クァルテット・インテグラ Vol.1 ~シューベルトとウェーベルンⅠ~ を、王子ホールにて。

 

三澤響果(第1ヴァイオリン)

菊野凛太郎(第2ヴァイオリン)

山本一輝(ヴィオラ)

パク・イェウン(チェロ)

 

シューベルト:弦楽四重奏曲 第9番 ト短調 D173

ウェーベルン:弦楽四重奏のための5楽章 Op.5

シューベルト:弦楽四重奏曲 第13番 イ短調 Op.29, D804 「ロザムンデ」

(アンコール)

シューマン:弦楽四重奏曲第3番〜第3楽章

 

クァルテット・インテグラが演奏するシューベルトとウェーベルンというディープなプログラム。今回はシューベルトとウェーベルンのIで、IIではシューベルトの10番と15番、間にウェーベルンの6つのバガテルを演奏するそうだ。

 

ともにオーストリアの作曲家であるシューベルトとウェーベルンをこうして並べて演奏すると、実はその音楽話法が違和感ないぐらいに近いことに驚く。

今回のインテグラの演奏、ウェーベルンがとにかくすごくて、無調でここまで説得力がある音楽が作れるのも見事だし、各フレーズの音色の描き分けが素晴らしい。

ウェーベルンに対する、この鋭くキレキレな感覚に近いアプローチでシューベルトも演奏されたのだが、個人的には、シューベルトの作品は昔聴いたウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のような、ウィーンの伝統に根ざした歌心に満ちた演奏の方が好きかもしれない…インテグラのビターテイストの演奏スタイルがシューベルトに向いているようには、私には思えなかったのである。

アンコールの前に、いつも通りヴィオラの山本一輝氏が朴訥なスピーチ。自分はウェーベルンが好きな一方、シューベルトがあまりよくわからなかったのだが、作曲の石島正博先生にウェーベルンの15番の四重奏曲がウェーベルンによって書かれていたとしても納得だ、と言われてシューベルトの音楽がわかるようになった、とのことだ。まさに私が感じた通り。

彼らのアプローチはウェーベルンの方がシューベルトよりも先に完成しているように思われる。

今回、シューベルトの13番は当然よく知っている曲だと思っていたのだが、実際に聴いてみると第2楽章はよく知っているものの、他の楽章は第4楽章が多少記憶にある程度で、ほぼ知らない曲だということに気付いた。実演でもハーゲンの演奏で2回聴いているのだが…

 

アンコールは予想がはずれてシューマン。いい曲である。

 

総合評価:★★★☆☆