こんにちは。竹本直一です。今日は、ギリシャ危機による影響を調査するため、行った海外視察についての報告です。
8月21日から28日まで私が筆頭理事を務める衆議院財務金融委員会の海外視察でギリシャ、ベルギー、フランスに行ってきました。
ギリシャの財務大臣と意見交換
ギリシャの財務大臣と共に
なぜ、これらの国々を視察したかと言うと、５月のギリシャを発端とする欧州金融危機の実態を調査するためです。
ギリシャは昨年、多くの財政赤字を抱えていたことが明らかになり、国債の格付け降格と共に、長期金利の上昇が発生し、欧州の金融危機を誘発しました。
日本はギリシャよりも多くの財政赤字を抱えていることから、ギリシャと同じことがおきるのではないかと騒がれました。そのため、財務金融委員会では現場を見ること及び、ギリシャ政府関係者や欧州議会関係者などの当事者と意見交換をする必要があると判断し海外視察を決定しました。
帰国した今、わざわざ欧州まで出向き、現場を見て、当事者と意見交換が出来て非常に有益であったと感じています。なぜなら想像とは全く異なっていたからです。
私は行くまで、CNNなどを見ているとギリシャでは毎日暴動が起き、さぞ国が混乱しているのではないかと考えていました。しかし、実際には平穏無事というか、緊張感が全くなく国が動いていました。
ギリシャ問題の発端は前政権が巨額の財政赤字を隠していたことにあります。
新政権が誕生しそれが表面化したわけです。
ギリシャではパパコンスタンティヌゥ財務大臣、ギリシャ中央銀行プロボプロス総裁、ナショナル銀行ラパノス頭取と意見交換を行いました。
その中で、財務大臣はIMF、EU、ECBと合意した財政健全化計画（消費税を19％から23％に引き上げ、年金の削減、公務員の人件費を13％削減など）については先延ばしすることなくスケジュール通りに進めると強い決意を示されると同時にギリシャ政府による債務削減の要請を否定しました。
ギリシャ国立銀行取締役会長と共に～財務金融委員会委員メンバーと～
ギリシャ国立銀行取締役会長と意見交換～海江田財務金融委員長と共に～
ギリシャ国立銀行取締役会長と会談
しかし、一方で民間銀行関係者はギリシャ経済の3分の1を占める地下経済との取引は止むを得ない、政府の財政健全化計画実行は難しいなどとの見解を示すなど、当局との温度差が見られました。
ベルギーで意見交換した欧州議員はギリシャをEUに加盟させたことが間違いだった、来年中にはモラトリアムがあるなどと厳しい意見を述べていました。
EU内部での意見対立も激しく、ギリシャ支援を決めたEUに対し、ギリシャよりも小国で貧しいスロバキアは議会で支援反対を決議するなど今後の再建にも暗雲が立ち込めています。
たしかに、ギリシャ一国が財政破綻をしてもEU経済に占める割合が3％程度であるために、多少の混乱は考えられるものの致し方ないとの意見も多く聞かれました。
ギリシャ中央銀行総裁と意見交換
ギリシャ中央銀行総裁と共に～財務金融委員会メンバーと～
しかし、私は一番の問題はこの危機がPIGS（ポルトガル、イタリア、スペイン）に波及することだと考えています。
実際、ドイツ国債とPIGS諸国国債のスプレッドはギリシャ危機当時と同じ水準まで広がってきています。この兆候は非常に危険であり注視していかなければならないと思います。
欧州議会議員と意見交換～中塚議員と共に～
さて、日本がギリシャと同じかと言うとそうではありません。日本の国債の95％は日本国民が所有しているのに対し、ギリシャでは大半を外国が所有していました。
そのため、一度、危ないという話が出ると、こぞって国債を売りに出したのでした。国債所有者が誰かという事が一番の重要なことなのです。
それなら日本は問題ないのかという事になります。日本の貯蓄率は年々下がっており、数年内には総貯蓄が総債務を下回る可能性が高くあります。
OECD本部でグレア総裁と意見交換会～中塚議員と共に～
OECD本部での意見交換会
そのため、総債務を国内で消化できなくなり、現在は95％を誇る国内消化率がドンドン下がって木来ると考えられます。
そうするとギリシャと同様の状態になり、日本も非常に危険な状態になると考えられます。 まずは、債務を少しでも減らす努力をしなければなりません。
そのために、私は数年内でのプライマリーバランス黒字化を目指すべきだと考えています。
基礎的収支（その年に使う経費と税収を税収でまかなうと考え）の黒字化で少しでも債務を削減することが大切だと考えています。