アンサンブル・アンテルコンタンポラン I Classics of the 20th Century を、東京文化会館小ホールにて。
アンサンブル・アンテルコンタンポラン
指揮:ジョージ・ジャクソン
ヴィオラ:オディール・オーボワン
ファゴット:マルソー・ルフェーヴル
打楽器:オーレリアン・ジニュー
ハープ:ヴァレリア・カフェルニコフ
曲目
クセナキス:ルボン 打楽器ソロのための
ウェーベルン:9つの楽器のための協奏曲 op.24
リゲティ:無伴奏ヴィオラ・ソナタ(抜粋)
ヴァレーズ:オクタンドル 8つの楽器のための
ドナトーニ:マルシェ ハープのための2つの小品
カーター:ダブル・トリオ
ホリガー:Klaus-Ur ファゴット・ソロのための
ブーレーズ:デリーヴ I
ピエール・ブーレーズが1976年に創設した現代音楽のアンサンブル、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(EIC)が東京・春・音楽祭に登場。彼らの来日は2021年の夏以来となる。
この日は全2公演のうち1日目で、Classics of the 20th Centuryという副題があるとおり、まさしく現代音楽の古典となった作曲家たちのコンサート。現存する作曲家はホリガーのみである。
クセナキス作品はソロの打楽器奏者のみにより演奏される曲で、即興的に聞こえるがそうではなさそう。相当な技巧が要求されるであろう作品だ。ウェーベルン作品はこの作曲家らしい静寂を随所に感じ取ることができるが、この曲が90年前に書かれていたとは信じられないほど新鮮である。リゲティの無伴奏ヴィオラ・ソナタは普通に聴きやすく歌謡性が感じられる名作。ウェーベルンと同じ1883年生まれのヴァレーズの作品、こちらは100年前の作品だが、やはり受ける印象は極めて新鮮で革新的である。
ドナトーニ作品はハープ・ソロで演奏されるということもあってかなりとっつきやすい。楽器の特性を最大限に活かした繊細極まりない演奏。カーター作品はこの作曲家最晩年の作であるが、楽器の可能性をさらに追求する姿勢が感じ取れる。驚異的だったのはホリガー作品で、オーボエ奏者として名高いホリガーが、オーボエと同じリード楽器であるファゴットのためにここまで過酷な作品を書いていたとは…ブレスは少なくかなりきつそう。最後はリードを外して吹奏…。この曲芸的(であると同時に芸術的)な曲を演奏したのはマルソー・ルフェーヴル、ベルリン・フィルのカラヤン・アカデミーでシュヴァイゲルトに師事したそうである。
最後に演奏されたブーレーズ、何度も聴いているが何度聴いても新鮮(というか、耳に残らない…)。音が繊細でかつキラキラと光るのがこの作曲家の特徴と言ってよいだろう。
今回の演奏会で永野英樹が弾いていたピアノに刻印があったので、よく見たらタカギ・クラヴィアと書いてあった。自信はないがニューヨーク・スタインウェイのモデルBあたりか?そもそも文化会館のピアノでないのは、文化会館がプリペアド・ピアノ禁止だからだろうか。
さて2日目はフランスの現代作曲家たちによるさらに尖った作品群になるようで、楽しみ。
総合評価:★★★★☆