NHK交響楽団第2003回 定期公演 Bプログラム1日目を、サントリーホールにて。

 

指揮:トゥガン・ソヒエフ

ヴァイオリン:郷古 廉(N響ゲスト・コンサートマスター)※

ヴィオラ:村上淳一郎(N響首席ヴィオラ奏者)

 

モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K. 364

(ソリストアンコール)

モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 変ロ短調 K. 424 から第3楽章「主題と変奏」

 

ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

 

フランス音楽、ロシア音楽を得意とするロシアの名指揮者トゥガン・ソヒエフが、今回はドイツ・オーストリア音楽を振った。以前ベートーヴェンを振ったとき指揮棒を持っていたが、今回はモーツァルトもベートーヴェンも指揮棒なしである。

 

前半のモーツァルト。個人的に大好きな曲である。これが素晴らしかった。

冒頭の音が非常に引き締まっていて、そのうえで優雅、これは普通の演奏とは違うなと感じた。付点音符をかなり鋭く刻んでいて、速めのテンポで颯爽とした印象を与えている。優雅ではあるが、甘さはなく弛緩したところが一切ない。第3楽章のテンポはかなり速めだった。

ソリストの2名はN響の首席奏者ということでオーケストラの音に溶け込んでいる。弦の編成は8-6-4-3-2とかなり小ぶりである。

アンコールで2名のソリストが弾いたモーツァルトがまた楽しげで素晴らしい音楽であった。

 

後半は14型の英雄。ソヒエフはいつもながらの指揮姿で、オーケストラに細やかなニュアンスを伝える指揮姿である。演奏スタイルとしてはかなりオーソドックス。特段変わったことをしているわけではないし、テンポ設定もそこまで速くはない。音は引き締まっているが、バランス的には低音に寄っていることがなく、音に一定の明るさが感じられた。

 

この日のホルン首席は客演で、ネットで拾うと元東京フィル首席の森博文氏だそうだ。

コンサートマスターはトゥールーズ・キャピトル国立管の”Co-soliste”である藤江扶紀さん。トゥールーズ・キャピトル国立管は言うまでもなく、ソヒエフがロシアのウクライナ侵攻まで音楽監督を務めていた名門オーケストラである。そういえば、今年9月からそのトゥールーズ・キャピトル国立管の音楽監督に就任するフィンランドの俊英指揮者タルモ・ペルトコスキ(なんと現在23歳!)は、来シーズン(2024-2025)のN響6月C定期に登場する。

 

総合評価:★★★☆☆