三和 導代 です。
レバノンは小さな国です。ベイルートから40キロの地中海の町ジュベイル(ビブロス)に来ました。ここは考古学上最重要な場所です。エジプトの影響を受けたフェニキア人が建造したオベリスク神殿が残っています。高さは約50cmから2.5mまでの小さなオベリスクです。
「ビブロス」はギリシャ人がつけた呼び名で、現在はジュベイルと呼ばれています。アルファベットの元になったフェニキア文字もこの地で生ました。紀元前3000年紀の前半には、守護神であるバアラト・ゲバルを祀った神殿が発見されています。またフェニキア人が居住し始めたと地であります。レバノンにはユネスコの世界遺産に登録されている場所が5ヶ所あり、そのうち古代遺跡はビブロス、バールベック、アンジャル、ティルスの4ヶ所で共に1984年に登録されています。
前日に訪れたバールベック神殿はフェニキア人が建設したギリシャローマ風の遺跡ですが、ビブロスは最古のフェニキア人の町の一つとされていて、新石器時代から人が住み、紀元前5000年ごろから人が住み続ける世界最古の町の一つとしても知られています。
ビブロス近くの山岳地帯には、古代にはレバノン杉の森が広がっていましたが、ビブロスはレバノン杉の積み出し港して多くのレバノン杉材が古代エジプトに運ばれました。カイロ郊外のギザにあるクフ王のピラミッドの横には、全長42mの「太陽の船」が発掘されましがが、この太陽の船にもレバノン杉が多用されています。また、ミイラ作りに欠かせない香油はレバノン杉から採取されていました。
「L字型の神殿」呼ばれる神殿がフェニキア人の住居跡近くから発掘されています。この神殿は石組みが丁寧に作られており、非常にきれいに残っていますが、紀元前2600年頃に建てられました。そしてL字型の神殿の近くには「オベリスク神殿」あります。石を積み上げた塀で囲まれた中にオベリスクが立っているのが見えます。オベリスク神殿は、フェニキア人がアムル人による支配から脱したのちの、紀元前1800年頃の遺物で構成されています。
フェニキア人は古王国時代からエジプトとの交易が行われ、エジプトの多神教の影響を受けていました。しかしレバノンのオベリスク神殿はエジプトの神ではなく、カナン人やフェニキア人などによって古くから信仰されていたラシャブを祭る神殿と考えられています。まだフェニキア人とエジプトの守り神がどのような関係があるのからは解明されていません。しかしフェニキア人の善の神として信仰せていた男女は神はエジプトのオシリスとイシスと相通ずるあるのは間違いないようです。
ふと町中のお土産屋さんに誘われフェニキア人の男女の神々の彫像を1体買ってしまいました。ふとフェニキア人もまたアトランティス文明を引く継ぐ子孫であったかもしれないという妄想の世界を楽しみながら。