2014.9.29本会議一般質問&答弁内容(一括質問方式)45分 ※答弁に時間を要する質問も想定されるため、時間的制約から一問一答方式ではなく、一括質問方式を選択しました。兵庫県では片道ではなく往復方式をとっており改善を申し入れていますが、改善されていません。申し訳ありません。



1.認定こども園制度の変更について
2.姫路の医療体制の拡充について
(1)災害拠点病院の指定について
(2)県立姫路循環器病センターの移転について
3.中播磨・西播磨地域での医療型障害児・者施設整備について
4.但馬空港問題(兵庫県立航空の検討)について
5.(公社)兵庫県みどり公社への貸付金について(オーバーナイト借入)
6.休眠宗教法人の売買について
7.気象警報区域の細分化について



1.認定こども園制度の変更について
・来年4月から、幼児期の教育や保育、地域の子育てを支援する「子ども・子育て支援新制度」がスタートする。
・消費税率引き上げ(10%)によって確保する約0.7兆円が、恒久的な財源として、この新制度に充てられるが、現段階では消費税は8%。

・新制度の量の拡大と質の改善のためには、0.7兆円では足りず、1兆円超程度の財源が必要であり、政府はその確保に最大限努力することとされている。

・「認定こども園法」の改正により、幼保連携型認定こども園は学校と児童福祉施設の位置づけを持った新たな単一施設として知事等の認可が必要となることから今定例会に「認定こども園の認定要件等に関する条例の一部を改正する条例案」が提案されているところ。

・先日の知事の提案説明では「新制度における幼稚園・保育所等への運営費支援の予定額が国から示されたが、大規模私立幼稚園を母体とした認定こども園では、現行の助成水準より大幅に低くなっており、運営に支障が生じる恐れがある。このため、他府県とも連携し、国に対して改善を働きかける」。

・運営に支障が生じる園があるとの試算もあるが、中にはこれまでの「認定こども園」の認定を返上し、現行の文部科学省の私学助成制度にとどまる選択を考えている園があるとの報道もある。

・兵庫県では平成26年4月1日現在、幼稚園、保育所など118園が認定こども園として認定を受け、その数は全国第1位。子育て支援に力を入れている姿勢があらわれており大変素晴らしい取り組みと評価してきた。

・消費税の増税にあわせ、新たに目的の一つに、待機児童の解消などの「子育て支援」を加えたのに認定こども園を返上して現行制度にとどまるなどということは本来おかしい。

Q. 新制度の幼保連携型認定こども園に移行することで、現行の助成水準より大幅に低くなり運営に支障が生じる恐れがあるとのことだが、県の試算で、大規模園ではどのくらいの減収になることが想定されるのか?
国が改善しようとしない場合、現在の認定こども園が認定を返上し、県内でも旧位置づけの幼稚園に戻ることを希望している園があるのか?また、県として実際に戻ることを認める方針なのか?これまで同様の水準を保つために県独自の支援をすることも検討しなければならないと思うが、県の考えを伺う。

A.認定こども制度の変更について、お答えいたします。
  来年度から始まる子ども・子育て支援新制度においては、国制度に基づく運営費の単価が、園児数が多い大規模園になるほど園児1人当たりの基本単価が急激に低減すること、チーム保育の教員加算が園児271人以上は一律で頭打ちになっているなど大規模園に不利な制度設計になっていることから、大規模園のなかには、年間5千万円を超える減収、園児1人当たりにすると約9万円の減収が見込まれる園もございます。
内閣府、文部科学省及び厚生労働省が実施した新制度への移行に関する
7月時点の調査によると、全国では、私立幼稚園を母体とした認定こども園
926園のうち10.2%にあたります94園、本県内では、55園のうち9.1%にあ
たる5園が幼稚園に戻りたいと申しております。また、新制度への移行に関し
ましては、県としては認定こども園への移行が望ましいと考えておりますが、
各園が判断することとなっております。
 そもそも、新制度に移行して減収となるのは、国の制度設計上の問題でございまして、県といたしましては、園の規模等に関わらず、現行の私学助成の水準を確保することを目指し、国に対し、現場の実態や制度上の問題点を指摘し、制度改善を強く働きかけてきたところでございます。
  今後とも、他の都道府県と連携しつつ、国の平成27年度当初予算編成に向け、引き続き国に改善を強く働きかけてまいります。ただし、改善が不十分となった場合には、具体的にはその段階での検討ということになりますが、一部独自措置も検討してまいりたいと考えております。

