大阪フィルハーモニー交響楽団第558回定期演奏会(1日目)を、大阪フェスティバルホールにて。

 

指揮:シャルル・デュトワ

ハイドン/交響曲 第104番 ニ長調 Hob.I-104

ラヴェル/組曲「クープランの墓」

ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)

 

85歳の巨匠シャルル・デュトワ健在!

かつてN響の音楽監督であり、退任後も毎年N響定期を振りに来日していたデュトワがセクハラ事件で欧米の楽壇から干されたのが2017年。その後2019年に大阪フィルで日本の楽壇に復活したものの、その後はコロナ禍で来日が中止になったり、来日したものの無観客になったり、ご本人が来日直前にコロナに罹患したりで我々音楽ファンの前になかなか姿を現してくれなかったのだが…

ほぼ3年ぶりに登場したマエストロの指揮姿は、驚くほど昔と変わらぬものであった。85歳とは思えぬほどに足腰もしっかりしているし、相変わらず腕を高く上げて左右の手で異なる表情付けをする華麗なバトンテクニックは健在。デュトワはどのオーケストラを振っても独自の音色を紡ぎ出すことができる希有な指揮者であるが、今回もまさにそれを痛感させられた。

1曲目のハイドンは12型。ハイドンは下手な指揮者がやったら四角四面でつまらない演奏になるのだが、デュトワが振るとどうしてこうもエレガントになるのだろうか。ティンパニは意外に硬質な音であった。

2曲目のラヴェルも12型。快適なテンポで颯爽としたスタイルで、優雅なことこのうえない。オーケストラの響きにもう少し深みは欲しいところであるが、それでもデュトワらしい垢抜けたラヴェルであったことは間違いない。

 

後半は16型に拡大したペトルーシュカ。ピアノを弾いたのはソリストとして活躍する北村朋幹。6月の新日本フィル特別演奏会でもラヴェルのピアノ協奏曲で共演するピアニストである。

ペトルーシュカの変拍子、デュトワの鮮やかで流麗な指揮を見ているとそれだけで華麗な音が聞こえてきそうなくらいである。大阪フィルがデュトワの華麗な棒に完璧に応えるほどリズムのキレがよかったわけではなくアンサンブルの精度もまあまあではあったが、それでもちゃんとデュトワの音楽になっていたところは素晴らしい。それにしてもデュトワのストラヴィンスキーはエレガントで洗練されている。8月のセイジオザワ松本フェスティバルにおける春の祭典も今から楽しみだ(あちらはオーケストラのレベルが抜群に高い)。

 

月・火2日間の公演だが、1日目である月曜日は満席までは行っていなくて、8割程度の入りだろうか?

 

総合評価:★★★★☆