「オレンジジュースが、300mLあります。
この中には、果汁が20%含まれています。
このジュースに果汁はmL入っているでしょうか?」
割合の典型的な問題です。
中学受験のテキストでは、
「もとにする量」は、300。
「割合」は、0.2。
そして、
比べられる量=もとにする量×割合
だから、
300×0.2=60
と解説されます。
しかし、実際には、多くの子どもにとって、この説明はなかなか納得できないものです。
比べられる量、というのが、どうして割合を乗ずることで求められるのか、理解できないからです。
恐らく、下記の方が理解しやすいでしょう。
300mLの百分の一(=0.01)は、3mL。
20%はその20倍だから、3×20=60
大人からしますと、このやり方はまどろっこしいかもしませんが、
両方説明して、どちらがわかりやすいかを聞くと、かなりの率で、
後者に軍配があがります。
割合は、今の学習指導要領では、小5の秋から冬の時期に学びます。
相当数の子どもたちがよくわからないままに、中学に進みます。
わからないままで中学生になっても、さほど支障はないので、あまり心配する必要ないのですが、
中学受験の場合は、発達段階に無理があったとしても、これを習得することが要求されます。
割合の考え方がなかなか理解できない、という場合は、中学受験テキストの割合の公式は、
使わないことをお薦めします。
2番目のような方法で解き進めることは、ピアジェのいう具体的操作期に適合した方法です。
発達段階説を考えても、合理的な方法と思われます。
ピアジェは人間の成長には幾つかの発達段階があり、
12歳頃に、具体的操作期から、形式的操作期に移行する、唱えました。
ピアジェは算数のような問題の解き方についての、比較的少ない観察例から、これを導き出しましたが、
現在でもこの理論は、小学生の算数教育には適合できる理論です。
具体的操作期、というのは、目に見える、あるいは、実際に手にできる物量を対象にした問題であれば、
理解できる時期です。おはじきが何個、とか、ケーキを半分にする、という問題であれば、
理解できます。
形式的操作期、というのは、演繹的に、抽象的な数量も理解できる時期です。
例えば、ある金額の20%は、0.2倍すれば求められる、ということを理解できるのは、この時期です。
ある金額の2倍、ならば具体的操作期段階でも理解できますが、
0.2倍、というのは具体的な物量としては認識できませんが、演繹的に、乗ずれば求められる、
と理解できるようになるのが、形式的操作期です。
お子さんが「形式的操作期に移行していないな」と思われる場合、(というその見分けも難しいかも
しれませんが)、塾での解説と違うかもしれませんが、子どもの理解しやすい方法で、
この割合という悩ましい単元を乗り切った方がいいと思います。
形式的操作期への移行、というのは一種の精神的発達と見なしうるもので、
一般に言われる精神年齢と幾らかの相関があると推測されるもので、
そういう意味で、中学受験は、精神年齢の高い子どもに有利な制度です。
とはいえ、精神年齢が低くても、形式的操作期への移行が早い子どももいます。
形式的操作期への移行が早い子どもほど、学力水準が高いという相関もあるものと推測されますが、
例外も相当にあります。
そもそも入学試験で問われる能力は、人間の能力のごく一部の能力にしかすぎません。
ガードナーは、7つの知能領域があると主張していますが、入試で扱っているのは、
このうちの2つの領域の一部にしか過ぎません。
中学受験期の算数についての発達段階で、子どもの適性を決めつけることには、
慎重でなければなりませんが、その子どもに適した理解の方法もあるということも
理解しておくと、無駄な軋轢を生まずに勉強を進められます。
そして、よほど無理ならば、高校受験という選択肢もあります。
中学受験率は日本では1割にも満たない訳ですし、世界の国々と比較すれば、
中学受験というのは極めて特殊な受験制度です。
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