中学生という時期は、自立と甘えという両極の行動を伴いながら、
成熟へ向かう時期とも言えると思います。
「大丈夫。自分でやるから。」と言ったと思ったら、すごく子どもっぽいことを言ったりする。
ただ、そもそも自立と甘えというのは、中学生に限らず、どの年齢段階でも、見られることだと思います。
甘える、と言いますか、承認してもらって、精神的に受け入れられることで、満たされ、
そして何かやっていこう、と外界に踏み出していく、というのは普通の行動様式で、
満たされるという部分が長期的に大きく欠落すると、何らかの精神的にバランスを欠いた状態になる訳で、
精神疾患の大半は少なくともここの問題を抱えていると思われます。
そういう意味では、人間の存在自体が、自立と甘えの中での成熟過程にあるものと捉えられると
思いますが、中学生という時期は、大人に急激に近づいていく過程だけに、甘えが
微妙に難しいという意味で、やはりやや特殊ではあると思います。
保護者の方としては、本人がなかなかスイッチが入らない、やる気があるんだろうかわからない、
将来について何を考えているのか、とやきもきされると思います。
「その成績じゃ、○×高校は厳しいでしょ？わかってる？」と聞いても、ほとんど返事がなかったり、
いきなり怒ってきたり、変な屁理屈言ってきたり。
確かに保護者の方のおっしゃる通りなのですが、頭ごなしに刺激を送ろうとしても、
本人はなかなか受け入れづらいでしょう。
もちろん、時には社会の厳しさを厳格に教えなければならない場面もありますが、
それは通常、道徳的規範から外れることを止めるためであり、
勉強については、叱って勉強させる、ということは容易ではありません。
子どもからすれば、「お父さんお母さんだって、昔、そんなに勉強していないでしょ？」
「学校の先生だって、そんなに勉強していなかった、って言っていた。」
「中学生から芸能人やっている子もいる。」
「勉強やっても役に立たないでしょ。」
など、幾らでも理屈を持っています。これら全て論破することは不可能です。
不安や甘えというものを受け入れてやりながら、精神的に満たしてやりながら、
勉強の方に導いてやる、という方が現実的だろうと思います。
時には、「お前が生まれて来てくれて、かわいくてかわいくて、仕事も大変だったけど、
父さん母さん、二人とも頑張って、御飯食べさせてあげてさ。」、というような前置きをして、
（子どもの方はほとんどこれに反応しないでしょうけど、心のどこかで満たされる
だろうと思われます）
「確かにお前の言う通り、父さん母さんは若い頃それほど勉強しなかったかもしれないけど、
でも、お前にはね、勉強してほしいんだよ。」
と続ければ、子どもも少しは納得しやすいだろうと思います。
個人的なことを申し上げれば、私が中学生の頃は、両親とのコミュニケーシュンというものは、全く
成立していませんでした。二人の兄がいて、この二人ともに大変に荒れていたということもあり、
まともに落ち着いて会話する、ということができない状況でした。時々、私一人だけの時に、
母が涙ながらに、「お前だけが本当に希望の星だよ。」と言っていました。私としては、
「そんなこと言われたって。。。」という感じで、聞いているだけだった訳ですが、
今思えば、母からすればそう話すことが精神的な救いの一つだったのかもしれませんが、
私からして見れば、精神的に満たしてもらっていたのかもしれません。
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