アメリカのサブプライムローンに発する世界的金融危機への対応で、各国はG20あるいはG7等の会合で色々な申し合わせを行っておるが、アメリカの対応と日本の対応とを比較しながら、それぞれの国での対策の中身と、そしてその期待する効果について述べたいと思います。

アメリカはリーマンブラザースの倒産等の出来事を受けて、77兆円 の経済対策を打出しました。これはいわゆる真水の対策だと考えられます。したがって、アメリカがこれだけの規模の対策であれば、経済規模GDPで約半分であります日本の対策は少なくとも30数兆円の規模がなければならないと私は考えております。

さて、日本の対策はどうであろうかと思ってみますと、20年度第1次、第2次補正および21年度予算に絡みまして、最初の経済対策は75兆円といわれました。
世界最大と言っておりましたが、実はその中身は真水で12兆円であります。
したがって、真水部分だけで比べますと、アメリカの70兆円の半分の30数兆円を目指すとすれば、あと20兆円くらいの経済対策が真水で必要であると私は考えております。

そういうことを前提として、今回さらに15兆円の真水対策を打出しました。
これが国会を通りますと、12プラス15で27兆円。
約30兆円のものとなり、アメリカと日本の経済規模の比較から言って、ほぼ同じ水準の経済対策を打ったということになるのではないかと思います。その中身を以下に申し上げていきたいと思います。

まず、第1陣の経済対策でありました、第1次、第2次補正および21年度当初予算に絡む経済対策は全体で12兆円ですが、高速道路料金の引下げ、定額給付金の給付、子育て支援、失業者等に対する生活支援等々含めて12兆円となっております。

今回のものは別紙の通りでありまして、総額15兆円であります。
このように、内需を喚起するという意味で、日本の政策は的を得たものであると思っておりますが、日本のGDPの成長が昨年度比で20年12月期の計算によりますと、年率換算で12%落ちています。アメリカは6%しか落ちていない。そういう意味でGDPの落込みにおいては日本が、世界でもっとも落込みがひどいということになっています。

日本の貿易依存度は16%でありますが、それが約半分になった。これが非常に大きい。わかりやすく言えば、優秀だといわれている日本のトヨタ自動車を、いくら作ってもアメリカは買ってくれない。こういう事態になってきているわけであります。

したがって需給ギャップが70兆円 ほどあるといわれる日本経済でありますが、国内において、内需を刺激し、仕事をつくり、それを国民が吸収していくという体質の経済にしていく必要があります。

ただ、これには財政支出が、世界一の債務残高を記録している日本の財政の建て直しにおいては大変であります。すでに、GDP比公的債務残高170%といわれておりまして、アメリカの78%と比べると、大幅な差であります。このうえに、さらに今回の経済対策で大きい債務を、赤字国債発行によって背負うことになりまして、結果として170%をはるかに超す債務残高になるのではないかと思っております。これに対する対策をどうするのか、消費税の値上げで対応するのかというような問題があるわけであります。

さて、もうひとつの側面、つまり真水でない金融対策について述べたいと思います。

わが国は最初の対策で、75兆円マイナス12兆円、つまり63兆円が金融対策であったわけです。
この中には銀行への資本注入12兆円 、また、株の買取機構による政府の保証額20兆円等々が含まれております。これも詳細は別紙の通りです。

そして今回、それでもまだ景気が、確かな足取りで底を打ったという風にならないケースがありうるということも考えて、さらに政府の買取機構を申請し、50兆円規模で市場から株を買うという方法を目指しております。これが今国会を通り、実体の株式市場等に効果を及ぼす事態になれば、必ず効果があるものと私は考えております。

いずれにしろ、世界同時不況、世界同時株安の中でなんとしてでも日本の経済を1日も早く、全治3年と首相はいっておりますが、できれば年内に確かな再上昇の道を歩ませることが一番肝要かと考えているわけであります。

以上で報告を終わります。