終わってみたらめちゃくちゃ最高の大会になっていた THE SECOND 〜漫才トーナメント〜 の感想を書きます。
一応正式タイトル確認しておこうと思って今調べたら、〜
最初、M-
でも、参加者が出揃って2回戦のレポートが出てくる頃には、
大会全体について、
【グランプリファイナル 一回戦】
金属バット vs マシンガンズ
1試合目からもの凄い対戦カードでめちゃくちゃ面白かったし見応
決勝大会全体としてもトップバッターとなる金属バットは、
対するマシンガンズは、
両組ともM-1ザマンザイ含め初決勝進出同士の対決だし、
あとネタ終わりの松本人志のコメントで、
スピードワゴン vs 三四郎
こういう対戦カードが実現するのもザセカンドの醍醐味という感じ
スピードワゴンは間違いなく一番売れてるし個人個人タレントとし
三四郎は、
結果は三四郎の爆勝ちで、
ギャロップ vs テンダラー
まさかの「関西ダービー」になった三試合目も、
ギャロップはM-
テンダラーは今や師匠クラスのレジェンドを除くと間違いなくトッ
僕自身はM-
超新塾 vs 囲碁将棋
えげつない異種格闘技戦、これぞザセカンド、
超新塾は勿論面白いのは間違いないしマジで全員言ってるけどウケ
囲碁将棋は、
個人的に囲碁将棋は順当にネタの面白さだけでいえば間違いなく優
【準決勝】
マシンガンズ vs 三四郎
それぞれ東京ライブシーンを沸かせてきた漫才師がぶつかるこの対
マシンガンズはここまで実力者人気者を倒してきた勢いによるブー
三四郎も十分面白かったのは間違いないけど、
結果はマシンガンズが勢いそのままに圧勝して決勝進出っていう、
あと、この試合は観客審査という意味でも印象深い一戦で、
ギャロップ vs 囲碁将棋
事実上の決勝戦と言ってしまうと本物の決勝戦が盛り上がらなかったみたいになってしまうかもしれないけど、本物の決勝戦もめちゃくちゃ白熱した上で、でもやっぱりこれを事実上の決勝戦と言わずにはいられなくらい、とんでもない対戦でした。
囲碁将棋はここにきて名作中の名作『副業』のネタで勝負してきて、ファンとしてはこのネタが賞レース決勝で披露されたという嬉しさ込みで、最高すぎました。1本目の『モノマネ』に通ずるところもありますが、マジで着眼点が最高すぎますよね。副業やりたいって言っていきなり生意気な店やろうとする前半も勿論めちゃくちゃ面白いし、それに対して副業でも企業努力すべきって言いながら努力要らない店やろうとする後半、マジで面白すぎます。最初このネタ観てて、最後に「学校指定の制服屋」出てきたときはマジでシビれましたね。努力要らないお店でここまでの正解を出してきて、ほぼ公務員って言ってしまう目の付け所の良さと性格の悪さ、衝撃すぎました。あと細かいけどこのネタの冒頭で「10年早いって言われると思って10年温めてた」みたいなちょっとした言い回しがちゃんと面白いのも僕的にかなり好きなところです。
因みに僕が初めてこの副業のネタを観たのは単独ライブ、その時点で囲碁将棋大好きだったんですけど、マジで面白すぎて絶対M-1決勝で観たいって思ったのを未だに鮮明に憶えてますね。その年はたぶん2015でM-1が復活した年で、そのとき準々決勝でこのネタやってて受かってた記憶はあるんですが決勝までは行けず、結局M-1決勝の舞台には一度も立てないままラストイヤーを終えた囲碁将棋が、こうして全国ネットの賞レース決勝でかつての大勝負ネタを披露できたっていうのは、本当に嬉しい限りだし、それだけでザセカンドの意義は充分あったと、ファンよがりだけど個人的に思ってしまいます。ありがとうザセカンド…
ギャロップは一回戦でハゲ全面押しだったのに対し、今度は林の細かい性格を全面に押し出したネタで、違う角度で林の意地悪で面白いところが出まくった、めちゃくちゃ面白い漫才でした。わかりやすく共感性の高い電車あるあるを林のネチネチした視点でずっと面倒くさい感じで言い続けるのがとにかく最高だったけど、それに終始せずに途中で毛利がおじいさん呼びつける感じの声のデカさに林が引っ掛かって急にそこへのイジりにシフトするっていう、それまで細かく笑いどころを積み上げてきたところから一気に、相方の声のデカさっていうちょっとしたズレへのイジりに突っ走るのが、構成としてもかなり大胆な感じで、面白すぎました。1本目にはなかった新たなギャロップの面白さがしっかり引き出されたネタだったと思います。