(意見)
・子どもを産み育てやすい社会とするのは人口減少社会に歯止めをかけるための最低限の話。消費税率の引き上げにより従前と比べて財源総額は増額される。旧来の枠組みに戻るなど国の施策は本末転倒である。

2.姫路の医療体制の拡充について
(1)災害拠点病院の指定について
・災害拠点病院とは、阪神・淡路大震災の経験を契機として、都道府県内や近県において災害が発生し、通常の医療体制では被災者に対する適切な医療を確保することが困難な状況となった場合に、傷病者の受け入れや都道府県知事の要請により災害派遣医療チーム(DMAT)の派遣等を行う病院のこと。

・拠点病院の指定条件は、建物が耐震構造であることや自家発電設備、飲料水等により外部からの補給が滞っても簡単には病院機能を喪失しないなどの自己完結機能を有することのほか、搬送のためのヘリポートが近接地に確保できることとなっている。

・二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備されることとなっている。既に中播磨医療圏では3病院が指定されている。
県立姫路循環器病センター
姫路赤十字病院
国立病院機構姫路医療センター

・昨年3月に三次救急医療機関として「製鉄記念広畑病院 姫路救命救急センター」が開設された。災害派遣医療チーム(DMAT)派遣も可能となっており、指定要件を満たしているようみえる。今後、2015年1月からは週1~2日程度兵庫県ドクターヘリが、駐機し、準基地病院となることで調整中と聞いている。この際、準基地病院となるにあわせて、「災害拠点病院」に指定し、大規模災害時の備えとして協力を要請しておくべきだと思うが県の考えを伺う。

A. まず、姫路の医療体制の拡充についてであります。
  災害拠点病院の指定についてのお尋ねがありました。
災害拠点病院は、災害発生時に傷病者の受入・搬出が可能な体制をもっていること、ヘリコプターの離着陸場があることなど、災害時における医療提供体制の拠点となる病院です。本県では各2次保健医療圏内に原則1箇所は整備することとし、現在17病院を指定しています。
災害拠点病院に対しましては、県としても、施設の耐震化や、ライフライン・医療資器材の整備助成を行うほか、DMAT(災害派遣医療チーム)の訓練参加費用や災害医療コーディネーター研修費用の助成、ハード・ソフト両面にわたる支援を行ってきております。
国は、東日本大震災の対応で明らかになった課題を踏まえまして、災害拠点病院については、運営面で、DMATの保有・派遣体制をもっていること、施設面では、ライフラインの維持・確保基準の明記など、その指定要件の見直しました。
製鉄記念広畑病院は、救命救急センターをもっていますし、DMATも既に運用しています。運営面については問題はありません。発災後3日間は自力で病院機能を維持するために必要な自家発電機の燃料庫の容量が現状は1日分だということ、飲料水確保のための受水槽の容量が現状が1~2日分だということが、指定要件をちょっと満たしていないという状況にあります。
 県としては、今後、製鉄記念広畑病院とこれらの改善策を協議しまして、中播磨圏域の意見等も踏まえながら、広畑病院の災害拠点病院指定について検討を進めて参ります。


(2)県立姫路循環器病センターの移転について
私が2月議会で質問した県立姫路循環器病センターの移転・新築について、(平成30年以降の話だが)、知事の口から新たな移転先として姫路駅周辺のイベントゾーンが候補地に挙がって以降、地域で大きな話題になっている。

・また、県は関西西圏国家戦略特区・兵庫地区協議会から関西圏区域会議へ (事業の熟度が高まり次第、次回以降の区域計画へ特定事業として追加する事業)「高度医療病院・研究開発ゾーン構想(仮称)」を提案している。

・この事業主体は、兵庫県病院局であるが、連携事業者として、学校法人獨協学園、国立大学法人神戸大学、実施場所は姫路市、時期:平成26年度から検討となっており、獨協学園が設置し、神戸大学等と連携して運営する高等教育研究機関との密接な連携により、県立姫路循環器病センターの医療機能の一層の高度化を図るため、当該センターを総合病院化し、病床を拡充するとなっている。

