面白かったキングオブコント2020の感想を書きます。
まず何より、こんな情勢下で今年も無事KOCが開催されたことが、本当に喜ばしい限りです。勿論予選なんかは、一部が無観客で行われたり、濃厚接触の疑いのある出場者が動画審査となったり、出場者も観客もイレギュラーな対応を求められる場面もあったでしょうが、特段大きなアクシデントもなく準決勝まで執り行われ、決勝では例年どおり、演者にフェイスシールドとかアクリル板が強いられることもなく、普通の状態でテレビで生放送されたことに、イチお笑いファンとして感謝したいです。
そしてもうひとつ喜ばしかったのが、誰も得してなかった決勝進出者シークレットの撤廃ですね。ここに関しては素人が制作の決めたことに文句を言うもんじゃないの理論にひたすら背を向けて嫌だ嫌だと言ってきましたが、やっぱり事前に発表されてからのSNSや界隈の盛り上がりを眺めてるだけでも、シークレットがなくなって本当によかったと嬉しい気持ちでいっぱいでした。
しかもそれだけじゃなく、今年の決勝は特に、キャッチフレーズや煽りVもめちゃくちゃカッコよく作られてたのが、テレビ局がちゃんとKOCを魅力あるコンテンツとして世間に提供してくれようとしてる感が窺えて、近年のKOC決勝には“大会”以外の要素でう〜んと思わせられる部分も幾つかあった分余計に嬉しかったですね。
KOCの運営面に関しての感想はそんなところで（審査員が変わらない点については最早言葉も無いので）、決勝ネタの感想いかせてもらいます。
【1stステージ】
滝音
めちゃくちゃ面白かったですね。
全体的に滝音ならではのキレキレのフレーズもといベイビーワードが連発されててずっと面白くてワクワクさせられるネタでしたが、何より「大食い大会で丁寧に接客される」という設定がめちゃくちゃ面白くて、それを冒頭は普通の日常的なやりとりと思わせといて最初のツッコミで一気に設定を明かして爆笑を獲るという、面白コントとしての完璧なスタートダッシュが決まってグッと引き込まれ、そこからは面白フレーズもバンバン飛び出すけどちゃんと設定から練られたボケがベースにあって、良いコントでした。
滝音といえばやはり漫才のイメージが強く、漫才もそのベイビーワードを軸に笑いをとっていくスタイルの印象があったので、コントでもきっとその掛け合いを落とし込んだ感じでやってくるのだろうという邪推がありましたが、ここまで設定に重きを置いたネタだとは思わず、想像を上回る面白さでした。ネタ順の話はあまりしたくないけど、トップじゃなければもっと点数伸びたと思いますし伸びていてほしいです。
滝音、数年前にM-1三回戦のGYAOで観てからずっと好きですが、今年はABCにKOCにと勢いに乗ってるので、次はM-1決勝でも、観たいですね。
GAG
めっちゃ面白くて大好きなネタでした。それだけに、ちょっと悔しさの残る結果にはなっちゃいましたね。
中身の入れ替わりというやり尽くされた設定を、フルートを練習する女性、中島美嘉、草野球のおっさんという現実的にまず一堂に会することのないであろう3人で繰り広げ、更にそこにフルートまで絡んでくるという、斬新さの角度すら斬新というようなネタで、そんな有り得ない組み合わせの3人と1楽器なのに、ぶつかって入れ替わってまたぶつかって元に戻ろうとするという設定に忠実な展開を当然のようにすすめている違和感も面白く、GAGの中でも異質なタイプという印象ですが面白くて凄いコントだと思います。
このネタ、過去にテレビでも披露されてますしお笑い好きの間でも割りかし有名なネタだと思うのですが、正直こういう賞レースでは面白さそのままに評価されるのかという不安も窺えるタイプのネタだとも思うので、これを今年の準決勝でかけたと聞いたときはかなり驚きましたし、決勝ではどう転ぶのかという感じでしたが、結果、ネタ順込みで、ちょっと残念だったかなぁという感じでしたね。ネタ順の話はしたくないと言いつつ2組連続でしてしまいますが、言うて変化球なネタではあるので、早めの出順よりは、ある程度ネタを観た後の中盤から後半にかけての方がもっと点数伸びたのかなぁと、僕的には思いましたね。ただ、後半は後半でいろんなパターン出た後だからまたベタで勢いある感じの方が良いという考え方もあるし、ネタ順議論は絶対結論出ないんですが、今の審査員だとよっぽど客席がウケたとか明白な判断基準がないと2組目だとちょっと厳しいのかなぁという気がしますね。