マジでどっちもめちゃくちゃ面白くて、どうやって勝敗つければええねんって思ってたら実際に審査も同点になって(しかもマシンガンズの準決勝とも同点)、奇跡的だけどそらそうなっても不思議じゃないよなって腑に落ちたの最高の結果でしたね。ただどうしても勝敗をつけなければいけない状況で、事前に決まってたルールに則り、3点の人数が多かったギャロップの勝利となりました。囲碁将棋は3点の人数は僅かに少なかったけど1点は0人でギャロップより少なく、もしかしたら1点が少ない方が優秀という見方もあったかもしれないけど、事前に3点の人数というルールで定まってたわけだし、そもそもギャロップのこの漫才で1点が存在するのは有り得ないと僕は思ったので、僕的には納得のいく落としどころでした。
あくまでも僕個人の感想ですが、漫才の台本としての面白さでは囲碁将棋が上回っていて、でも漫才を舞台で演じるという総合的なパフォーマンスの観点では、ギャロップの方が、途中の大立ち回りがめちゃくちゃ良かった分上回っていたのかなぁと、後からですが思いましたね。その見方が正しいとかはないんですけど、僕の中ではそう思ったので、腑に落ちる結果となりました。
【決勝戦】
マシンガンズ vs ギャロップ
最初ザセカンドがはじまったときには、まさか決勝の決勝がこの2組の対決になるなんて想像できなかったけど、これまでの過程を観てきたらめちゃくちゃ納得できる頂上決戦で、それはつまりめちゃくちゃ最高の決勝戦ということで、最高でした。
ただ、マシンガンズは正直エネルギー切れ寸前というか、マジでネタ用意してなかったんかって思ってしまうほどにアドリブの応酬で、ここまでも決して賞レースらしい勝ち方をしてきてなかったけど、こんな賞レース決勝見たことないっていう、凄いものを見せつけられた感じでした。一応持ちネタをやろうとする感じも途中あったけどそうじゃないって判断をしたのかそれも続かず、実質丸腰でこの大舞台を乗り切ろうと足掻く姿、でもそれが結果的に面白い漫才として見てられるというのは、結成16年以上の経験と実力の賜物で、圧巻でした。マジでザセカンドという物語の主人公だったと思います。ここで実力者に負けてしまうという展開も含めて、主人公のエピソードみたいで、正直カッコよかったです。
対するギャロップは、決勝3本目にしてまた別のパターンの漫才を見せてきて、正直優勝候補の1組だと思ってはいたものの、一回戦→準決勝→決勝と、ここまでのネタの幅を見せてこられるっていうのは正直想像以上で、凄すぎました。決勝の決勝で、そもそも6分ていう長めのネタ尺で、こんなにもフリに長時間かけてのひとボケ、しかもかなりベタなボケで落とし切るっていうあまりにも大胆すぎる構成、めちゃくちゃシビれましたね。こんだけフリにフッてあんなベタな天丼で落とすって、絶対観てる人全員途中でオチに気づくはずなのに、それでもこんなに大爆笑起こすって、それまでのフリの長さが全員の想像を遥かに超える量っていう異質感だったり、その長すぎるフリの間も飽きさせない細かい描写だったり相槌の感じだったり、間違いなく漫才師としてのスキルの賜物だと思うけど、にしてもこれを決勝の決勝の大舞台でやろうって踏み切ったのは、かなり博打だったと思うし、結果的にその大博打に勝ったのは、マジでカッコよすぎるし優勝に値するものだと思いました。しかもどうやら、後からどこかで言われてたエピソードとして、本当はこのネタを準決勝でやろうとしてたけど、先攻の囲碁将棋のネタでパン屋のボケが出てきたから急遽ネタを入れ替えたっていう話を聞いて、そこの直前の判断も含めて、賭けに勝った感じがマジで最高ですね。本当に優勝すべくして優勝したんだと思いました。おめでとうございます。
