アスミク・グリゴリアン ソプラノ・コンサートを、東京文化会館大ホールにて。

 

指揮:カレン・ドゥルガリャン

東京フィルハーモニー交響楽団

 

ロマンティック・アリアの夕べ

【第一部】

アントニン・ドヴォルザーク作曲

―歌劇「ルサルカ」

序曲

“月に寄せる歌”

 

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲

―弦楽のためのエレジー「イワン・サマーリンの思い出」

―歌劇「エフゲニー・オネーギン」

タチアーナの手紙の場 “私は死んでも良いのです”

ポロネーズ

―歌劇「スペードの女王」

“もうかれこれ真夜中...ああ、悲しみで疲れ切ってしまった”

 

アルメン・ティグラニアン作曲

―歌劇「アヌッシュ」

“かつて柳の木があった”

 

【第二部】

ジャコモ・プッチーニ作曲

―歌劇「トゥーランドット」

“氷のような姫君の心も”

―歌劇「マノン・レスコー」

“捨てられて、ひとり寂しく”

間奏曲

―歌劇「蝶々夫人」

“ある晴れた日に”

―「菊」

―歌劇「ジャンニ・スキッキ」

“わたしのお父さま”

 

(アンコール)

プッチーニ:トスカ〜歌に生き恋に生き

 

リトアニア生まれで父母がアルメニアにルーツを持つ美人ソプラノ、アスミク・グリゴリアンがリサイタル2回のために来日した。

グリゴリアンは2022年11月、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のコンサート形式「サロメ」でタイトルを歌ってわが国でも一躍脚光を浴びた歌手である。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12775249126.html

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12775508473.html

 

その彼女の2回のリサイタル、どちらも前半は同じプログラムでドヴォルザーク、チャイコフスキー、そしてアルメニアの作曲家ティグラニアン。今回1回目のリサイタルの後半はプッチーニである。

結論から言うと、グリゴリアンの芯がしっかりした声はクールで魅力的ではあるものの、いまひとつ盛り上がりに欠けるコンサートであった。本プログラムの最後が「私のお父さん」という、普通アンコールで歌われる曲で終わるとは…

前半の最後に置かれている、アルメニアの作曲家の曲は日本の民謡に近い作風であったが、正直全く才気が感じられない曲である。

トゥーランドットは、ドラマチックなタイトル役ではなくリリックなリューのアリアを歌ったのが意外。しかしグリゴリアンがリューを歌うとかなりドラマティカルではある。やはり後半のプッチーニの方がよかったが、グリゴリアンに向いているかというとわからない。一番彼女の声に合っていたのは蝶々さんだろうか。

 

12型(Cb5)を振ったのはアルメニアの指揮者、カレン・ドゥルガリャン。55歳ということだがとても病的でやばそうな人である。毒でも盛られたのか?と言いたくなる。覇気もないし、足が悪いようで椅子に腰掛けたままの指揮、歩行もままならず、カーテンコールでも舞台の袖に引っ込むことがなかった。その音楽は全体として音量が大きめで、起伏に富んだところがない。そんなわけでオネーギンのポロネーズにおけるトランペットなどかなりの音量で、それはそれで満足度が高かったのだが。

 

NBSのコンサートらしく、1階平土間の高い席はそれなりに埋まっているが、2階以上の席はかなり空席が目立つ。R・シュトラウスがメインになる2回目はどのくらい入るだろうか。

 

総合評価:★★★☆☆