一方、
・移転候補地のイベントソーンを保有する姫路市の整備方針は、26年度中に基本計画を策定し、27年度から基本設計、実施設計にするとの方針で、
・現在、基本方針素案の段階だが、「高等教育・研究のエリア」は「高等教育を支援する機能や学術研究を促進する機能の導入を想定しているので、単なる、循環器病センターの移転、拡充だけであれば整備コンセプトに合致しない」
・「獨協学園と神戸大学等が連携して運営する高等教育研究機関との連携による総合病院化の計画は、整備コンセプトに合致する土地利用の1つであるが、地域医療との整合など慎重に検討すべき課題も多く、今後、県と十分にかつ主体的に協議する」との市議会での答弁もあった。

・地域医療との整合とは、新たな診療科設置、特区による病床数増という他の医療機関との患者獲得の面での競合であり、更には医師確保という点でも競合が予想される。

・特区制度を活用し600床程度の総合病院化という話も聞こえており、近隣1㎞のところにある独立行政法人 国立病院機構 姫路医療センターをはじめ、同じ三次救急救命センターであり、同じく神戸大学医学部から医師を派遣されている製鐵記念広畑病院への影響を懸念する声もある。

・県民は勿論のこと地域の医師会や地域医療関係者の声も聴かなければならないし、
・病院の土地が姫路市から無償貸与されて、移転後も引き続き同様の支援が必要と考えていることから市の意見も聞く必要があり、県や病院局だけで決められる問題でもない。

これまで
・医療確保に課題がある丹波市域の医療については、「丹波市域の今後の医療提供体制のあり方に関する検討会」から提言を受け、県立柏原病院と柏原赤十字病院を統合し、2018年度にも新たな県立病院を同市内に開設することが今月発表されたが、この検討会は、2病院の当事者だけでなく、丹波市長、自治会長(住民代表)、や医師を派遣している神戸大学医学部から附属病院長や民間のコンサルタントなど様々な観点からの委員で構成されていた。

Q.県立姫路循環器病センターの移転について、そうした地域医療との整合をはじめ関係者の声をいかに聞いていくつもりなのか。また、姫路市との協議内容や今後のスケジュール、新病院の総合病院化の内容等について説明してもらいたい。

A. 姫路循環器病センターは、昭和56年の開設から33年以上が経過して老朽化が進んでおり、第3次行財政構造改革推進方策において、「平成30年度以降建替整備を行うこととし、整備の方向性の検討に着手する」とされていることから、今年度から整備用地についての検討を始めたところである。現在の姫路循環器病センターの敷地には、その大半に構造物が立地していることから現地建替が困難であるため、県としては議員ご指摘のイベントゾーンが有力な移転候補地であるとの認識のもと、地元姫路市と協議を進めているところである。
新病院の医療機能については、高齢化に伴い大幅に増加している合併症患者により適切に対応するためには、内科系の機能強化が不可欠であり、また、救急機能の充実や、獨協学園が検討している研究機関との高度なコラボレーションを図るためには、外科系の機能拡充を図る必要があると考えている。
さらに、今年度導入される病床機能報告や、各医療圏域における医療需要の将来推計等を踏まえて、圏域全体として必要となる医療機能がバランスよく提供されるよう地域医療ビジョンが策定されることになっている。新病院の医療機能については、新たな地域医療ビジョンとの整合が適切に図られるよう努めるとともに、地域の医療関係者との協議の場を通じて、新病院に関するご意見を聴取してまいりたい。


3.中播磨・西播磨地域での医療型障害児・者施設整備について ・重度の知的障害(療育手帳A判定)と、重度の肢体不自由(身体障害者手帳1・2級)が重複する人を重症心身障害児(者)と呼ぶが、県内の重症心身障害児 (者)は約4,000人と言われており、人工呼吸器の使用、気管切開など24時間の介護や医療行為が必要な方も多い。

・重症心身障害児施設は県内では神戸、阪神南、阪神北、北播磨、但馬にあり、これら施設への入所希望者は150人ほどで入所待ちとなっている。
・また、全員の方が施設に入ったり、それを希望しているのではなく、症状が重くても在宅のまま保護者の方と一緒に生活している方も3,000人ほどおられる。

