クァルテット・インテグラの演奏会をトッパンホールにて。

 

クァルテット・インテグラ

三澤響果(1st ヴァイオリン)

菊野凜太郎(2nd ヴァイオリン)

山本一輝(ヴィオラ)

パク・イェウン(チェロ)

 

ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10

バルトーク:弦楽四重奏曲第5番 Sz102

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 Op.59-3《ラズモフスキー第3番》

(アンコール)

スメタナ:弦楽四重奏曲第1番ホ短調「わが生涯より」〜第3楽章

 

トッパンホールにおける、クァルテット・インテグラのプロジェクト第1回。個人的には、チェロのメンバーチェンジ後、彼らの演奏を聴くのは初めてだ。

 

それにしても、すごいプログラムである。メインで演奏されてもおかしくない難曲が3つ並んでいる。これをまだ若い団体である彼らが演奏するというのは、とてもすごいことだ。

クァルテット・インテグラの演奏を聴くのは昨年の大晦日以来だが(そのときのチェロは、今回のパク・イェウンではなく矢部優典であった)、勢いがある尖った演奏は以前とは変わらないものの、若干その勢いで押すようなところがあって、やや単調に感じられたのは意外である。メンバーチェンジ後まだ慣れていないからなのか、それとも別の理由なのか。

 

ドビュッシー、かなり眠かったのであまりコメントできる立場にないのだが、フランス音楽的な明るさよりも、現代音楽に通じる精緻な構造を感じさせる表現だ。

バルトークも、民俗音楽的な歌謡性はそれほど強調されておらず、現代音楽に続くキレキレ感を前面に押し出したタイプとでも言おうか。

ベートーヴェンは、比較的慣れ親しんだこの曲ではあるが、やや焦点が合っていないというか、終楽章のクライマックスに向けて音楽が尻上がりに高揚していくところがなかったように感じられた。

 

アンコールは山本一輝による味のあるコメントのあと、予想外のスメタナ。トッパンホールの次なる彼らのコンサートは、スメタナなのだろうか?新メンバー、パク・イェウンによる冒頭のチェロが非常に深くいい音であった。

 

総合評価:★★★☆☆