東京交響楽団第721回 定期演奏会を、サントリーホールにて。

 

指揮:ドミトリー・マトヴィエンコ

 

ラヴェル:道化師の朝の歌(管弦楽版)―鏡より

ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)(ピアノ:高橋優介)

ベラルーシ出身のドミトリー・マトヴィエンコは1990年生まれ。2021年ニコライ・マルコ国際指揮者コンクール(デンマーク)で1位に輝いた俊英である。

そのマトヴィエンコ、2024/2025シーズンからデンマークのオーフス交響楽団(知らない…)の首席指揮者に就任するそうだ。デンマークのコンクール優勝なので、デンマークで人気があるということか。ちなみに、ニコライ・マルコ指揮者コンクールの審査員には、デンマーク国立響首席指揮者ファビオ・ルイージも名を連ねている。

 

前半はラヴェル。本来、ペトルーシュカが前半で、後半はツェムリンスキー「人魚姫」が演奏されるはずだったのだが、ツェムリンスキーがなくなりこのプログラムになった。

ラヴェル、若い指揮者らしくとても元気がよいのであるが、音の統制が取れておらず、うるさく感じられる部分もあった。まあ全般的には、良くも悪くもなく、普通の演奏というところだろうか。

 

後半はペトルーシュカ。こちらは、若くて生きのいいマトヴィエンコのアプローチがとてもいい結果を生んでいた。つい先日、巨匠シャルル・デュトワと新日本フィルの演奏を聴いたばかりだが、あちらが1911年版、こちらが1947年版という違いはあるにせよ、ちぐはぐ感があった新日本フィルの演奏よりも、はっきりとした明快な音楽になっていた東響の方に軍配が上がるだろう。トランペットのソロはローリー・ディラン氏、とても頼もしくいい音であった。

ピアノが指揮台目の前に配置されていて、ピアノの音がよく聞こえてくるのもよかった。

16型対向配置。

 

会場の入りはそれほどよくなかったが(7割ぐらい?)、日本で無名の指揮者ゆえ仕方ないところだろう。これが後半ツェムリンスキーだったら(クラオタは喜ぶものの)さらに客の入りが悪かったであろう。

 

総合評価:★★★☆☆