NHK交響楽団第2067回 定期公演 Aプログラム2日目(NHKホール)
指揮:ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン
ピアノ:コンラッド・タオ
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 前奏曲
モーツァルト/ピアノ協奏曲 第17番 ト長調 K. 453
(ソリスト・アンコール)
ラヴェル(タオ編曲)/マ・メール・ロワ〜妖精の園
バルトーク/管弦楽のための協奏曲
先日フランス放送フィルと来日し、素晴らしい演奏を披露したばかりのヤープ・ヴァン・ズヴェーデンがN響に初登場。期待通りの見事な演奏であり、私のなかでズヴェーデンの評価はうなぎのぼりだ。
1曲目はマイスタージンガー前奏曲。普通に演奏しても演奏効果が高い曲であるが、NHKホールでこれほどの堂々たる響きを聴くことができるのはなかなかないのではなかろうか。N響がいつも以上に緊密なアンサンブルを聴かせ、響きはとても壮大である。ズヴェーデンはこの前奏曲最後の音をかなり短くスタッカートのように演奏して印象を高めた。16型。
2曲目はモーツァルトの17番で、ピアノは中国系アメリカ人のコンポーザーピアニストであるコンラッド・タオ。生後18ヶ月からピアノを弾き4歳でリサイタルを開いた天才だそうである。衣裳が非常におしゃれだ。
彼が弾くモーツァルトは音が非常に濃く、いわゆるモーツァルトらしい軽めのタッチではなく、大きなNHKホールにくっきりと音の軌跡が残るような明快なタッチ。タオの作曲したカデンツァは実に自由闊達であるが、あまりやりすぎないところがよい。
12型という小編成のオーケストラ、弦の音が非常に豊かに鳴っており、指揮者とオーケストラの相性の良さが感じられる。
タオのアンコールはラヴェルの妖精の園。作曲者はもともとピアノ連弾のために書いた曲であるが、タオの編曲はその連弾の音を独奏で演奏しているというぐらいに華麗であり、後半に行くにつれて音の数が非常に多くなっていた。
後半は再度16型でバルトークのオケコン。
ともすれば音が空虚に鳴るだけのつまらない演奏になりがちなこの曲、ズヴェーデンは極めて生き生きと、場面が変わるたびに音楽の表情を変えていくのが素晴らしい。N響でこのような素晴らしいオケコンを聴いたのは、2015年、パーヴォ・ヤルヴィの就任記念演奏会以来である。
もともとコンセルトヘボウ管のコンサートマスターだったズヴェーデンは弦の扱いが上手らしく、各弦楽器が絶妙にブレンドされてまろやかな音色に仕上がっている。管楽器の名人芸もさすがである(トランペットはやや不調に思われたが)。
ズヴェーデンは7月、台湾の長榮交響楽団とも来日してマーラーの1番を演奏する。こちらも楽しみだ。
総合評価:★★★★☆