ギャロップは優勝できる実力は充分あるとは思ってたけど、それで本当に優勝したっていうのがマジで最高ですね。当然の結果といえばそうなんですけど、それを実現できるってものすごい偉業なので、マジで凄すぎます。
言うてザセカンドはまだ今年はじまったばかりの大会なので、ここから優勝者のメディア露出が増えていくような展開を見せていってくれるかは、勿論優勝したギャロップ本人の立ち回り次第だとは思うけど、そこに関しては正直何の心配もないというか、機会さえ与えられれば漫才以外でも間違いなく活躍できる実力もキャラも充分すぎるくらい備わってるのがギャロップだと僕は思っています。勿論本人らが大阪で地に足つけて、と考えるならそれは尊重されてほしいと思うけど、もし東京で、テレビで、っていう思いがあるのなら、その機会はどんどん与えられてほしいですね。何てったって今の東京には、千鳥も、ダイアンも、かまいたちも、麒麟川島だっているんだから、こんなにもギャロップを跳ねさせる環境が東京で整ってるタイミングで優勝できたのって絶好の機会すぎるので、正直期待感しかないです。まずは千鳥ダイアンかまいたちが揃う今年の27時間テレビ、大いにギャロップが沸かす時間帯がありまくることを信じて、楽しみにしてます。
そして、ここまで感想を書いてきたザセカンドという大会、最初からずっと言ってるけど、終わってみて改めてめちゃくちゃ良い大会だったと思っていて、M-1が年々最高を更新し続けている中で、新たな漫才の大会、しかもM-1以後を対象とした大会を、別のテレビ局、しかもフジテレビが手掛けて、こんなに良かったと思える大会になったっていうのは、正直想像できなかったです。
勿論、出場した漫才師がみんなめちゃくちゃ面白くてがっつり本気で挑んでて、芸歴の長さからネタだけじゃなく平場のやりとり含めてずっと客席を沸かせ続けてくれたっていう、演者が大会を盛り上げてくれた功績はとんでもなくデカいんですが、その演者の功績に水を差すような、演出の拙さやルールのガバガバさ、番組進行のいい加減さっていうのが全然なくて、ノックアウトステージを進める上で微妙に良くないかもって思うところが改善されていったりもしたし、めっちゃ偉そうな物言いするけど、フジテレビにこんな素晴らしい賞レース運営できるんかいって正直思いました。
特に決勝のテレビ放送は、ドキュメンタリー性のある煽りVTRはありながらそれが全然くどくなく、かなりスムーズに大会本編に移行して、4時間っていう視聴率最優先にしたらまず抑えられなそうな放送枠を確保して長丁場のトーナメントを余分な演出なくやり切ったし、番組のテーマ曲や出囃子のチョイスも良い具合に渋くて大会のコンセプトにハマってて最高だったし、マジで全部が上手いことハマってたと思いました。何と言ってもイエモンの『バラ色の日々』がめちゃくちゃバッチリハマりまくってて良すぎて、マジで大会のテーマ曲決める会議でこれ出たときめっちゃ気持ちよかったやろなってつい想像したくなりますね。あとちょっとしたところだけど、演者がセンターマイクまで歩いていくストロークの長さとかも、M-1のせり上がりとはまた異なる趣があって、かなりカッコよく映っててめちゃよかったです。マジで今回の演出面でイヤってなったところ全然無かったです。
審査についても、結果論だけど観客審査を採用したのは案外よかったのかなって今となっては思ってます。僕はお笑いの審査方法として、観客審査とか視聴者審査とか一般人に審査させるのは否定派で、そもそもお笑いの審査方法に正解なんて無いとは思ってるけど、どちらかといえば審査員による審査、しかもできるなら現役のプレイヤーに近い実力者が審査するのが、最も納得感があって適当であると思っています。ただ、ザセカンドという、芸歴の長い、漫才師として一定の地位を築いている出場者に対する審査方法としては、これからの芸人を審査する多くの賞レースと違う視点の評価も必要だろうし、ベテランになるにつれてより目の前の観客を笑わせることが求められるようになっていくだろうと考えると、観客審査というのは正解だったのかもしれないと、ノックアウトステージから観ていく中で徐々に思えていきました。
