坂本彩・坂本リサ ピアノデュオ・リサイタルを、ハクジュホールにて。
ラヴェル:マ・メール・ロワ ☆
シューベルト:幻想曲ヘ短調D940 Op.103 ヘ短調 ☆
向井響:交響的ソナタ(委嘱新作・世界初演)
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リスト:悲愴協奏曲 ホ短調♦
リスト:ドン・ジョヴァンニの回想♦
(アンコール)バッハ:主よ、人の望みよ喜びよ♦
※☆連弾♦2台ピアノ
第70回ミュンヘン国際音楽コンクール(ARD)ピアノ・デュオ部門3位という坂本姉妹。超難関ARDは3位でもかなりのものなのである。そして姉妹そろっての美貌。そして姉妹そろって日本棋院囲碁三段…天は二物も三物も与えたもうたのか。
さて、坂本姉妹の演奏を聴くのは昨年10月、ジョナサン・ノット指揮東響との共演によるモーツァルト「2台のピアノのための協奏曲」以来。あのときはオケとの共演だったから、純粋なデュオとしての演奏を聴くのは今回が初めてである。
姉妹デュオということもあって、やはり二人の音色はかなり近いものがあって統一感が取れている。二人が超個性的でバチバチと火花が散るようなタイプの演奏(ラベック姉妹がそういう方向性だったような気がする)ではなく、協調性があり呼吸がぴったり合っていて、客席で聴いていてもズレが全く感じられない。
ラヴェルでは音の透明感が際立っていたし、(今回初めて知った)シューベルトの傑作や、リストのドン・ジョヴァンニのテーマでは歌心が十分に感じられた。面白かったのは、姉と大学の同級生だという作曲家、向井響の作品で、いわゆる現代音楽の範疇を超えたユニークな作品で、このような新作でも抜群のテクニックで独特な世界を表現できるのが素晴らしい。もちろん、リスト演奏におけるテクニックも見事なものである。
連弾のとき高音が妹、低音が姉。2台ピアノでもステージに向かって左手が妹、右手が姉であった。
なかなか来る機会がないハクジュホール、なかなかいい響きのホールだ。
総合評価:★★★☆☆