・在宅の場合、保護者の病気や用事などの理由で家庭での介護が一時的に困難になった場合に、どこかの施設で受け入れてもらうショートステイと呼ばれる短期入所サービスが必要となってくるが、施設の地域的な偏りが著しく、実際に 姫路などで子供さんを抱える保護者の方の集まりに参加させていただいたときにも、中播磨・西播磨圏域にこうした施設の整備を求める切実な要望を切実な声として受け、本会議でも取り上げてきた。

・県でも、介護老人保健施設での短期入所設置支援モデル事業をはじめるなど対応してきた。
・障害を持つお子さんを抱えると、長い年月の間に心身ともに疲れ果てて余裕がなくなり、子供とうまく接することができなくなってしまうこともある。自宅から近いところにそうした施設を確保することで、保護者に対するレスパイト・ケアという社会的援助ができることにもなる。
 
・そして、このたび、知事の決断により、平成25年末に県内における医療型障害児・者施設の地域偏在の解消を図るとともに、在宅の重症心身障害児・者への支援体制を充実するため、中播磨地域又は西播磨地域において医療型障害児・者施設の整備運営を行う事業者の公募を行った。

●応募条件として、本体機能に、医療型障害児入所施設及び療養介護事業所[80床程度]、・必須付加機能として医療型短期入所施設[8床程度]があげられた。

・いま、募集締め切りから10ヶ月経過。地域では早期の施設開設を待ち望む切実な声のほか、姫路市内の(社会医療法人財団 聖フランシスコ会)姫路聖マリア病院に内定したと地域の中で広まっている。

・知事も、困っておられる保護者の切実な声を聞いてこられたと思う。公募の結果と、施設の規模や開設までの整備スケジュールの見通しをしめし、見守っている多くの方に早く情報を伝えてもらいたい。

A.中播磨・西播磨圏域における「医療型障害児・者施設」の整備につきましては、有識者等からなる委員会を設置し、医療スタッフの確保や運営ノウハウなど、様々な見地から検討を進めてきました。結果として、整備事業予定者の一つとして、社会医療法人財団聖フランシスコ会姫路聖マリア病院を選定しております。
  この整備にあたりましては、障害者福祉施設整備費国庫補助事業を活用することを前提としておりました。国とも鋭意協議を進めてきました。平成26年度当初の国庫補助予算枠が約30億円でしたが、全国から総額100億円を超える協議があったことから、兵庫県の要求額約2億4千万円を大幅に下回る、9千6百万円という内示でした。
  県としては、「医療型障害児・者施設」の地域偏在の解消に向けて、早急な整備の必要性を強く認識しておりますので、現在、国の補正予算の動向も注視しつつ、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金の活用を国に要望するなど、財源の確保に努めていますが、現在のところ未定です。少なくとも、来年度予算では確保ができるよう、強く協議をしてまいります。
  さらに、地元姫路市と密接に連携しながら、事業者とも施設規模をどの程度にするのか、50床なのか80床なのか等につきましても調整を図っております。来年度中には着工できるよう、国との協議等について今後全力を挙げて取り組んでまいります。


4.但馬空港問題(兵庫県立航空の検討)について
・但馬空港問題、この中でも特に但馬東京直行便の就航について伺う。
・但馬東京便について我が会派で現在の伊丹便の運航主体である日本航空グループの日本エアコミューター(JAC)本社を訪問したことがあるが、東京便の運航について前向きな話はなかった。
・豊岡市のHPをみると、「航空会社では、日本航空(JAL)は現在経営再建中であるため、全日本空輸(ANA)に、より強く路線開設を要請してきたが、前向きな回答が得られず、応募することができなかった」ともある。全日空も厳しい。

・需要喚起のためのPR活動も理解できるが、時間が迫っている。
というのも
・阪神間への接続路となる高速道路「北近畿豊岡自動車道」のうち、八鹿までは供用開始しているが、現在建設中の八鹿日高道路も過日、平成28年度(2016年)の開通見通しが発表されたほか、空港最寄りの豊岡南ICまでの日高豊岡南道路も用地買収が8割に達し、既に工事中である。そう遠くない時期に北近畿豊岡自動車道は完成するだろう。

