テレビで朝の報道番組を見る。TPPの次は、税と社会保障の問題がクローブアップされている。年金の問題などでは既得権ばかりが優先され続け、先送りを続けている。若者の政治不信は深まるが、若者の投票率は上がっていない。ただでさえ数が減っているのに選挙にも行かないのだから、施策に反映されにくい。しかし、誰かが声なき声を聞かないと本当に不公平な活力のない社会になってしまう。

その後、他の議員らと宗教・仏教の研究会。意見交換会。その後、サンシャイン青山。民間企業の退職者の会。挨拶、懇談。その後、姫路駅前に戻り、みゆき通りのはまもとコーヒー。四方山話。



その後、実家の母らと夕食懇談。その後、大阪市長選で橋下前大阪府知事が当確。NHKなどでは午後8時の投票終了と同時に当選確実の速報。

この間、この選挙の予想を兵庫県民の皆さんから聞かれることが本当に多かった。そうした場での私の回答は橋下圧勝、ダブルスコアを超えるかもしれないというものだった。実際はそれほど差が開かなかったので逆に驚いている。「変える」と「継続」の戦いで現状の大阪の状態から考えれば後者はあり得ない。

同じ人口当たり公務員の数は政令市の中で突出して多く、その待遇も厚遇問題として全国に先駆けて取り上げられ、一方で生活保護率は政令市どころか全国の自治体の中で最高。その大阪市について橋下氏のような「攻め」の得意な政治家に「大阪市役所をぶっ壊す」とやられ、それが在阪メディアに大きく報道される。この構図からどう考えても最初から勝ち目がないと言えるだろう。かかわっている人もいたので大変申し訳ないが、客観的にみさせてもらっていた。

争点として報道されていた都構想なんて大阪府民のプライドをくすぐるものでしかない。この点について、開票速報を伝えるフジテレビのザ・サンデーでは木村キャスターが、都構想は「政令指定都市である大阪市にメリットはない」と断言していたが、市の権限を府や都にあげる方向性に国会で多数の賛成を得て法改正となるわけがない。都構想は国政への足がかりとして政治的に利用されるが、いつの間にか消えていくのではないだろうか。

そんなことより、これからの現実の問題で注目するのは、橋下氏が大阪府知事から大阪市長へ転進したという点である。中二階とも言われる府の知事と違って政令市の市長の実質的な予算や権限は極めて大きく、住民に与える影響も格段に大きい。橋本氏の当選後の記者会見をみると、補助金のカットのほか、大阪市の職員に対して敵意むき出しで、市役所入りした際には覚悟しておけ的な姿勢であった。特に「政治的な活動をしてきた職員」と表現するなど、前市長を応援してきた職員に報復する強い意志を感じさせた。

彼は今回の選挙にあたり、独裁が必要などと講演の中で言い、増長していると捉えられた週刊誌には家族関係を含めて相当バッシングを受けていた。自らの子どもにも影響を与えているとしてツイッターなどでも強く憤っていたようだ。家族に迷惑を掛けているのは自分が市長選に転進したことが原因と捉えているのは容易に想像できる。当確後の鬼気迫る会見は、喜びの表情ではなく、まさに「手負いの虎」のようであった。大阪市で選挙にかかわった職員も覚悟しているだろう。

また、大阪府知事選挙でも維新の会の候補者が当確。こちらは少しは競ると思っていた。大阪市外の府民はバランスをとるのではと考えていたからである。当選者の得票率をみると市長選とあまり変わらない。自らの不明を恥じなければならない。府知事選に敗れた倉田氏がインタビューで「橋下氏の幻影・残像と戦っていた。残像にすら負けるぐらいだから話にならない」という発言をされていたが、知事選挙も実際は橋下対倉田。府市ダブル選挙にもっていった橋下氏の戦略勝ちである。

しかし、今後の府政は当選した松井氏が府政を担うことになるが、ここが一番のポイントだと見ている。府議会は維新が過半数とはいえ、恐い人がいなくなれば、巻き返しが始まる。報道も極端に大阪市中心に変わる。橋下氏が市で実績を上げても、府は案外早く崩れるかも知れない。

市長選で、「実際はそれほど差が開かなかった」理由は何かと問われれば、独裁が必要という発言や公立学校の全校長公募や教員を相対評価して2年連続最低評価を受けたものを分限免職できるという条例を選挙前に公約としてあげたことではないか。前者は政治家として危険。後者は橋下氏が任命した教育委員でさえ抗議していたが、なぜ強引に選挙前に提起したのかわからない。たとえ条例が可決されたとしても、後者の免職処分は裁判で覆るようなことが容易に想像できる。前者は言い過ぎであったとしても、後者などを敢えて公約とするのは、真っ当な世論と少し乖離を始めたと感じさせるところ。今回の大阪の住民の投票結果には、そうした感覚をもっている人も一定以上いることを感じさせた。

最後にいうが、なにより橋下氏自体が、この得票率、選挙結果にショックを受けているのではないか。と思ったが、選挙戦の活動を伝えるテレビの映像の中では、直接一般の女性に「天狗になっているんと違うか」などと指摘されたり、握手を拒否されてたり、怒鳴られている映像が流れていた。前回の選挙とは違うことは有権者の反応からわかっていたかも知れない。大阪市の改革を拒否するといった反応ではなく、忌避感のような対応に映った。

この得票率では勝利したとはいえフリーハンドとはならないだろう。平松候補の票を批判票と考えるとメディアも全面支援とはいかないかもしれない。「独裁」が正当化されるような得票率ではないということだ。