先に安倍総理が議長を務める政府の産業競争力会議の有力民間議員の一人である楽天の三木谷社長が今回の参院選東京選挙区で誰に投票したかを公言してネットでは大きく取り上げられていた。

驚いたのは与党候補が3人もいる中で野党の鈴木寛候補に投票しそれを公表したこと。東京選挙区の顔触れからは順当な判断だと思うが、先に薬のネット販売を解禁する判断を既存の支援団体の反対がある中で決断した現政権幹部や東京選挙区の与党陣営の中には、こうした公表に怒り心頭の人がたくさんいるだろう。

以前、かつての新進党や民主党の野党時代に作曲家の三枝成彰さんが党の機関紙に応援メッセージを堂々と載せ、その応援を公言されていた。アメリカなどでは映画俳優などの有名人が野党の応援を表明し、演説会の弁士をつとめたり、政治資金パーティーを主催することもあるなど、珍しいことでも何でもないが、日本では、一党が政権を独占する状態が50年近く続き、野党の応援の公言などはタブーに近かった。

三枝成彰さんの場合、野党の応援を公言して10億円もの仕事を失ったと振り返っておられたことを覚えている。そんな時代だった。

鈴木寛さんのHPに掲載されている応援者のリストを見ると、私が過去見てきた野党候補の中では断トツに多くの著名人が顔を並べているし、多くのメッセージを載せている。関係なく立場を明らかにして得をすることがないことぐらい、ここに載っているような方は皆知っているだろう。この鈴木寛さんにしても公示前の調査で当選ラインに届いておらず、もう一人の候補の公認を急遽取り消したほど厳しい戦いとなっている。能力の高さは一緒に仕事をした人なら誰でもわかるし、人柄も良い。明らかに国政に必要な人だから著名人もリスクをとって応援して下さっているのだろうが、浮上していない。今の党に対する風はそれほど厳しい。党が個人の評価を邪魔するような状況ということだ。

鈴木寛参院議員候補のHP

しかし、政治家の応援を公言することが憚られる社会には戻らないようになって欲しい。「好きなタレント」をプロフィールで公言するようにまでいく必要はない。ただ、自由に思想信条を明らかにできる社会であって欲しいと思う。