・国土交通省のHPや建設計画の交通需要予測を見ても、この高速道路が阪神間との新たなパイプとなることは間違いなく、空港利用率の低下要素となる。
●[豊岡河川国道事務所HP]では、
北近畿豊岡自動車道が全線開通すれば、豊岡から大阪まで、約2時間20分で行くことができます。3時間近くかかっていた道のりも、2時間ちょっとで行けるようになるから、鮮度が重要な水産物も、早く消費地に届きます。また、京阪神はもちろん、東京までの時間も読めるようになって、ビジネスもより円滑に

・但馬空港は、大阪まで40分と宣伝されるが、豊岡駅・大阪駅を起点に考えると、実際は特急約2.5Hと飛行機利用2Hと30分ほどしか時間は変わらないが、これに高速道路が加わる。

・県では先月26日に外部有識者を交えた「但馬空港の利活用検討会議」の第一回会議を開催し、①伊丹便運航継続の是非②羽田直行便新規就航の可能性等について検討するとしている。この検討事項は県議会や地元市町でも20年間議論をしてきた内容で有識者とはいえバラ色の結論は難しい。

●現在の機体SAAB340B(1994.12)
日本エアコミューター株式会社整備管理部 整備技術グループ主任岩本慎一氏「航空機は二十数年をひとつの目安として整備を継続しながら運航を行う」。今年で20年使用となる。

・北近畿豊岡自動車道の完成や機体の更新時期も見込まれる中、高速道路開通後も、但馬空港を維持するために年間5億円程度の予算措置を続けるのは厳しい。

Q.知事は東京直行便を飛ばすことに協力してくれる民間航空会社がない場合、県立航空会社を設立することも選択肢の一つという考えを過去に示されたこともある。今でもこの考えがあるのか伺う。

A. 開港20年を迎えたコウノトリ但馬空港は、伊丹空港を経由して全国に繋がる貴重な高速交通基盤であり、但馬地域の交流人口を拡大し地域活性化を図る上で重要な役割を担っております。今年は開港20年を迎え、利用者も50万人に達する見込みです。特に、人・モノ・情報が集積する首都圏との交流促進は不可欠であり、現在も伊丹経由羽田の利用者が年間1万人を超えており、羽田直行便は地域活性化の切り札として、今後もその必要性はますます高まるものと考えています。
羽田直行便の実現に向けては、これまで、既存航空会社への働きかけ、新規航空会社の設立等、新規就航に向けたあらゆる選択肢を検討してきました。新規航空会社の設立には、多額の初期投資と運営体制の整備が必要となるなどの課題があると認識しております。なかなか難しい問題があります。
一方、現在、但馬・京丹後地域と首都圏を移動する航空旅客の内、但馬空港以外の伊丹空港などの周辺空港を直接利用されている方、つまり伊丹空港等に他の手段で行かれて東京便を利用されている方が、年間約2万6千人に上ります。羽田直行便の実現により、その一部が但馬空港利用に転換することを考慮しますと、現在の伊丹乗継ぎ利用者と合わせて、年間約2万7千人が羽田直行便を利用すると想定することができます。この前提のもとに、運航収支を試算したところ、機材の提供を前提とすると、運航事業者は赤字でない運航が可能になると考えています。
こうした利用予測や運航収支の考え方をはじめ、羽田直行便新規就航の可能性、伊丹便運航継続の是非、空港の多面的利用につきまして、本年8月に発足した但馬空港の利活用検討会議において検討していただいているものです。
今後とも、検討会議において議論を深め、運航事業者の確保、羽田発着枠の獲得等、羽田直行便の実現に向けた取組みを進めてまいります。
ご理解をいただきたいと存じます。

5.(公社)兵庫 県みどり公社への貸付金について(オーバーナイト借入)
・24年度包括外部監査人が指摘した県みどり公社のオーバーナイト借入について
・オーバーナイト借入とは、外郭団体等が3月末の年度末に数日間だけ市中の金融機関から資金を借り、4月の年度開始後すぐに金融機関に返済するという資金繰りの方法である。

・県が外郭団体等に貸し付けていた資金を年度末の3/31に一旦回収し、翌年度4/1に再び貸付をすることから、団体側は毎年市中金融機関から年度末のその2日間の短期融資を受けなければならないということである(土日を挟む場合は最大4日。24年度は4日間)。

