六月十二日 私は財務金融委員会の活動の一環として、先日オープンしたばかりのグランフロント大阪と造幣局の視察を行いました。


グランフロント大阪での関西経済界の皆様との意見交換会の中で、当然ながら関西経済の活性化の話題があがりました。その場で、私は関西経済の活性化にあって、意外と気がついていない要素があることを申し上げました。



 それは、大阪国際空港、通称伊丹空港の利活用です。


 六年前、私が国土交通委員長の時に、大阪国際空港から「国際」の肩書きを抹消する法案が提案されましたが、私はこれを断固として拒絶いたしました。なぜならば、大阪の国際化を高めるのには、大阪「国際」空港の必要性が極めて高いからです。


 ソウル・香港・台北等、日本近隣諸国のビジネス都市より、日帰りで商用に来日されるビジネスマンの方々が急増しています。そんな方々が集中的に利用されるのは、ビジネスセンターである丸の内まで20分で到着できる、羽田空港です。


 それに対し、このような海外のビジネスマンが、大阪で商取引を行おうとすれば、都心まで2時間弱要する関西国際空港を利用するしかない。タイム・イズ・マネーをモットーとするビジネスマンにとって、この両者の差は歴然たるものです。


 大阪の国際化ひいては関西経済の活性化には、伊丹空港を国際空港としてリオープンすることが必要不可欠である。私はこう考えて、大阪国際空港の「国際」の文字を守り通したのです。

 先ほど申し上げました、近隣外国との日帰りビジネスモデルは、今や世の趨勢を占めています。  


 ソウルにおける 仁川・金浦両空港。ニューヨークにおけるラガーディア・ケネディ両国際空港 ワシントンにおけるダレス・レーガン両国際空港。そして東京における羽田・成田両国際空港の存在。ビジネス的に成功を収めている大都市には、巨大な遠距離国際空港そして都心部付近に近距離用国際空港を擁しています。


 大阪府の人口は約900万。周辺都道府県を含めると人口1500万を擁する大都市です。

 大阪国際空港の国際線再開は、もはや必須であるといっても過言ではないでしょうか。

 大阪は、色々な活性化の提案がなされますが、なかなか実現されず、東京への一極集中化が益々進んでおります。その原因は、経済界の方々を含め、我々大阪に住む者が、大阪国際空港の持つ潜在的な力に気づいていないからではないか。私はこう考えております。

 先だって、関西国際空港と大阪国際空港の経営統合がなされましたが、これが絶好の契機だと思います。かつて両者で行われていた路線誘致競争、言わば「客の取り合いっこ」は見苦しいと言わざるをえませんでした。今は両空港の乗客数を増やす事に専念すれば良いのです。


 両空港が関西経済を活性化させるフラッグ・シップであることを、我々関西に住む者は再認識すべき時です。

 また、京都大学の河田教授によりますと、南海大震災が発生した場合、6メートル規模の津波が、大阪湾を襲う可能性が十分にあるそうです。そうなりますと、関空・神戸両空港は水没してしまいますが、伊丹空港は生き残ります。


 阪神・東日本大震災に於いて、空輸による救援物資の搬入がいかに大切であるかを、我々は体験しております。

 伊丹空港廃止論を唱えておられる方々もおられますが、防災の観点からも、伊丹空港の存続は必要であると私は考えます。

 このようなお話を、完成なったグランフロント大阪にて、関西経済界の方々に申し上げましたところ、皆様大きくうなずいておられました。

グランフロント大阪という、新たなビジネスチャンスを手にいれましたが、その器に注ぎいれる蛇口の開き方が小さくては意味がありません。

 海外から人とマネーを招きよせること。これは現在国が推進しております、アベノミクスの根幹を成す政策です。


 伊丹空港を、大阪国際空港としてリオープンさせる事。これは急務であると、我々関西に住む者は再認識するべきではないでしょうか。