その後、会派の政務調査会。会派としては今年度最後の調査。まずNPO法人ワーク・ライフ・コンサルタントの藤島一篤理事長による公契約条例の現況と「これから」。


講師は元県職員で、18年の勤務後、ワークライフバランスを生涯の仕事にしたいということで独立したという。

公契約条例とは国や自治体の事業を民間企業などに発注・委託する際に結ぶ契約について、受発注者の責任や公契約の下で働く人の適正な賃金水準や労働条件の確保を盛り込んだ条約のこと。パリ市における公共土木工事の請負契約(1888年)で最初に用いられた概念という。

国内では2009年の千葉県野田市で初めて条例化され、現在は相模原市、厚木市、渋谷区などでも条例化されている。

条例の規定内容は自治体ごとに異なるが、現在のところ、雇用や賃金動向に大きな変化は見られていなかったり、効果が計測されていないという(清掃業務の賃金が改善された野田市の事例はある)。行政側の所管部局が契約所管課であるため、限界も見られるという。また、導入による作業報酬の履行確認作業の煩雑さや公契約以外の請負契約は対象外のため、民間全体の賃金への波及が見込めない、また最低賃金法※との二重基準の課題もあるという。

最後に「働くことが幸せに感じられる社会を実現」したいとの強い思いを述べられた。

※条例以外でも、国の「最低賃金法」「公共工事入札適正化法」「品質確保法」、「最低制限価格制度」「低入札価格調査制度」などで公共工事の受注競争激化や労働条件確保に対応している。

その後、ひょうご仕事と生活センターの北条勝利センター長から同センターの活動状況を紹介頂く。



センターは、阪神淡路大震災後、労使紛争が増えることを懸念した県当局が設置(平成8年)した「ひょうご労使相談センター」が発展したもの。労使双方のアドバイザーがセンターにはいるので労使双方に公平な問題が解決できるという。斡旋による紛争解決機能も有する。

現在は、育児介護等との両立支援や長時間勤務の削減などの相談員派遣やワークライフバランス、ダイバーシティなどの研修を実施している。また、中小企業の育児休業・介護休業代替要員確保支援助成金、同離職者再雇用助成金の窓口でもある。センターは政労使三者、つまり県、連合兵庫、県経営者協会の取り組みである。