121日~24日にかけて、世界経済フォーラム主催のダボス会議(年次総会)に出席しました。私は毎年出席しておりますが、今年は格別に印象深い会議となりました。ダボス会議の数十年に渡る歴史の中で初めてのことですが、日本の首相がキーノートスピーチを行ったのです。

 安倍総理は、大変流暢な英語で力強くはっきりと、自身のお考えや我が国の政策、諸外国との連携強化などについて述べられました。演説後、臨席した約800名の諸外国の代表者からの万雷の拍手を持って迎えられました。

 安倍総理のスピーチに先立ち、韓国の朴槿恵大統領が約15分の演説をされていたこともあり、安倍総理の外交方針に関する賛否はあるかもしれませんが、私の既知の諸外国代表者達は皆、安倍総理のスピーチを大絶賛していました。

 かつて諸外国では、日本の政策は不透明であるという見方が多数を占めていました。その原因には、我が国の言語特有の不明確に見える意思表明もありました。そのため諸外国は、我が国に距離感を感じていたように思います。

しかし今回の安倍総理の英語でのスピーチは、見事にその距離感を払拭しました。諸外国の方々にとって、身近で親しみやすく感じたのですから、彼らの中で日本の存在感が大きくなったのは、疑う余地がありません。

 安倍総理のスピーチの成功の要因はもう1つあります。総理は正月早々より、アフリカ諸国やインドを訪問されています。安倍政権発足からの1年間で150か国との首脳会談をこなされています。この外交努力が、大きく実を結んだのです。

 多くの諸外国の代表者が、既に安倍総理と会談している上での、今回のダボス会議。その安倍総理が、自国の政策について理解を得るべく訴えかけたのです。皆様がそのスピーチに傾聴されたのも至極最もなことでしょう。

 安倍政権が発足してから1年あまり。日本の外交や対外的なアピールは新たな時代を迎えたように感じます。はっきりとものを言い、理解を求める――この外交姿勢こそが、日本を取り巻く諸外国から求められていたことであろうと思います。今回のダボス会議での安倍総理、本当に素晴らしいスピーチでした。良いスタートを切った本年です。