野田前総理が今日の講演で増税先送りの是非について国民に信を問うという件について「究極のポピュリズム」と批判したと報道されている(下記参照)。

私が昨日付の当ブログで書いた内容と全く同じ考え。国民の投票行動を見切ったうえでの今回解散の争点設定。4年前の参院選、選挙区以外の国民の意識を知らないまま、選挙期間中に消費税増税に言及して大敗し、参院の与党過半数割れを招いた菅元総理の稚拙な発言は万死に値すると思ってきたが、今回の方が民主主義の観点からは悪い。国民の意識を見る目線が違う。負担先送りに異を唱える国民が少なく、選挙に有利と踏んでいる。経済云々ではない。票が入るという点で正しいのかもしれないが、国民を見るその前近代的な発想が怖い。

現行法でも増税の判断には、景気を見極めるという弾力条項がある。衆参共に多数だから法改正をしたらいいだけ。選挙に有利という色気が透けている。

姫路でこの2年いろんな方の話を聞いてきた。景気が良いという話は株価に起因するものや、財産のある方の資産効果の話が中心。消費税の増税を批判する方も多い。

日銀の金融緩和。金融機関の持つ国債を年間80兆も日銀が買い上げ、金融機関を現金で満たし、マネタリーベースを増やす。 金余りとなり、更なる低金利をもたらして、融資の拡大となる。同時に円の価値が低下し、円安に誘導され、輸出企業の利益が確保される。成功するやに見えたこの方法が物価の上昇幅より実質賃金の上昇幅が小さく、実感としては一般の人は恩恵を受けていないとなっている。

国民に信を問う?何を問うのか?

これで、増税を予定通りやれ、と言うのは教条主義とか、原理主義ではなく、世間知らずだ。昔の民主党ならそう言っていたかもしれない。責任ある与党の立場の側が率先してポピュリズムに走った時、どういった対応をするか。政権運営をして様々な失敗を経験してきた。書正論では駄目なのである。

戦後、闇米などに手を出さず、配給だけで生活し餓死した裁判官がいたという話が教科書に載っていた。「渇しても盗泉の水を飲まず」 (陸機『猛虎行』) 、「鷹は飢えても穂を摘まず」。美徳かも知れないが、唯々諾々とと負けるだけでは何の結果もないし、美徳ともされない。

民主党の野田佳彦前首相は14日、東京都内で講演し、安倍晋三首相が消費税増税を先送りし、年内の衆院解散・総選挙を検討していることを批判した。「先送りは景気が悪いからだ。それを追い風に選挙をしようというのか。究極のポピュリズムだ」と述べた。
 その上で「衆院選の争点は消費税ではなく、アベノミクスの失敗だ。株は上がっているが、実体経済に好循環を及ぼしていない」と強調した。
 議員定数削減が進んでいないことに関し「重大な約束違反だ。首相がリーダーシップを発揮することもない。強い憤りを覚える」と訴えた。

共同通信



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