NHK交響楽団第2026回 定期公演 Bプログラム2日目を、サントリーホールにて。

 

指揮:ファビオ・ルイージ

ピアノ:ネルソン・ゲルナー

 

スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30

(ソリスト・アンコール)

ショパン:ノクターン 嬰ハ短調(遺作)

 

ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」

 

ロシア・東欧系の名曲が並んだ今回のプログラム、こういう曲目もルイージの切っ先鋭いアプローチで聴くとまた違った風景が見えてくるものだ。

 

1曲目の「売られた花嫁」序曲、いかにもルイージの芸風にぴったりの勢いある作品だが、まさにルイージが水を得た魚のように生き生きとした、活力あふれる音楽を作り上げている。動と静のコントラストも見事。

 

2曲目はアルゼンチン出身、スイス在住のネルソン・ゲルナーによるラフマニノフ3番。ゲルナーとルイージ、(演奏は全く記憶にないが)2004年のN響サントリー定期でもラフマニノフの2番で共演している。ゲルナーのラフマニノフ、テクニックは完璧であるが、ちょっときっちりとしすぎていて生真面目、面白みに欠ける。この曲はもう少し大胆に、豪快にやってほしいものだ。ゲルナーのピアノはルイージの熱い指揮ともあまり合っているように思えなかったのだが…第3楽章のエンディングはルイージがぐいぐいとリードし、とりあえず最後だけは無理矢理盛り上げて終わり良ければ全てよし、のような印象を持った。

演奏が終わるとルイージは引っ込んだきりカーテンコールに出てこなかった。ゲルナーのアンコールは暗い夜想曲遺作、これはしっとりとしたいい演奏だ。

 

後半は展覧会の絵。さすがN響の名人たちのソロは素晴らしい!といっても客演も多かったが。ルイージの切れ味鋭いスタイルにより、速めのテンポですいすいと進んで行く音楽が心地よく、バーバ・ヤガー、キエフの大門のあたりは思わずぐいぐいと引き込まれる。

突然始まった冒頭、トランペットの音を聴いて心の中で唸ってしまった。美しい音色と表情、完璧なテクニック、やはりN響に菊本あり!この日のMVPは間違いなく彼であろう。日本のオーケストラは全般的に金管が弱いが、トランペットに関しては菊本氏がピカイチ。ちなみにホルンは福川氏が圧倒的だったが、N響をやめてしまったのは残念だ。菊本氏のソロ、「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」のミュートを付けたあのソロも完璧で、音の強弱の微妙なさじ加減が見事。

ホルン客演は日本フィルの信末碩才氏、ファゴット客演は東京フィルの廣幡敦子さん、アルトサックスは五十嵐健太氏、皆さんとてもいい仕事をしていた。

前半は14型、後半は16型。

 

総合評価:★★★☆☆