僕はGAG今年優勝あり得ると思ってて、勿論実力ではずっと申し分ないので、今年4年連続決勝進出でしたが、絶対来年5年連続決勝進出期待したいし、まためっちゃ面白いコントやってくれて、優勝狙っていってほしいですね。
ロングコートダディ
いや～面白かったですね。凄く面白くて良い空気感でした。
ネタの構成的にも内容的にも、無駄なことが凄く面白くなってるという印象があって、痺れました。
段ボールの上げ下げにたっぷり間を使って、ツッコミの間隔もたっぷり空けて、おまけにその段ボールを識別するのがA1～D2っていう無機質な記号でしかないっていうのも、本当に無駄というか余白がめちゃくちゃあって、結果面白さとしてはそれらが全然無駄じゃなくて、そういう部分を面白がれる余地があるのが個人的に大好きだし、こういうことを贅沢にできるのもコントの良さだと思うので、本当良いネタだと思います。
あと、無駄が多いと言いつつ、セリフに関しては最小限で無駄が無いのも素晴らしく、「段ボール初めてか？」とか「俺の前で効率の話をするな」とか、アホすぎるからこそ言える、斜め上をいく言い回しがどれも面白くて最高でした。
こういうのって、途中の抑揚が少なくてもずっと面白いタイプだと思うのですが、賞レース的にはどうしても爆発力っていうのが求められてしまうから、必ずしもそれが笑いの絶対条件ではないとは思うものの、優劣をつけるとなるとそういう分かりやすい指標が要るのも分かるし、難しいけど仕方ないかなぁと。せめてもの、にもならないんですけど、最初の段ボールの積まれ方でDが上の方にあったっていうのが、正直全然意識してなかったので、それがもうちょい分かりやすいフリとしてあれば初速で勢いもっと出て、もっといい感じにいけたのかなぁと、野暮ですがちょっと思っちゃいました。
ロコディ、去年のM-1の敗者復活もそうだったけど、ものすごくシンプルな構成のネタなのにオリジナリティーあってむっちゃ面白いの本当に凄いので、これを機に、いろいろ常連になってほしいです。
空気階段
めちゃくちゃ面白かった！
何と言っても霊媒師がコミュニティFMの電波を降ろしてしまうという設定がめちゃくちゃ面白くて、霊媒師を霊の受信機と捉えてそこにラジオの電波が混線してくるという発想、微妙に理にかなってそうなファンタジー感が最高でした。
そして、そんな設定の面白さの余力だけで最後までいかず、疑ってスマホでラジオつけたら霊媒師と二重で受信するとか、霊媒師の肩揺らしてラジオを抜けさせるテンポでおばあちゃんの霊も抜けさせてしまうとか、実は霊媒師がリスナーでラジオから電話かかってくるとか、設定の中でいろいろ展開を作って飽きさせず、ずっと面白かったですね。
あと、細かいところで、霊媒師の名前がキングインパクトで「競走馬につける名前だろ」とか、あとラジオをコミュニティFMとしただけあって番組名やパーソナリティのフィクションすぎる感じが胡散臭い面白さとして昇華されてるのもとても好きでした。逆の面で細かく言えば、オチが隣のおばあちゃんというのが個人的に終わらせるためだけの落とし方みたいに思えたっていうのとかあるっちゃあるけど、全体を振り返ると全然気にならないくらい確固たる面白さの筋が通っていたので、めちゃよかったです。
三村審査員の点数低くてマジかと思ったけど、大納得のファイナル進出でした。
ジャルジャル
めちゃくちゃおもろかったっすね。めっちゃ笑いました。