●24年度の包括外部監査「環境行政に関する財務事務の執行及び出資団体の経営管理について」
「①単年度貸付金による財当該貸付金の主な使用用途は、くらしを支える森づくり事業(平成6年開始、平成100年事業完了予定)の初期において、民間の森林所有者から育林地を取得した際の資金であり、おおむね平成11年までに取得は完了しているが、その後発生した森林整備費が上乗せされ、平成23年度末には貸付金の金額が4,322百万円となっている。当該貸付金は実質的には超長期の貸付金であるが、契約上は年度期首に貸付を行い、年度末に一旦返済するという単年度貸付を繰り返し実施しており、年度末から翌年度初日の2日間はみどり公社が民間金融機関から借入することによりつないでいる(いわゆるオーバーナイト借入)。

・「オーバーナイト借入を実行することにより、みどり公社には毎年400千円程度の利息費用のほか、同じく400千円程度の印紙税も発生している。また、借入条件を決定するための金融機関との交渉といった事務負担も生じているが、これらは経済的には不要なものであると言える」と指摘されている。

・これらの監査意見に対して県は、「これまでの間、県が単年度貸付を行ってきた理由は、①現行の地方債制度において、兵庫みどり公社の森林が主伐時期になるまでの間の超長期の地方債を発行することが認められていないこと、②一般財源により一度に所要額を確保することも現下の情勢では困難なことなどであり、県が取り得る手法として適当であると考えている 」と回答しているが、前者はそのとおりであるが、資金がないとの回答はおかしい。

・県議会に提出された24年度の県の決算をみると出納整理後の県債管理基金の残高は4667億円。土地や有価証券等を除く現金だけでも2614億円あった。これならみどり公社から資金を引き揚げる必要はない。

また、私が更に調べたところ、みどり公社の24年度決算を見ても、オーバーナイト借入について、流動負債に該当するはずだが記載がないことがわかった。翌日に返済する予定の資金という趣旨からすれば翌1年以内に返済する負債として「流動負債」に計上しなければならないはずである。

●流動負債-貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に支払の期限が到来する債務(貸借対照表上は県借入金2389百万の残高があるが、これはオーバーナイト貸付ではない)。

・更に詳細を調べると、監査人に指摘されたオーバーナイト借入は約40億円とのことだが、固定負債の増減は300億円規模となっている。いずれにしろ公開される決算資料をみただけでは実態はわからない。

Q.県みどり公社のオーバーナイト借入の総額は24年度、25年度各決算でいくらあったのか? また、銀行に支払った利息と、印紙税の額は?

Q.なぜ2日間だけの借入金を流動負債としないのか?

Q.こういった単年度貸付については、平成21年6月23日総務省自治財政局長通知「第三セクター等の抜本的改革の推進等について」において、「第三セクター等に対する短期貸付を反復かつ継続的に実施する方法による支援は、安定的な財政運営及び経営の確保という観点からは、本来長期貸付または補助金の交付等により対応すべきものであり、当該第三セクター等が経営破綻した場合には、その年度の地方公共団体の財政収支に大きな影響を及ぼす恐れがあることから、早期に見直すべきである」とされている。
国の通知だけでなく、監査人も、「単年度貸付金による財政支援は速やかに見直し、長期貸付に切り替えるべきである。」との意見を付しているが私も、同様に早期に見直す会計処理を求めるがどうか?

A.兵庫みどり公社への貸付金につきましてお答えいたします。国が開始した分収造林事業は、昭和33年の制度発足当初から、林業公社において本格的な伐採収入が得られるまでの長期間を見据えた資金手当てがなされておりません。そのため、やむを得ず県の貸付金に頼らざるを得ない構造になっておりまして、国による制度化が図られるまでの間は、暫定的に県が単年度貸付という手法により資金手当てを行っているものでございます。
オーバーナイト借入の総額につきましては、平成24年度は301億1,076万円、25年度は314億8,088万円でございます。当該借入に係る金融機関への支払利息は、平成24年度は487万円、25年度は254万円でございます。県の貸付に係る印紙税は、両年度とも60万円でございました。
オーバーナイト借入の期間は1年以内であることから、形式的には流動負債に該当いたしますが、分収造林事業においては、当該借入金と県による単年度貸付との通算で継続的に事業資金を手当している実情を踏まえまして、固定負債として整理しております。
分収造林事業は、国が枠組みを設定して推進してきたものであることから、国に対し日本政策金融公庫資金の貸付対象経費の拡充や低利子化など抜本的な対策を講じるよう他府県とも連携して要請しているところでございます。
このような状況のもと、県としては、公社独自の経営改善及び県の財政負担への影響等を総合的に勘案し、当面、必要最小限度の額について、単年度貸付金による支援を行わざるを得ないと考えております。今後とも、県やみどり公社等を取り巻く社会経済情勢等の変化に対応しつつ、様々な観点から公社への資金の支援方法を検討してまいります。

