東京春祭 歌曲シリーズ vol.40 オッカ・フォン・デア・ダメラウ(メゾ・ソプラノ)&ソフィー・レノー(ピアノ)を、東京文化会館小ホールにて。

 

ブラームス:

 わが恋は緑 op.63-5

 調べのように私を通り抜ける op.105-1

 永遠の愛について op.43-1

 失望 op.72-4

ベルク:

 私の両眼を閉じてください(1907)

《4つの歌》op.2 より

  眠ること、眠ること、ただ眠ること

  眠っている私を運ぶ

  今私は一番強い巨人を倒した

  森の日差し

マーラー:

 《リュッケルトの詩による5つの歌曲》

 《若き日の歌》より

  思い出

  別離

ワーグナー=リスト:イゾルデの愛の死

ワーグナー:《ヴェーゼンドンク歌曲集》

(アンコール)

マーラー:

 若き日の歌 第1集 より 第3曲 ハンスとグレーテ

 子供の魔法の角笛 より 第4曲 この歌を作ったのは誰?

 

ドイツの名メゾソプラノ、オッカ・フォン・デア・ダメラウのリサイタル。

彼女のオペラ出演、オーケストラとの共演は聴いたことがあるもののリサイタルを聴くのは初めてであったが、実に満足度の高い公演であった。ドイツ正統派の歌手による本格派のドイツリート。それに、選曲がとてもよく、大好きなマーラーのリュッケルト歌曲集、ワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲集があるのもいいし、リスト編曲版のイゾルデの愛の死のピアノ独奏あり。嬉しい限りである。

 

熟して深みと包容力がある声で、音量のコントロールが機敏であり、ボリュームを一気に上げても全く表現力に変化がないのは、いいオペラ歌手の条件であろう。ドイツ語の発声が自然でクセがないのはドイツ人だから当然ではあるが、やはり歌というのは言葉があって成り立つ音楽だとつくづく思う。マーラー、ワーグナーが今回のプログラムでは最も好きなのだが、ダメラウの声に最も合っているのはブラームスだったような気がする。

 

問題はピアノ伴奏。散漫で音の統制が取れておらず、ペダリングも甘い。ダメラウほどの歌手の伴奏者としてはちょっと…

 

アンコールはR・シュトラウスではないかとにらんでいたが、マーラー2曲であった。

 

総合評価:★★★★☆