ママ：「笑顔をつくっているのよ。」
Ｄ君：「ちょっと無理あるんじゃない。」
ママ：「無理にでも笑った方がいいのよ。アハハ。」
Ｄ君：「ま、怖い顔しているよりいいけど。」
ママ：「今回のパパとの大喧嘩で気がついたの。
何とか短い時間で、効率的に、幸せになろう、幸せになろうと必死になっていた自分に。」
Ｄ君：「結果、不幸になっていた。」
ママ：「そう。考えたの。そもそもどうして幸せ幸せって追い求めるんだろうって。
少し調べてみたら、「幸せ」という言葉ができたのは、奈良時代頃らしいのよ。
つまり、それ以前は、幸せという概念自体がなかったってこと。
で、さらに調べていくと、古代社会では、自然崇拝なの。」
Ｄ君：「自然崇拝？」
ママ：「どこの国でも大体同じで、太陽や山などに神が宿ると考えて、
そういうものを崇めていたの。そして、実りが豊かでありますように、ということを祈っていたようなの。
私、自分の生活を見直して、あまりに多くのものを手に入れようとし過ぎていたと気づいた。
もう少しシンプルに考えようと思う。」
D君：「中学受験についても同じだってことだね。」
ママ：「うん。もうおばあちゃんからの期待に応えようなんて思わないことにした。
おばあちゃんはおばあちゃんで考えがあるでしょうけど、私には私の生き方がある。
それぞれ違った考え方をしていて、当然といえば当然なのよね。
自分の考えだけを正しいこととして相手に認めさせようなんて、そもそも無理があると考えるべき。
あなたの受験校についても同じ。
おばあちゃんに言われて、偏差値が高いところにこだわりすぎていた。
模試の結果表を毎日のように目尻をつり上げて見るなんていうのは、おかしいのよ。
毎日笑顔で過ごす中で、合格したところに進学すればいい。そう思うようになった。」
D君：「おれとしても、パパママが笑顔でいてくれる方がいいよ。
実際のところ、、、どうして偏差値が高くなきゃだめなんだろうって、最近、よく思うんだ。
別に勉強したくないという訳ではないんだ。
そうじゃくて、例えばスポーツでも、どうしてそんなに勝つことにこだわる必要があるんだろうって。
誰かが勝てば誰かが負ける訳で、すごくわがままな人に思えるんだ。自分ばかり勝とうとするなんて。
受験も同じで、毎回いい成績取って自慢している奴もいるけど、本当に自己中だなって思う。
どうして時々ゆずるってことしないんだろう。どうしてもっと寛い心を持てないんだろう。」
ママ：「わざと手を抜いていたとわかれば、勝ったとしても勝った方はうれしくないでしょ。」
Ｄ君：「それは大人が考える理想論だよ。勝てば理由はどうあれ嬉しい訳で、負けるよりはいいでしょ。」
ママ：「あなた賢くなったね。うん。あなたやっぱりママの子どもね。」
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