NHK交響楽団第1972回 定期公演 Cプログラム2日目を、NHKホールにて。

指揮:ファビオ・ルイージ

 

モーツァルト/交響曲 第36番 ハ長調 K. 425「リンツ」

メンデルスゾーン/交響曲 第3番 イ短調 作品56「スコットランド」

N響首席指揮者ファビオ・ルイージ、快進撃が始まっている。今回は彼が得意とする独墺系のみのプロ。

 

1曲目のモーツァルト。実にしなやかで、明るさに増して格調高い雰囲気が優先する名演だ。全体にもの悲しい雰囲気が漂っているが、極めて自然な音楽の運びである。

ルイージのモーツァルトは聴く機会がそもそも少なく、特に交響曲は聴いたことがないし、ネットを検索してもCDはもちろん、映像もなければ演奏記録も出て来ない。シュターツカペレ・ドレスデン、ウィーン響、トーンキュンストラー管、MDR響など、独墺のオーケストラのシェフを務めていたわけだから演奏経験がないはずはないと思うのだが… N響のシェフになって、演奏機会が増えることを期待したい。

 

2曲目のメンデルスゾーン、しなやかさや柔らかさに加えて、ルイージらしい情熱的な表現が加わっており、こちらも見事な演奏である。全曲がアタッカで演奏されていて一体感が高められていたが、第2楽章の躍動感は胸がわくわくするようだし、クラリネットのソロ(松本健司氏)もよかった。ちなみに、メンデルスゾーンの交響曲もルイージの録音はなく、私自身実演で聴いたこともなく、演奏された記録もネット上で出て来ない。なぜだろう…

 

N響は今更ながら驚くほど上手い。ルイージの解釈を見事に体現していると言っていいだろう。弦のサイズはモーツァルト12型、メンデルスゾーン16型。なおルイージは対向配置を採らずコントラバスが右手に来る通常の配置を採る。

 

客席は1階平土間がほぼ満席、2階のサイドは私の席から見る限り後方がかなり開いていて、3階後方自由席はいっぱいだった。

 

総合評価:★★★☆☆