N響メンバーとともに (東京文化会館小ホール)

 

ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー

ヴァイオリン:郷古 廉

チェロ:辻󠄀本 玲

 

シューベルト:

 ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 D898

 ピアノ三重奏曲 第2番 変ホ長調 D929

(アンコール)

メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 op.49 より III. Scherzo: Leggiero e vivace

 

ブッフビンダーの東京春祭2025は「シューベルトの世界」で、Iはソロ、II・IIIがN響メンバーとの室内楽となる。

 

今回のピアノ三重奏曲、ピアノ・パートは比較的平易な感があるが、そのようなこともあってブッフビンダーのピアノはとても安定しており、これにN響最強のソリストであるコンサートマスター郷古氏、チェロ首席辻本氏が加わりアンサンブルも秀逸、高水準の演奏であった。ブッフビンダーのピアノの音、こういう優雅な音を聴くと彼がウィーンで学び育った音楽家であることを痛感させられる。

シューベルトのピアノ三重奏曲は4つあり、そのうち番号が付いているのが今回の2作、あとの2つ(シューベルトの世界IIIで演奏される)は単一楽章だ。今回演奏された第1番は歌心に満ちていて非常に耳になじみがよく忘れられない音楽だが、第2番は男性的で個人的には少々とっつきにくさがある。

 

アンコールはメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲のスケルツォ。ブッフビンダーのピアノが若干重かったが、メンデルスゾーンの心躍るようなスケルツォが最後に聴けてよかった…

私の東京春音楽祭2025はこれにて終了。充実した1ヶ月の上野通いであった。

 

総合評価:★★★☆☆