《再質問》今年度末もこのままいけば、たった2日間だけ資金を引き揚げて300万円もの金融機関に無駄な金利を払ったり印紙税を収めることになる。こんなことに何の目的、メリットがあるのか?

《再質問:答弁者 井戸 敏三 知事》
全然得になりません。問題は単年度予算主義です。単年度予算主義の中で、一般財源の非常に窮屈な状況で、公社に300億円を超すような金を融通しようとしたら、この方法しかなかったということでございます。
私から言わせれば、もともと分収造林の公社での運用を推奨したのは国なんです。国はですね、自分の林野特会はこのような仕組みとは違い、たばこ税の増税で解消しました。にもかかわらず、都道府県の造林公社はほったらかしなんです。資金手当についても十分な資金手当をしておりません。政策金融公庫の融資制度は利子が高い、そういうこともありまして、我々としては、今の段階ではやむを得ない措置なのかなと。ほかの手段を講じますと、より利息が嵩んでしまって経営を圧迫してしまうということになりますので、年度末の、単年度予算主義を前提に考えますと緊急避難的措置になるかな、ということで、今のお答えを申し上げた訳でございます。もっとうまく対応できる方法があるならば、検討していきたいとは思っています。
行革の、みどり公社の方法につきまして、このような対応につきましてグラフを描きまして、長期的な対策についてもお示しさせていただいておりますのも、今申しましたような趣旨から健全化を図りながら、資金手当てはこうしていくんだという趣旨を説明しているものでもあります。よろしくご理解いただきたいとお願いします。


6.休眠宗教法人の売買について
・近年、活動実態のほとんどない休眠状態の宗教法人が、税制上のメリットを目的に売買の対象となったり、犯罪で利用されたりされていると報道されている。

・憲法で保障された信教の自由を守るために、多くの税制上の優遇措置があるのが宗教法人法の手続きにしたがって法人格を取得した宗教法人。

・このうち、兵庫県内にのみ境内建物を備える宗教法人や兵庫県内にのみ被包括宗教法人を有する包括宗教法人は兵庫県知事が所轄することとなっている。それ以外の複数の都道府県で活動する宗教法人は文部科学大臣が所轄することになっている。

・活動実態がない休眠法人の売買については、ネット上では現在もそうした情報に接することができる。

・県の所轄する宗教法人は、年一回知事に対して、役員名簿や財産目録の写しを提出することが法律上義務付けられているが、実際に活動していない休眠法人は、こうした書類を提出していない可能性が高い。

・現在、兵庫県知事が所轄する宗教法人の数は平成26年3月31日現在8,739法人。都道府県別では、愛知県に次いで全国2番目の法人数となっているという。そこで伺う。

Q.上記の提出書類を提出しない法人数は直近3か年でそれぞれいくつあるのか?

Q.法律では、書類の提出を怠った場合に、十万円以下の過料の処分が規定されているが、同じく直近3か年で過料事件となった数と実際に過料を支払った法人数はいくつあるのか。

Q.法律では、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」と認めた場合などに知事が裁判所に法人の解散を請求することができるとある。休眠法人を売買しようとしているとの情報を得た場合などは、如何に対応しているのか

