現在、解釈をする立場にはない。県の財政を預かる立場としては、資金管理室長が申し上げたとおりであり、公営企業である企業庁の保有資産、保有資金の状況から考えて、一般会計への償還が可能であるものであることを考慮して、減債基金残高からの控除はしないという解釈である。

③今後の扱いについて
取り崩す基金残高の余裕がなく単年度赤字に陥る可能性のあった時とは違い、県債管理基金の残高も他の目的基金からの集約分を除いても27年度末で2,182億円の残高がある見込みであり、取崩しにも十分対応できるようになってきた(集約分込みで3,480)。
実質公債費比率が他の都道府県との比較において用いられる客観的な相対指標であることに十分留意し、そろそろこうした手法の解消を考える時期だと思う。31年度以降の次なる行革

企業庁・播磨科学公園都市・ひょうご情報公園都市の進度調整地等が新行革プランではどのように記載されているか
面積(ha)1,378.63 金額(百万円)48,744 のうち
今後借入金への対応を要する用地 面積(ha) 214.98 金額(百万円)329億83百万円→やはりお金はない
何かしらの方法で資金手当をしないと、企業債を償還することが難しいと当局自体が認めている。一般会計から返済を受けないと駄目ということ。
 
貸付金の中には、先ほどの青野運動公苑土地信託事業の損失負担分の105億円も含まれる。年間の返済額が6000万円で元金105億円を返済するには176年かかる。このような超長期わたる貸付を含めたものが相殺に含まれる。

(4)長期保有土地の今後について
昨日議決された26年度補正予算では、宝塚新都市計画用地の一部を県有環境林として取得したが、この計画は県が平成4年度に基本計画を策定、約1,100億円の予算を投じて1,200ヘクタール余りの用地を購入したものの一部である。
 この宝塚新都市計画用地だけで24年度から26年度までの累計で738.48ha720億円を県有環境林特別会計に移管した。
 もともとこれらの土地は公社等が外部資金を活用して先行用地として取得し、さらに県が公共用地として先行取得債で起債取得し、この10年起債の償還期限を迎えて、また新たに県債を起債して取得されるもの。
 県債償還の考え方だと、また改めて最長30年の借金をしたということになる。当然、県債だから元金償還だけでなく金利もかかる。
環境林の目的は県土の保全とか環境保全とかだったとか思うが、第3次行革プランでは「直ちに利活用等が見込めない山林は、県有環境林として取得し当面の間適正管理」するとしているだけ林かどうかは関係ない。
 
そこで、まず、宝塚新都市用地の他、現在まで県有環境林として取得した長期保有土地の面積とその金額を確認したい。

(答弁)(資金財産室長)
県有環境林については、平成20年度以降、財政状況を勘案しながら順次取得しており、平成25年度末までの6年間で合計7用地、1,286ヘクタール、666億円を取得している。また、今年度2月補正予算の用地345ヘクタール、372億円を含めると、合計で1,631ヘクタール、1,038億円となる。
 
そのうち、国の交付税措置の対象となる金額をうかがうとともに、なぜこれらの土地の取得のための借金や利払いに、(元利償還金の30%もの)国の交付税措置が受けられるのかうかがう。

(答弁)(資金財産室長)
このうち、交付税措置のある地域活性化事業債の活用額は430億円である。地域活性化事業債は、事業費に対する充当率が100%でないこと、また、地方債計画における全国枠があることから、活用額は全体の4割程度となっている。
地域活性化事業債は、その対象事業の1つに地球環境保全の見地から保全・活用を図る森林の取得及び整備を対象とした国土保全対策事業がある。県有環境林の取得は、この事業の趣旨に合致することから、総務省と毎年協議を行い、対象と認められている。

(意見)
この県有環境林特別会計の1038億円のほか、26年度末段階の長期保有土地で、今後、借入金の対応を要する土地が先行取得用地特別会計、土地開発公社、公営企業用地などの合計でまだ1,323ha 1,366億円にも及ぶ。これらを今後どうするのか課題である

(5)平成27年度から始まる滋賀県造林公社からの貸付金分割返済について
滋賀県造林公社とは、民間の土地所有者の土地に、公社負担で植栽、保育を行い、一定の年限を迎えたスギやヒノキを伐採して販売し、その収益を土地保有者と公社で分配する分収造林事業を行う団体である。
同社は、昭和40年に設立され、当時の高度経済成長に伴い増大した神戸・阪神地域の水需要に対応するため、大阪府、大阪市、兵庫県内の5団体とともに、出資・貸付を行うことによって琵琶湖の水源開発に参画してきたところである。
しかしながら、同公社は、木材価格の下落や、農林漁業金融公庫等から借入金の金利が増加したことから債務超過に陥り、債務超過を解消するために平成19年11月、大阪地裁に旧農林漁業金融公庫及び滋賀県と本県を含む下流8団体に対して、債務免除を要請する特定調停の申し立てを行った。
 
大阪地裁から各団体に対する調停条項案とそれに対する調停委員会からの意見書が出され、全ての債権団体は、合計323億円の債権を放棄することで合意し、本県でも、将来の弁済見込額を超える債権を放棄することとし、金額として債権額の約10.9億円うち、約9億円を放棄することとになり、弁済方法としては、残金約1億9,000万円について、今後の分収造林事業の収益を見込み、平成27年から37年間で受け取る長期分割弁済案を選択し、議会に提案した。
 私は、この問題が提起される3年前から、行革特別委員会、常任委員会等において警鐘をならしてきたが、それにもかかわらず、債権放棄額は、当初に県当局が主張していた以上に、県民の財産を著しく棄損させる結果となった。
当時、債権放棄については、やむを得ないものと判断したが、下流8団体のうち本県のみが選択した長期分割弁済案は、今後の伐採収益が上がらなかった場合の保証もなく、経済の変動によって再び同じ結果を招けば、県民の貴重な税金・財産のさらなる棄損につながること、また、弁済完了が平成63年となり、その時点での責任の所在も曖昧となることから、当局提案の議案に会派として反対した。
 
