東京交響楽団第722回 定期演奏会を、サントリーホールにて。
指揮:ジョナサン・ノット
ラヴェル:クープランの墓(管弦楽版)
ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 WAB 107
ジョナサン・ノットと東響によるブルックナーの交響曲、7番は2015年6月の第631回定期に続いて2回目の演奏となる。
https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12035907595.html
ちなみにブルックナーの交響曲で、このコンビで演奏されていないのは(0、00番を除けば)6番のみである。
まずはその後半に演奏された7番。極めて格調高い演奏で、オーケストラの美質が活かされている。弦は15-16-12-10-8対向配置で、やや薄めであるが艶がありこの上なく美しい。冒頭のホルンとチェロの旋律は謹厳であり全曲の音楽作りの方向性が見渡せるものであった。
金管の並びが通常と異なっている。アシ付きホルン5人がステージ左手に位置するのは通常通りだが、その後ろにワーグナー・チューバ4人。そしてその右側にチューバ、その右にトロンボーン、その右にトランペットが配置されていて、ここが通常の並びと逆である。その配置のせいなのか(?)、私の座席(2階やや左寄り)だと金管の音量がやや強めに感じられることが多かった。ステージ右手に配置されたトランペットの音が直撃したからだろうか?いや、それだけではあるまい。
あと、第1楽章コーダ直前の391小節目から412小節目にかけてのティンパニのトレモロ(401小節目をピークとした壮大なクレッシェンドとディミヌエンド)、ここでのティンパニの音量は明らかに大きすぎて、他の楽器が聞こえなかった。ただ、そうしたアンバランスは、第2楽章以降は徐々に解消していったように思われる。
第2楽章もとことん美しく丁寧な表現であるが、その表現はやや単調に感じられるところもあって、シンバルの一打までにかけて音楽がゆっくりと高揚していくところが感じられなかった。ただ、第3楽章と第4楽章は一気に飽きさせることなく音楽が進行したと思う。全曲演奏は70分。
前半に演奏されたラヴェル、12型という小編成ながら密度の濃い音楽である。ラヴェル独特の明るくかつ爽快な曲想が、このオーケストラの音の傾向にマッチしているというのもあろう。そして、ノットのラヴェルは東響との初顔合わせのときからよかったのであった。
https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-11041489196.html
この日のチケットは完売。ブルックナーということで(前日行った辻彩奈のリサイタル同様)中高年男性が多かった。会場には小泉純一郎元首相の姿も。
総合評価:★★★☆☆