何と言っても、客のおっさんに扮して野次を飛ばす社長の鹿沼の野次が一定調子で止めどなく飛ばされ続けるのが面白過ぎて、審査員含めみんな言ってるけど最初の「誰やねん、知るか、ヘタクソ」のコンボの気持ちよさも、明らかに社長の鹿沼として言うてるやんっていう言葉が結果全部野次として言うてるっていう強引さも、ことごとくハマってずっと笑ってられましたね。
福徳の声のトーンも絶妙に面白く、個人的に過去のKOC決勝ネタの中でもトップクラスに大好きな「おばはん」のネタを彷彿とさせるしつこさが堪らなかったです。ただ、兎に角しつこ過ぎる「おばはん」と違って、野次の中で「大事な電話」とか「契約書」とかが出てくる変化もあり、それがまた上手くハマることで飽きさせない感じにもなってて、より広く通用する感じになってたように思います。
あと、新人歌手の歌がホンマにちゃんと薄っぺらいから野次でどれだけ滅茶苦茶なこと言っててもちょっと共感できるっていうのも、凄いバランスで、ジャルジャルならではのしつこさに終始しない丁寧な作りに見受けられて、本当最高でした。
この1本目が全体通していちばん点数も高く、結果この1本目で優勝したとも言えるくらいかもしれませんが、そうなるのも納得の圧倒的面白さでした。
ザ・ギース
面白くて大好きですが、まさかハープでくるとは！が真っ先の感想でした。
やっぱり「高佐さんがコントの為にガチでハープを弾けるようになった」という事実が根底にあるからこそ面白さが増してきてる部分もあるので、そういうメタ的な面白さは決勝でどこまで功を奏するのか…というのがどうしても気になるところでしたが、ここに関しては結果は意外とよかったんじゃないかなと思います。
内容についても、何と言っても一番の大ボケである高佐さんの「音楽やってる」が実はハープだったという裏切り、しかもガチで演奏するんかい、できるんかいという更なる裏切り、いずれも初見だったと考えると相当面白いですし、その後尾関さんの「舞台に立ってた」が実は紙切りだったという被せの裏切りも、申し分ない面白さだと思います。
あと、このネタは結構合間ボケが、プレゼントの中身だったりハープで弾く曲だったり、結構大喜利的なボケが多かったですが、やっぱりこのネタのオチになる、紙切りで何を作るか、ここの大喜利が断トツで難しくて、何せオチになるわけだから繰り過ぎて伝わらないのもダメだし、かといって置きにも行けないし、相当思案されたことと思います。
結果、出来上がったのは「小田和正のCDジャケット」で、僕は全然好きだし大喜利の1回答としては充分面白いと思いますが、決勝の大勝負のコントのオチということを考えたら、もっとあったかもしれないんじゃないか、とか、己の身分度外視で思ってしまいました。でも、ここがもっとバチッと決まれば、それだけでもっと突き抜けられた気もして、強いて言うとここに伸びしろがあったかもしれないなあぁと。
私情強めにはなりますが、やっぱりいちユーモアファンとしてギースは本当に応援してますし、ギースの芸人としての面白さにまだまだ世間は気づききれていないとも思っているので、どんなかたちであれ芸人としてもっと活躍してほしいと願っており、それがKOCのようなゴリゴリのお笑いを発揮できる場面であってくれたら、最高なんですがね。
うるとらブギーズ
間違いなくしっかり面白かったんですけど、結果は厳しかったですね。
陶芸の厳格な師匠が「いい」で急に崩れる感じも分かりやすく面白いですし、そこから、持った段階で「いい」と分かってて割ったり、弟子に判断させたりしつつもことごとく「いい」を割っていく後半の畳みかけの展開も、小気味良い面白さが持続されてて良い感じだったんですが、やはりここも順番の妙なのか、先の6組と比較してもちょっと突き抜けきれない雰囲気だったのが点数に繋がらなかったのかなぁ、という印象です。
僕の個人的な感想としては、ずっと個人的な感想しか言ってないですけど、最初の「いい」が、所謂設定のネタばらし的な爆発するレベルのボケまでいかず、どちらかといえばここは面白さの起点で、ここからどんどん面白さが増幅してきそうな空気を孕んでいると期待したところで、その後の展開である程度の変化は見せつつもそこまで伸びきらず、ずっと起点くらいの面白さで見えてしまったなぁ、と感じてしまいました。
