NHK交響楽団第1944回 定期公演 Bプログラム2日目を、サントリーホールにて。
指揮:ファビオ・ルイージ
ヴァイオリン:フランチェスカ・デゴ
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品6
(ソリスト・アンコール)
コリリャーノ/レッド・ヴァイオリン・カプリス ― 第4変奏、第5変奏
チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調 作品64
次期首席指揮者ルイージ、今回11月の来日2つ目のプログラムである。
前回の東京芸術劇場におけるC定期の際は、指揮者が最初に登場して最後に退場するという例のヘンテコなスタイルだったが、今回のサントリーホールにおけるB定期では普通の登場方法に戻っていた。コロナ対策のこうしたやり方については、正直さっぱり意味がわからない。
前半はパガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番。この曲、実演で聴く機会は意外に少なくて、個人的には2007年の庄司紗矢香以来人生で2回目ではないだろうか。
本来、独奏はニ長調で書かれているが管弦楽パートは変ホ長調で書かれているという作品で、作曲者はスコルダトゥーラによってソロを変ホ長調で演奏することを意図していたそうだが、この曲を変ホ長調で弾けるヴァイオリニストはいないそうで、現在ではオーケストラ・パートもニ長調にして演奏される。ニ長調でも、ソリストが超絶技巧を要求されるのは言うまでもない。ソロ・パートのすごさに比べて、オーケストラ・パートは冒頭の序奏からしてもあまりにダサいというか…安っぽいのもこの曲の特徴だ。
今回のデゴの演奏、超絶技巧の作品だからまあ仕方ないのかもしれないが、結構不安定な印象が強く…どうもふわふわとしていて確固たる表情というのがないのは残念。もともと音の線が細いというのもあるだろう。まあ、以前聴いた庄司紗矢香の演奏がどんなだったか、もう覚えていないし、実演でのパガニーニの協奏曲の演奏というのはこんなものなのかもしれない。録音では五嶋みどりの若き日の演奏が強烈だったと記憶する。
ちなみにデゴは夫であるイケメン指揮者ダニエーレ・ルスティオーニとこの曲をDGに録音している。以前夫婦共演で聴いたショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲、私はあまりいい評価をしていなかったが。
https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12174730986.html
デゴの演奏について言えば、アンコールで演奏されたコリリャーノの方が鬼気迫る演奏でよかったと思う。オーケストラは12型。
デゴの使用楽器はフランチェスコ・ルジェーリ(1697年製)とのこと。
後半はチャイコフスキーの5番。
今回のルイージのチャイコフスキー5番、完成度の高い演奏であった。第1楽章の冒頭からしばらくはかなりゆったりしたテンポであったが、途中からテンポを一気に上げていくあたりはいかにも彼らしいアプローチである。
第2楽章のホルンソロは客演奏者で、読響の首席松坂隼氏。普通に吹ききったけれど、どうも不安定感があり聴いていてハラハラする…
第4楽章冒頭の決然たる弦の主題が、そーっと静かに開始されたのは驚き。こういう解釈は聴いたことがなかったと思う。
ルイージがチャイコフスキーを演奏するイメージはあまりないのだが、2019年に首席指揮者を務めるデンマーク放送響と来日したときもこの曲を取り上げている。あのときは指揮棒を持っていたはずであるが、今回は指揮棒なしでの指揮だった。ある程度ファジーなところがあるデンマーク放送響におけるアプローチと、機能性が高くモダンなオケであるN響におけるアプローチは、若干異なるのかもしれない。
https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12446601542.html
弦は14型。
ルイージは2022年9月開始の次期シーズンからN響の首席指揮者となるが、現在彼は
デンマーク放送交響楽団 首席指揮者(2026年まで)
ダラス交響楽団 音楽監督(2029年まで)
ヴァッレ・ディートリア音楽祭 音楽監督
を務めていてこれらのポストとの掛け持ちとなる。ちなみに、ダラス響は全米で最も指揮者の報酬が高い部類のオケだと記憶する。
総合評価:★★★☆☆