当時、反対討論に立った私は「長期分割弁済の受け入れを前提とした提案については、県民財産の確保の観点から最善の債権保全策と言えず、他の下流団体と同じく、一括弁済方法を選択するべきと考えることから、賛同できず、反対を表明します」と討論を締めくくったが、賛成多数で可決された。会派の反対方針に造反し、退席者が出るなど大きな判断だった。
 
あの平成23年2月議会から丸4年が経過した。旧造林公社分の保有債権は、滋賀県5077百万、兵庫県192百万であり、伐採して売却収益が出たらH27~63で長期分割弁済するとなっている。
本県からは引き続き役員を派遣しているが特定調停後の本県は同公社の経営にどれほど関わっているのか?

(答弁)(エネルギー対策課長)
琵琶湖を水源として活用している本県は、水源かん養のための造林を行う滋賀県造林公社に貸付を行いまして、その経営に参画するために担当部局長が理事に就任しております。予算・決算等の経営に関する理事会は年4回程度開催され、ほぼ毎回出席し健全な経営が行われるよう意見を述べております。具体的には、分収割合変更の加速や変更状況に応じました伐採計画の早期策定、それに基づきました収支計画の変更、間伐材のバイオマス利用の促進等を求めております。また、他の理事からは獣害対策の充実等の意見も出ているところであります。
 
なぜ弁済予定金額を27年度予算に計上していないのかと改めて当時の特定調停の内容を確認すると滋賀県造林公社の27年度の収益を兵庫県は28年度に収入することとなっている。
 
平成26年7月に出された一般社団法人滋賀県造林公社中期経営改善計画に関する経営評価における、年度別計画と実施状況では、27年度には、収入が3億96百万円、支出3億91百万円で6百万円の償還財源が生じることとなっている。
 
しかし、もし計画通り、売却ができたとしても、計画通り返済されない。
なぜなら、収益は公社と土地所有者で比例配分することとなっているが、当初の公社6:土地所有者4の配分から→9:1と変更することが前提の経営計画であり、この配分割合の変更については、中期経営改善計画では、25年度に100%達成となっているが、実績では、25年度末 で35.6%。H26.12.16現在でも45.7%にとどまり、計画自体が厳しくなっている。
 土地所有者の中には、「「木材価格の変動があるなかで現時点での契約変更は時期尚早ではないか」、また、「分収割合の変更について一方的に決めつけるのはいかがなものか」などの意見があり、理解を得るのに時間を要した」と記されている。
 また収益の望めない「不採算林についても、分収造林契約の解約を進める」としているが、平成25度末計画 100%が、実績25年度末 57.6%。弁済順位だが、兵庫県と滋賀県は同一順位。優先して兵庫県が弁済受けない規定。滋賀県も多額の債権保有。経営責任の点では兵庫県の優先弁済を受けて当然だと思うが、特定調停ではそうなっていない。
 
特定調停時、債権者だった大阪府、大阪市、兵庫県内6団体のうち、本県以外は、すでに清算をすませ、一部債権の保全に成功し、既に債権の処理を終えている。
来年度から、収益が本県に見込め、1億92百万円が完済される見込みなのか改めて確認させてもらう。
 
(答弁)(エネルギー対策課長)
平成27年度の伐採については、契約変更が完了した場所から実施することとしております。現状では予定の面積を確保できると聞いております。このため、少額ではありますが600万円程度の収益も得られる見込みであります。ただし、中長期的には委員ご指摘の通り、変更契約の進捗率が予定を下回っていることから、厳しい状況が予測されます。具体的な来年度事業計画につきましては、この3月23日に開催されます理事会で審議することになっております。また、現行の中期経営改善計画の見直しも平成27年度中に行う予定であります。今後、これらの議論を通じまして、債権の全額が回収されるよう粘り強く努力してまいりたいと考えております。

(6)中小企業制度資金貸付金の特別会計化について
時間の関係で質問割愛

3 平成31年度以降の行革について
「2 財政改革の次なる課題について」で指摘した諸課題についは、現在の行革プランでは対策については触れられていない。それらの課題を踏まえ、新行革プランが終了する平成30年度の次の課題の処理について大局的に聞く。

(答弁)(企画県民部長)
本県は、阪神・淡路大震災からの復旧復興に伴って悪化しました財政の改善を図りながら、県民の要請に的確に対応できる持続可能な行財政基盤の確立をめざしまして、行財政構造改革に取り組んできたところでございます。収支均衡の実現など、平成30年度までの財政運営の目標達成に向けまして、着実に進捗しているものと認識しています。
 引き続き行財政全般にわたる改革を進めながら、平成30年度までの財政運営の目標達成に全力を注ぐ必要がございますが、たとえこの目標を達成したからといって、改革の歩みを止めてよいものでないことは承知しております。
 今後も社会保障関係経費の増加が見込まれるなか、健全な財政を維持していくためには、選択と集中を一層徹底していく必要がございますし、また、事務事業、委員いろいろご指摘をいただきました資産・資金管理のあり方、また、組織、公社等について、社会経済情勢等を踏まえて不断の見直しをしなければならないと考えておりまして、これが行革にあたっての基本姿勢でございます。
 まずは第3次行革プランの着実な推進に力を尽くしてまいりたいと考えております。平成31年度以降の行革についてのお尋ねでございますが、まずは現行プランの進捗状況を踏まえた上で、今後の社会経済情勢の変化や国の政策動向等を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。