twitterとか見てても高評価な感想が多く、もしかしたら見せ方次第ではもっと面白く点数が伸びた可能性もあったんじゃないかなと思うだけに、惜しかったですね。
（因みに見せ方について、かまいたちのyoutubeチャンネルで山内が音響や照明を使うやり方を提案してたのが、具体的かつ的確な改善策すぎて凄かったです。）
ニッポンの社長
めちゃくちゃおもろすぎ！おもろすぎてアホほど笑いました…
下半身が馬のケンタウロスの男子学生と、首から上が馬のミノタウロスの女性との出会いという、恐ろしいくらいカッチリハマる組み合わせ、でもここに目を付けることはなかなかできないだろうというラインをよく見つけられたなっていう凄さもありつつ、出会って一目惚れして、かかる曲がHYのAM11:00なんかい、当然のようにお前が歌うんかい、女の方歌ったらうめき声しか出ぇへんの確かに言われてみればそうなんやけどそうなんかい、そういやこの曲ラップあったな、でもそこまで歌うんかい、キスしたら声入れ替わるんかい、そこで終わるんかい、マジで笑わせたいポイント全部が全部めちゃくちゃハマってて、エグかったっすね。ほんで終わってみたら最初のケンタウロス男子の一人語りの部分とかも、別にそこまで大事なフリってわけでもないのにまぁまぁたっぷりあったのとかも、だんだん面白くなってきて、設定とか構成とかぶっ飛んだことしてるようなんだけど1つ1つは意外とロジカルで、でもトータルめっちゃアホなことしてるっていう、「こういうのを賞レース決勝で見たいんや」という意味で僕的に断トツ最高のネタでしたね。
あとマジでHYのAM11:00っていう選曲が完璧すぎてて、ちゃんと男女パートに分かれててラップもあってだいたいみんな聴いたら分かるあの世代のJ-POPで、ホンマにようこの曲見つけてきたな、っていうのが冷静になってちょっと感動するレベルで凄かったですね。
ニッポンの社長元々大好きなコンビだから、結果は別にして決勝でここまで爆ハネしてくれて、本当嬉しかったです。
因みに、終わってから大阪吉本勢がこぞって決勝ネタをyoutubeにアップしてるんですが、ニッ社だけ音源の関係で上げられなかったのか決勝ネタじゃなく『ヤクザ』のネタを上げてて、それもおもろすぎて大好きなネタなのでまだの方は是非…
ニューヨーク
めっちゃおもろかったですね。ただただゲラゲラ笑いました。
余興が最初楽器演奏からはじまって、何個も同時するっていうのがあったけど先にガチハープ演奏があった上でのウソ演奏だとショボく見えないかっていうのがちょっとよぎりましたが、そんなものはただの杞憂で、後半にかけてどんどん練習でどうにかならないレベルのパフォーマンスの畳み掛けが見事にハマっていって、いよいよドリル出てきたらもう笑いまくるしかないって感じで最高でした。そしてその勢いのまま最後の千羽鶴もバチッと決まって、とても理想的な盛り上がり方で終わっていって凄かったです。
勿論余興の常人離れ度合いが右肩上がりでヤバくなっていくという軸が面白い上で、嶋佐の途中のハケ方のポーズが地味に印象強かったり、ドリルに対する屋敷の「引く引く」のツッコミの、役に入ってるのか降りてるのか、困ってるのか面白がってるのかの絶妙なラインのテンションが絶妙にマッチしてたり、そういう仕上げのアクセントみたいな部分でもしっかり面白く、ここでこうあってほしいのをちゃんと用意してくれてる感もあってめちゃよかったです。
結果ガチ演奏のギースを退けてファイナル進出となりましたが、終わってみたらガチ演奏とかとは別路線での面白さがちゃんと評価された感じで、納得の勝ち抜けでした。
ジャングルポケット
良い設定の面白いコントだったと思いますが、結果はまぁそうなるかなという感じでした。
