日弁連の少年法「成人」年齢引下げ反対の意見書 1 | T-MOTOの日曜映画

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このタイミングで、日弁連の少年法「成人」年齢引下げ反対の意見書が出されました。

内容は、少年法の対象の4割を占める18歳と19歳の少年が、再犯防止の成果が実証されている家庭裁判所の優れた処遇が受けられなくなるので反対、というものです。

長々と書かれているわりには、被害者側の視点は皆無といういかにも弁護士ビジネスの職能団体らしい顧客重視、顧客優先主義という印象です。いろいろと突っ込みどころ満載なので後日、反証していきたいと思います。


少年法の「成人」年齢引下げに関する意見書

 2015年(平成27年)2月20日

 日本弁護士連合会

意見の趣旨

法律の適用年齢を考えるに当たっては,立法趣旨や目的に照らして,各法律ごとに個別具体的に検討するべきであり,少年法2条の「成人」年齢を引き下げることに反対する。

意見の理由

第1 はじめに

1 日本国憲法の改正手続に関する法律(以下「国民投票法」という。)及び改正国民投票法の施行(2014年6月20日付け)に伴い,公職選挙法の選挙年齢と民法の成年年齢の引下げが議論されている。
 また,民法の成年年齢を引き下げるのであれば,少年法の「成人」年齢についても引き下げるべきではないかとの議論が出ている。
 しかし,民法の成年年齢は,単に民法が規定している行為能力や親権の問題だけにとどまらず,日本社会が何歳からを「成年」として扱っていくかという点の基本的定めであって,その引下げは社会制度,法制度全般に極めて大きな影響を与える。後に詳述する「今日の青少年の成熟度」に照らすと,民法の成年年齢の引下げについても,慎重であるべきである。
 さらに,もし仮に若者を取り巻く状況が変わり民法の成年年齢が引き下げられたとしても,若者の成長支援と再非行防止を目的とする少年法の適用年齢についても連動させて引き下げるべきであるとはいえない。
 ちなみに,明治29年制定の民法は,成年年齢を20歳としているにもかかわらず,旧少年法(大正11年制定)は,少年法適用年齢の上限を18歳未満としていた。これを見ても,民法の成年年齢と少年法の適用年齢を法的に一致させなければならないという必然性はない。

2 現行の民法では,成年年齢は主として法律行為を単独で有効に行える行為能力を認める年齢として,「行為能力」の節の冒頭に「年齢20歳をもって成年とする」と規定されている(第4条)が,同じ民法内でも,身分行為である養子縁組能力や遺言能力は15歳で認めており,制度の目的や保護法益により適用年齢を区別している(797条,961条)。
 参政権については,公職選挙法・地方自治法の選挙権年齢について,現行民法の成年年齢と同じ「満20歳以上」と定められているが,その引下げの法案が今国会にも提出予定であることは前述のとおりである。また,児童福祉法,児童虐待の防止に関する法律等,子どもの福祉・保護を目的とする法律では,育成・保護の対象として18歳未満という年齢区分を設けており,労働基準法でも,労働がもたらす子どもの心身への影響や危険性を考慮して特別の年齢区分が設けられている。そのほか,若年者の健康被害の防止を目的とする未成年者喫煙禁止法や未成年者飲酒禁止法は,民法の成年年齢と同じ20歳を区分年齢としているが,若年者の健全育成を阻害するおそれのある競輪,競馬,サッカーくじの購入・授受についての制限や,風俗営業法上の規制も,それぞれの目的や阻害の程度に応じた年齢区分が設けられている。
 以上のとおり,法律の適用年齢を考えるに当たっては,それぞれの法律の立法趣旨や目的ごとに,子ども・若者の最善の利益と犯罪予防など社会全体の利益を実現する視点から,個別具体的に検討すべきである。

3 当連合会は,このような観点に立って,2008年10月21日「民法の成年年齢引下げの是非についての意見書」を公表し,民法の成年年齢引下げによる少年法等への現実的な影響を無視できないとして,民法の成年年齢の引下げには慎重であるべきとし,民法の成年年齢を引き下げるには,刑事手続に関し,現行少年法と同様の若年成年者に対する保護主義に基づく法制度を整備することを提言したが,今般改めて,少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する(なお,少年法以外の法律における成年年齢の問題についても,今後,適
宜検討していく所存である。)。
 以下,その理由を述べる。