A. 宗教法人法では、年1回、役員名簿や財産目録等の事務所備付け書類を提出することとされている。本県が所轄する宗教法人数は、全体で8,800弱あるが、このうち、督促したにもかかわらず、これらの書類を提出しなかった法人数は、平成22年が185、23年が202、24年が292で、未提出率は過去3年の平均で全法人の2.6%となっている。
 これらの宗教法人については、代表役員を欠いた状態が続くなどの理由により不活動状態となっている法人を除き、裁判所に過料事件に該当することを通知し、裁判所が過料を決定することとされている。過去3年の通知件数は、平成22年が75、23年が127、24年が192で、過去3年の平均で全法人の1.5%であるが、実際に過料の決定がされた法人数は、裁判所からの通知がないので把握していない状況である。
 ご指摘のとおり、法人が売買され、税法上の優遇措置等を悪用されるケースもあることから、法人を売買しようとしている情報を得た場合には、その情報だけでは直ちに解散命令の請求はできないものの、宗教活動や礼拝施設の現状、代表役員等の選任経過等、当該法人の実態について現地調査を含め十分な調査を行った上で、宗教法人法の定める要件に該当すれば解散命令を請求するなど、必要な手続を行うこととしている。
 なお、解散命令の要件である「著しく公共の福祉を害すること」の立証や解散後の清算手続を行う清算人の選任が困難であることなどから、解散命令の請求に至ったものは、近年では平成19年の2件となっている。


7.気象警報区域の細分化について ・昨年の秋の朝、姫路駅周辺で学校が休みになって喜んでいる高校生の集団を見掛けた。別の日にも、事務所のある播但線の砥堀駅で学校が休みになって喜んで自転車で帰っていく光景を見た。いずれも大雨洪水警報が朝、姫路市に発せられて学校が臨時休校になったからである。実は2回とも、その場所では雨は降っていなかった。スマホで降雨状況を見たが、北部や南部に偏っていたことを記憶している。

・姫路市は、東西36㎞、南北56㎞、面積534.4㎢、兵庫県下の6.4%
・例えば瀬戸内海に浮かぶ家島町で大雨かもしれないが、北部の夢前町の雪彦山では晴れている場合もある。現在の気象警報の発表基準では、特定の一部地域でも強い雨が降るなど一定の基準を超えると大雨警報が発せられるが、他の地域で雨が降っていなかったとしてもそれは関係ない。
・結果として市全域の学校が臨時休校になる場合もある。
・台風など広域に雨を降らせるものなら広域的な警報でも構わないが、

・大雨洪水警報で最も大きな影響を受けるのは学校現場
・子どもにとっては休みが増えて嬉しいかもしれないが我々のころと比べて土曜授業も廃止されており、実質臨時休校は授業時間の減少となる。
・学校給食のある市町立小中学校や県立特別支援学校、定時制高校など大量の食材が廃棄される二次作用もある。

・近年はゲリラ豪雨と言って局地的に雨が降る場合も増えている。
・浜松市や静岡市などは同一市でも警報区分が南北にわかれている。

Q.気象庁に地域の実情などを的確に説明するなどして島嶼部と山間地を有するような姫路市などの大きな市域は警報の発表区域を南北に分けて細分化するなどの対策を求めるべきではないか?

A.気象警報や注意報の発表区域、かつて県の南部と北部の2つだけでございましたが、その後観測技術の発展によりまして、平成14年3月から8つに分かれておりまして、その後平成22年5月から現在の市町単位に変更されているものでございます。近年、局地的な大雨が頻発をいたしまして、警報発表の頻度も増しております。そのようななかで、ご指摘のような不便が生じていることも認識をいたしておりますし、防災対策を推進する上でも、より細分化された発表が期待されるところでございます。
現在、発表区域が分割されている市町村は全国に26ございます。これらは、いずれも、従来は異なる発表区域であった市町村が合併をした、あるいは飛び地によるこういった理由でございます。
県では、平成22年、神戸市や合併により面積が広がった市町からの要請を受けまして、区単位あるいは旧市町単位での発表を気象台に要望をいたしております。
気象台からは、一つ目には、地元市町からの一致した要望であること、二つ目には、分割後の区域での避難勧告等を発令する態勢の整備、三つ目には、警報発表の基準値設定のための災害資料の整備、これらが求められております。一方で、気象台としても、雨や風など全ての警報を対象とすることは非常に複雑・煩雑になることや、予測技術の向上が必要になる、こういったことを理由に、土砂災害警戒情報の細分化を優先してはどうかという意向が示されているところでございます。
県としては、引き続き、細分化を希望する市町に対しまして、気象台の求める条件整備の助言をしてまいります。あわせて、気象台に対しましても、様々な機会を通じ、発表区域の細分化を働きかけてまいりたいと思っております。

自席から再質問。持ち時間が残り30秒しかありませんでしたので、オーバーナイト借入のデメリットについてのみ再質問しました。