そう思えた要因として、今回の観客審査が、純粋に一般人の審査じゃなくて、ノックアウトステージの更に前の予選に観覧に行った人を主に対象として選ばれているっていうのが、結果かなりこの大会にマッチしてたように思います。勿論賞レースを予選から観に行くような人は間違いなくお笑いオタクで、決してお笑いに対し一般的な感覚をもっているとはいえない層なので、そんな人たちが審査したら、そら娯楽映画よりニッチなフランス映画が勝つなんてことも起こり得ます。ただ、そんなお笑いオタクによる審査だったからこそ、明らかに変な、全然そっちちゃうねんみたいな審査結果になることがほぼ無かったというか、自分の好みとは違ったとしても納得感はあるっていう結果ばかりだったという印象があります。そらもっと一般的な感覚の人らが審査したら、もっとわかりやすくて、簡単に笑えるようなネタが評価される傾向の大会になってただろうけど、僕はやっぱり、お笑いの賞レースっていうのは、まだ世間に見つかってない面白いお笑いを、これが面白いんだって世間に提示する媒体となるべきだと思っていて、今既に世間でウケているものよりも、新しくて、バレてなくて、もしかしたら判断に迷うようなものを、はっきり面白いものとして世に送り出すためには、そのジャッジには玄人的な目線が必要で(だから僕は賞レースは原則審査員審査がいいと思ってます)、今回のようにコアめのお笑いファンを中心に審査員を選んだというのは、結果的に審査員審査に近い役割を担えるという意味で、功を奏したように思います。
あと一応ここでミスリードがあってはいけないのでことわっておくと、お笑いオタクは別に大衆ウケが嫌いでニッチなのだけが好きってわけじゃなくて、大衆ウケもニッチさも両方面白いと思えるのがお笑いオタクだっていうのはご承知おきいただきたいところですね。僕はそこまでじゃないかもですが、所謂お笑いオタクと呼ばれる人たちは一般人が思う以上に全てのお笑いを等しく愛せる人が多いです。
あと、ノックアウトステージがはじまったとき、審査方法は観客審査で、しかもその観客に審査コメントを求めるっていうのがわかったときは、正直エグいことしてくれんなぁって思ったし、未だにここだけはこれが正解なんだっていうようにも思えてはいないけど、制作の方のインタビューとかを読んでると、観客審査員にコメントまで発言してもらうことで責任感が生まれて、極端に恣意的な審査が無くなるだろうっていう想定があったという背景が理解できて、決して軽い気持ちで、コメントまで言わせたらおもろいんちゃうかっていうノリで決まったわけじゃなく、めちゃくちゃ考えられての判断だったんだっていうのがわかって、正直なるほどと思いましたね。実際観客審査のコメントを聞いていく限り、正直この人イタいなって感じたのはノックアウトステージ序盤に2〜3人いたかなって程度で、決勝では1人もいなかった印象だし、概ね真摯に審査されてるのが伝わってきて、一定の効果はあったのかもしれませんね。
勿論お笑いを審査する上でこれが正解なんてものは無いので、出来る範囲で最適解に近づけていくしかないんですけど、ここまでしっかり大会そのものを良いものにするために考えられているっていうのは、イチお笑いファンとして嬉しい限りです。
ここまで長々と書いてきて最後にまた同じこと言ってしまうけど、本当にザセカンド、思った以上にめちゃくちゃ良い大会になって、マジで最高でした。どうやら来年も開催されそうな感じはあるけど、この感じでやってもらえるならきっと次回もめっちゃ良い大会になってくれるだろうし、芸歴制限がない以上、次また出場するかどうかは漫才師本人らの意思でしかないので、M-1が終わっても戦い続けるという過酷さはあるけど、次回はどういった挑戦者が、どういったドラマと面白漫才を生み出してくれるか、楽しみでしかないです。