読売日本交響楽団第638回定期演奏会を、サントリーホールにて。

 

指揮=ユライ・ヴァルチュハ

メゾ・ソプラノ=エリザベス・デション

女声合唱=国立音楽大学

児童合唱=東京少年少女合唱隊

 

マーラー:交響曲第3番 ニ短調

 

スロヴァキア生まれの指揮者、ユライ・ヴァルチュハが2年ぶりに読響に客演。前回はマーラーの9番であった。

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前回の9番同様、今回の3番も非常に見通しがよく、全体のバランスがよい演奏である。特段変わったことは何もしておらずオーソドックスな解釈であり、それが良い点でもあれば、物足りない点でもあろうか。しかし、指揮棒を置いての第6楽章、座席のせいか読響の弦が意外に薄めに聞こえるが、遅めのテンポながら淡々と進む音楽は、晩夏の寂しさを感じさせ、なかなか感動的であった。最後の音が消えたあとの長い長い余韻、昔だったらあり得ないことだが、素晴らしかったと思う。

第4楽章の歌手はエリザベス・デション。2012年、小澤征爾音楽塾の蝶々夫人でのスズキを聴いて以来である。深く味わいある声は、第4楽章の歌詞にぴったりであり、サントリーホールでも歌詞が比較的明瞭に聞こえるのはよかった。Pブロックに配置された東京少年少女合唱隊はいつもながらはつらつとした表情、女声の国立音大も佳演である。

第3楽章のポストホルンは元東響首席の佐藤氏。Pブロック左手のドアの向こうで演奏されたが、意外に音がこもっている。

オーケストラは管に少々キズが目立ったが、まずまずと言ったところだろう。指揮者がかなり音量を抑えるように指示した部分でキズがあったように聞こえたのだが気のせいか。原は16型通常配置。

 

Pブロックに合唱が配置されていたということもあるが、会場はほぼ満席に近い状態だった。

 

総合評価:★★★☆☆