東京交響楽団東京オペラシティシリーズ 第132回。

 

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ

ピアノ:ヤン・リシエツキ

 

メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」 序曲

ショパン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 op.21

(ソリスト・アンコール)

ショパン:夜想曲第20番嬰ハ短調(遺作)

 

ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 op.95 「新世界より」

 

先日、東京・春・音楽祭にて素晴らしいショパンを聴かせてくれたリシエツキが、今度はショパンの協奏曲を披露。しかし、この人結構長いこと日本に滞在している。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12797517377.html 

そのリシエツキが弾いたショパン、文句なしに素晴らしいものであった。完璧なテクニックであるが、ショパンの音楽が持つ叙情性と同時に、かすかな暗さが感じられるのがいい。そう、私はショパンの音楽の暗い側面を感じさせるピアニストが好きなのである。それにしても彼のタッチは正確で粒立ちがよく、そのうえくっきりと明瞭に聞こえてくるのが素晴らしい。アンコールはリサイタルで弾いた夜想曲。しっとりとした夜のたたずまい。えも言われぬ美しさだ。

 

前半1曲目に演奏されたのはメンデルスゾーン。ウルバンスキの指揮だと非常に繊細でスムーズな音楽になる。いかにもメンデルスゾーンの優雅な音楽だ。

後半演奏されたのは新世界。ウルバンスキは2017年にNDRエルプ・フィルと来日した際もこの曲を採り上げているが、ウルバンスキは米国でドヴォルザークの手稿譜を研究し、慣例で演奏されている部分を修正したということだった。今回も、その研究成果を演奏に反映していたと思われるのだが、聴感上特段変わった解釈をするということではない。明らかに通常と違うのは、第4楽章最後、壮大なスケールで金管がテーマを2回吹き鳴らすところで、ほとんどの演奏はテンポをぐっと落とすのだが、ウルバンスキは全くテンポを落とさずに進んで行った。これは、2017年のエルプ・フィルとの演奏のときも同じ。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12254619711.html

なお、第2楽章でイングリッシュ・ホルンが有名な旋律を吹くわけだが、ウルバンスキはイングリッシュ・ホルン奏者をステージ真横の3階Lブロックで演奏させていた。あの場所で演奏しても、しっかりとホール全体に音が行き届いていたと思う。

 

弦は1曲目と後半で14型(Cb7)、ショパンで12型(Cb5)。ホルン首席は元都響の有馬氏で、ホルンは全員がエキストラだ。

曲目のせいか、ピアニストのせいかわからないが、ほぼ満席。1階にやはりウルバンスキの奥様が座っていた。

 

総合評価:★★★☆☆