GWはアメリカで過ごしました。

 山本幸三地方創生担当大臣ほか、自民党、民主党の先生方合計9名で、ワシントンDCで開催された日米国会議員会議に出席したほか、各要人と懇談を行なったり、ロサンゼルスやラスベガスにも足を伸ばし、現地の企業を視察したりしてきました。

 

 

 今日から数回に分け、このブログで、アメリカ視察の報告を書いていこうと思います。まず今回は、アーミテージ元国務副長官(現在は、アーミテージ・インターナショナル代表)との会談について報告したいと思います。

 

 

 5月1日、リチャード・アーミテージ氏を訪問しました。

 ジョージ・ブッシュ政権下で副国務長官も務められたアーミテージ氏は知日派・アジア通で知られており、2015年には旭日大綬章も受章されています。今回の訪問の目的は、日米関係ほか最近の世界情勢について、氏のご意見を伺うことでした。

 

 

 まず安倍政権への評価について伺ったところ、アーミテージ氏は安倍首相に対する高い評価を述べられました。とりわけ、今まさに海自艦艇が米艦防護のためにエスコートをしているような状況が可能となったのは素晴らしい。現在の日本政治に対する唯一心配の種は、安倍総理の適当な後継者がいないことではないか、ということでした。

 

 次に韓国との関係について伺いました。

 アーミテージ氏の見るところ、現在韓国はトランプ大統領との関係で3つの点に混乱し、激怒しています。

 1つ目は、習近平中国国家主席がトランプ大統領との会談において、朝鮮半島は歴史上中国の一部であったと述べたことについてです。

 2つ目は、先日トランプ大統領が韓国とのFTAはとても悪いディールであったとして破棄する意向を示したことです。

 3つ目は、THAAD配備に関して、韓国が経費を支払うべきだと述べたことです。

 アーミテージ氏曰く、これらはいずれもトランプ大統領の無知に起因する発言がきっかけであり、特にTHAAD配備については韓国よりも米国や日本が裨益する部分が大きい実態に鑑みると、トランプ大統領の発言の含意は深刻で、今更ではあるが、このような大統領の発言に大きくショックを受けている、ということでした。

 

 続いて話題は、中国との関係に移りました。

 アーミテージ氏は、トランプ大統領は習近平国家主席に対して大きなクレジットを与えすぎだ、と仰っていました。北朝鮮問題に関して、中国はこれまでの協力する素振りを見せつつも、実質的には問題解決に役割を果たしてきたとは言いがたい。今回もそれは同じであろう。こうした点からしてみれば、トランプ大統領が習近平主席を持ち上げ、中国の役割に過度に依存しつつあるのは不安だ、ということでした。

 

 また北朝鮮問題への対応について伺ったところ、韓国の大統領選挙のことから話は始まりました。

 韓国の大統領選挙では文在寅候補が勝利しそうな流れだが、彼が大統領となった場合、韓国は北朝鮮に対してより融和的なアプローチをとることが予想されます。その場合、金正恩も事を急がずに当面は様子見となるかもしれない、ということでした。

 ただし米国の安全を継続的に脅威にさらし続けることはできません。アーミテージ氏は、銀行活動の制限と外国にいる北朝鮮人労働者からの送金制限が効果的であり、これらを含め、さらなる措置を徐々に講じていくべきだと仰っていました。

 また中国が初めて石油供給停止に言及してきた点は注目すべきだともおっしゃいました。こうした措置を、注意深く、徐々に行なっていくことで効果が出るだろう、ということでした。

 

 そこから先は、米国の対外政策に話題は移りました。

 まずシリア空爆について伺ったところ、アーミテージ氏は、当初より北朝鮮に対するメッセージという意味合いを込めていた可能性もあるが、オバマ前大統領との違いを見せつけたかったことと、科学ガスの使用に対する懲罰という意味合いが大きいと思う、と仰っていました。

 

 またアフガニスタンへの関与については、氏の意見は否定的なものでした。まず、大型爆弾を使用したが、その成果は不明であり、これによって問題が解決するわけでもない。アフガニスタンの兵士は腐敗した自国の政府にうんざりしてきており、腐敗した自国政府のために命をかけて戦うつもりはもはや毛頭ない、これも問題である、と。このような状況でいくら米軍を増派したところで、成果は出るはずもなく、意味はまったくない、ということでした。

 

 

 アーミテージ氏からは、他にも様々なご意見をうかがう事ができ、非常に実りある会談になりました。

 トランプ大統領の方針に未知数なところが多い中、アーミテージ氏は、日本に対する忌憚ないご意見を率直に述べてくださる貴重な方であり、共和党の観点からの世界の見方をいろいろと教授してくださる方でもあります。今後も、こうした関係を続けていきたいと思います。