新・映像の世紀 再放送 | T-MOTOの日曜映画

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日曜日のショートムービー製作

先日、第一次大戦を扱った第一回の再放送をやってたので、また見てました。

引き続きアメリカ参戦の話です。
番組では、ウィルソン大統領がイギリスの謀略戦でモルガンにいいようにされているというような印象なんですけど、本当にそうなんでしょうか?
債権回収問題というアメリカの国益だけでなく、理想主義的な理由(言葉を変えれば、広い意味でのアメリカの国益。世界秩序の安定がアメリカに利益をもたらす)もあったからこそ、民族自決の原則や国際連盟などの十四か条の平和原則を打ち出したのではないかと思います。


ウィルソンが議会に提出した戦争教書(1917.4.2)

 現在のドイツの通商に対する潜水艦戦は、人類に対する戦争です。それはすべての国々に対する戦争です。アメリカの船が沈められ続けています。私たちがそれを知ってひどく動揺するようなやり方でアメリカ人の命が奪われています。それだけではなく、他の中立または友好国の船と人々が同じように沈められ波間にのまれています。そこには何の区別もありません。全人類に対する挑戦なのです。各国はその挑戦にどう立ち向かうべきか決断を下さなければなりません。

(中略)

 私たちはこの敵対目的の挑戦を受けなければなりません。なぜなら私たちは、そのような手法に従うような政府とは友人になることはできず、私たちからすれば何の意味もないことをやりおおせようと常に好機をうかがっている組織的権力が存在する状況下では、世界の民主的な政府の安全が保障されないと知っているからです。私たちは今、自由の真の敵との戦いの挑戦を受けようとしています。そして必要であれば、この国の全力を尽くしていかがわしい主張と権力を抑制し無効にしなければなりません。いかがわしい主張を隠すこともない事実を目の当たりにしたからには、私たちはドイツ国民を含む諸国民の解放のために、世界の究極の平和のために喜んで戦います。私たちは、大国であれ、小国であれ諸国の権利のために、あらゆる場所の人々が生活と服従の仕方を選ぶ人権のために私たちは喜んで戦います。民主主義のために世界を安全にしなければなりません。世界の平和は政治的自由の試練を経た基礎の上におかれなければなりません。私たちは自己本位な目的で奉仕しているわけではありません。私たちは征服も領土も望みません。私たちは補償も私たちが自らの意思で行った犠牲に対する物質的代償も求めません。私たちは人類の権利の擁護者の一人にすぎません。


原文
 War Message 1917.4.2
 The present German submarine warfare against commerce is a warfare against mankind. It is a war against all nations. American ships have been sunk, American lives taken in ways which it has stirred us very deeply to learn of; but the ships and people of other neutral and friendly nations have been sunk and overwhelmed in the waters in the same way. There has been no discrimination. The challenge is to all mankind. Each nation must decide for itself how it will meet it. 
(SNIP)
 We are accepting this challenge of hostile purpose because we know that in such a government, following such methods, we can never have a friend; and that in the presence of its organized power, always lying in wait to accomplish we know not what purpose, there can be no assured security for the democratic governments of the world. We are now about to accept gage of battle with this natural foe to liberty and shall, if necessary, spend the whole force of the nation to check and nullify its pretensions and its power. We are glad, now that we see the facts with no veil of false Pretense about them, to fight thus for the ultimate peace of the world and for the liberation of its peoples, the German peoples included: for the rights of nations great and small and the privilege of men everywhere to choose their way of life and of obedience. The world must be made safe for democracy. Its peace must be planted upon the tested foundations of political liberty. We have no selfish ends to serve. We desire no conquest, no dominion. We seek no indemnities for ourselves, no material compensation for the sacrifices we shall freely make. We are but one of the champions of the rights of mankind.

歴代アメリカ大統領研究

アメリカが参戦しなければ戦争がさらに長期化してアメリカも世界も困るということはわかっていても、ウィルソン自身は幼少時に南北戦争を経験してますし、南北戦争以来の徴兵制を復活させて第一次大戦に参戦する決断をするのは相当な躊躇があったはずです。あと、参戦しないという大統領再選時の公約もありますし、簡単には参戦できない立場です。

債権回収をしたいウォール街からの圧力でなし崩し的に参戦したというのはちょっと違うように思いますね。