ジャンポケは何と言っても地肩がめちゃくちゃ強いので、それを存分に活かすシンプルな設定とテンポ感で良い意味で分かりやすく面白いという印象ですが、今回のネタは設定が難解じゃないけど新しさもあって特に良くて、ちょうど登場人物の多さでこんがらがりそうなタイミングでホワイトボードの相関図みたいな分かりやすい展開もあったりして凄く良い感じで、状況によっては爆発できるポテンシャルのあるネタだったと思うんですが、審査員で数少ない良いコメントをしてくれるバナナマンも2人とも仰ってたように、ちょっとずつズレがあったというか、具体的に説明できないのが情けないけど、感覚的に、ハマってほしいところでハマりきらないほころびみたいなのがあった気がしてて、しかも他の決勝ネタが全て出切った最終出番というのも悪い方向に転んだように思えて、いろいろ惜しかった感じですね。
ジャンポケに対してはどうしてもテレビの人気者、賞レースなんか出なくても大丈夫な位置にいるという目線でつい厳しく見てしまいますが、それでもKOCに積極的で実力で決勝まで来てるのは好感しかないので、また決勝で観られるのなら、問答無用に面白いネタで突き抜けてほしいですね。
今年はどうしても客席の人数も少なかったりした影響もあるのか、点数が僅差で並ぶ傾向にありましたが、その中でもウケをしっかり獲得して且つしっかり面白かった3組がちゃんと残ったという感じですね。
【ファイナルステージ】
空気階段
め～ちゃくちゃよかったですね。とても面白くてとても好きなコントでした。
定時制高校に通う女性が恋する相手が何喋ってるかわからんヤバいおっさんっていう、最初のもぐらの出オチの爆発力は凄くて、そこがバチッとはまって一気に受け入れられた感あったのがよかったですね。そこから、紙に書いた文字でも何言ってるかわからん、自作の歌でも何歌ってるかわからん、というのが被せとしてどんどん面白くなってくるし、でも女性の方は全部わかってるっていうその2人の関係性がまた良くて、どんどん引き込まれました。ここの手紙のやりとり、どうしても間が空いてしまうというのはネタの評価的にマイナスになりそうなところですが、僕的には見てる側が何言ってるか想像するっていうターンが間に入るので、そこまで間延び感もなく、よくできてるなぁと思いました。
そして遂に2人の想いが通じ合い、その瞬間流れるELTの『出逢った頃のように』、ドラマとしたらこんなにもベタなことないのにもまたグッときますし、そしてそのままフェードアウトという、お笑い的に明確にオチてないのも、このネタの場合は良いニュアンスを保ったまま終われたので、合ってたように思います。
にしてもKOCの決勝でこの感じのネタで勝負するって凄いなぁと思いましたけど、でもこれが1本目より点数伸びるっていう意外な結果で、2本目だからこその自由度が功を奏したのかわからないですけど、良いコントなので評価されてよかったです。
お笑いの大会でこういうのは違うかもしれませんが、良いもの見せてもらいました。とても素敵なお笑いでした。
ニューヨーク
いや～おもろ！ずっと面白過ぎました。
アウトレイジ的世界観と言ってしまえばそうなんですが、「思ったより髪短く切られたのが恥ずかしい」っていう誰しも共感できる日常的なあるあるを、ヤクザ同士の非現実的な極論で展開させて最後殺るか殺られるかっていうところまで行き切るバカ武骨さ、最高でした。
帽子取るタイミング逃して今更取れない、実際はそんなに変な髪形になってないから尚更もう見せられない、という心境の変化も絶妙に共感できるラインで無茶苦茶面白いし、合間に「俺の墓参りはよぉ、帽子取って来てくれよ」みたいな最高にシビれる台詞なんかも挟まれてたし、でもそんなカッコいい台詞でやり取りしてるのは帽子取るか取らないかっていう小さい小さいことっていうギャップが最高に面白かったです。
そして最後の撃たれるシーン、マジの火薬使ってるのおもろすぎ…死ぬほど笑いました。「ここがやりたかった」とのことですがこちらとしても見られてよかったですし、ファイナル残ってくれてよかったです。「髪形似合ってんじゃねぇかこのやろう」のオチ台詞も素晴らしかった。
