三和 導代 です。
皆さん、パンの神様って聞いたことがありますか?ギリシャ神話に登場する放羊の神様です。
実は今日、鎌倉女子大学生涯学習センター(国際考古学フォーラム)からの学会報告をzoomで見ていて、私がここ数か月とても興味をもっていたパンの神様がイスラエルのガリラヤ湖近くのヒッポス遺跡から発掘されたた資料と報告をイスラエルのハイファ―大学のツィンマン考古学 研究所主席研究員のM.アイゼンバーグ氏によって発表されたものです。
イスラエルのガリラヤ湖は北はレバノン、そしてゴラン高原と接してシリア。東はヨルダンという中東の水を巡っての争いの場所、そして聖書にも度々登場する聖地、私もかつて10回以上も訪れている場所です。現在はコロナ禍で海外渡航が不可能となっていますが、日本では中東の遺跡調査をしている中東オリエント博物館の展示や定期的に考古学調査結果をzoom にて発表しているため、常にアンテナを高くしていて情報をキャッチしています。
そんな中で先週の金曜にこの学会報告会に一般の私にも参加させていただけることを知り、今日の午前中に国際考古学フォーラムの学会報告をzoomにては拝聴させていただきました。
ヒッポス遺跡は、イスラエル国のガリラヤ湖東岸の中ほどにあるエ ン・ゲヴから東に2キロほどゴラン高原に向かって登った斜面の中腹、 海抜350mに位置しています。遺跡は、馬の背のような細長い 台地面に、東西に約600m、南北に200mにわたって広がってい ます。ギリシア語で「馬」を意味するヒッポスは、アラム語ではス スィータと呼ばれています。 この遺跡の発掘調査は、1937年のエン・ゲヴ入植と同時期に M. ヌン氏を中心とするキブツの人々が表面調査を行ったことに始 まります。
しばらく中 断していた発掘調査が、1999年にハイファ大学を中心に再開され、現在はハイファ大学ツィンマン考古学 研究所主席研究員のM.アイゼンバーグによって、毎年7月に1カ 月間の発掘調査が行われているものです。
その中で私が一番衝撃的であったのは、2014年11月に出土しました頭から角を生えた牧羊神パンの青銅製の仮面でした。これはイスラエルにとりましては国宝級の発見です。その仮面をじっくり見ますと顔の大きさ31cm×31cmの非常に保存状態が素晴らしい仮面です。紀元後1世紀のものです。
何と額から2本の角がしっかりと生えているのです。まさにギリシャ神話で伝えらてきたパンの神様の仮面です。私はダマヌールの人類の神殿の天井に描かれたパンの神様を見てきましたが、まさにパンの神様と崇めらていた本物のパンの神様の仮面を今日、目にすることができたのです。
人間とほぼ等身大のパンの神様は神話の存在ではなく、実際にこの当時、人々の間で信仰されていたのです。はっきりとした2本の角があるのです。
発掘されたばかりのヒッポス遺跡、そしてパンの神様の仮面を見る日が待ち遠しい。パンの神様との対面の日でした。