ただ、スタジオの客席が驚くほどウケてなくて、審査もそれに引っ張られそうで不安でしたが、結果1本目を僅かに上回り、客ウケないけど点数伸びたっていう最近の賞レースじゃ珍しいパターンになりましたね。バナナマンの2人が95点ていう高得点をつけてくれて本当によかったです。
ジャルジャル
2本目もしっかり面白くて優勝間違いなしでした。
別にジャルジャルのネタをシュールとか世界観とかで一括りにできるとは思ってなくて、クセのあるネタだけじゃなく結構ベタなネタもやるイメージはあったけど、このネタは僕が観たことある中で（そんなにジャルジャルのyoutube観てるわけじゃないのでそこまで詳しくないけど）かなりベタというか往年のドタバタって感じで、特に福徳のキャラが、「置け」と「桶」を間違えるレベルにわかりやすいボケキャラで、こういうのをKOCにもってくるんだっていうのはちょっと意外でした。勿論面白かったですが。
ただ、めちゃくちゃベタな内容だけど、何でタンバリン持ってきんねん、何で会社の金庫にタンバリンと、更に小っちゃい金庫に鈴入ってんねんっていう、シチュエーションそもそもの有り得なさが、ただただ泥棒するのにタンバリン持ってくるっていうボケを実現させるために作られた世界観の強引さが、ジャルジャルならではだなぁと思って、そういうところ込みでより面白かったですね。ホンマに「大ハズレの会社」すぎて面白すぎたので。
結果は2本目だけを見るとだいぶ接戦で、1本目のアドバンテージが大きく利いた感じですが、2本とも無茶苦茶面白く、大納得の優勝でした。
おめでとうございました。
ジャルジャルに関しては、たぶん全員が、実力的には優勝に値するコンビだと思ってたでしょうし、当然僕もそう思ってたし、でもだからといってその実力どおり必ず優勝できるとも限らないのがお笑いの難しいところなので、ここまで時間がかかったという見方も勿論あるけど、こうして優勝が実現したということは、本当に素晴らしいことだと思います。
お笑いの賞レースというのは、若手芸人の目指すゴールのひとつでありながら、ゴールを勝ち獲ると同時にそこが新たなスタートとなり、今までだったらテレビの世界への本格的な参戦を強いられ、国民的人気者になれるかどうかを試される、という道筋が定められていましたが、こういう言い方すら古臭くなってますがやはり今やテレビが全てではなく、自分たちの立ち位置を自分たちで見つけていくことが、お笑いの世界でも比較的自由にできるようになってきていると思います。
そういう意味でジャルジャルは、「youtubeに毎日ネタをアップしている」というのが、今やジャルジャルという芸人の説明文の1行目にくるといってもいいくらい、youtubeに活躍の場を見出し、それが世間にも認められているくらい定着させていて、そもそも知名度が充分あるというのもあるけど、きっと今までの王者以上に、芸人としての立ち位置が（高いところで）ほぼ変わらないのかなぁと思います。個人的にもやっぱり今の時代、芸人全員が等しくテレビでの成功を目指すのが別にただひとつの正解だと思わないので、こういうジャルジャルみたいなスタンスが、ひとつの成功例として定着していったらとても良いなぁと思いますね。
一方で、賞レース決勝自体はやっぱりテレビでこれからも放送され、盛り上がっていってほしくて、何だかんだテレビのマスメディアとしての影響力は相当なものがありますし、面白い芸人さんの作るネタの凄さというものをトップダウンで全国に知らしめる媒体として、今後とも生き残り続けてほしいですね。
別に何の結論にもなってないですけど、KOCもM-1も、他のいろんな賞レースも、勝ち残るってめちゃくちゃ凄くて賞賛されるべき偉業だから、これからも方々のメディアで大々的に取り上げてほしいですし、みんなで笑って褒め称えていきたいですね！！！
