読売日本交響楽団第238回日曜マチネーシリーズを、東京芸術劇場コンサートホールにて。

 

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ

箏(こと)=LEO

 

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲

藤倉大:箏(こと)協奏曲

ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73

 

読響首席指揮者ヴァイグレの1ヶ月にわたる日本滞在も、今回の演奏会が最後である。とはいえ、一旦欧州での仕事をしに帰るものの、8月23、28、29日の公演のためにまた日本に戻ってくるのだから、いかに彼が日本での仕事を大事にしているかがわかる。

 

冒頭はロッシーニの序曲。オペラ指揮者として広汎なレパートリーを持つヴァイグレであるが、イタリアオペラのレパートリーはそれほど多くはないようで、プッチーニの西部の娘、蝶々夫人、オテロ、そしてこのセビリアの理髪師ぐらいのようだ。

狭いピットの中ではなく、大きなステージ上で12型のオケを振るヴァイグレの音楽、実に豪快でのびのびしているのがよい。読響の木管セクションから聞こえる「歌」がとてもよい。

 

続いて演奏されたのは、箏奏者LEOを迎え、そのLEOの委嘱により藤倉大が書いた箏協奏曲。

LEO、本名は今野玲央というそうで、日米ハーフのイケメン奏者である。そのハーフのイケメンが日本の伝統楽器である箏を弾くというアンバランスがなんとも面白い。

さすが最先端を行く作曲家藤倉大の作、箏の演奏効果が半端ではなくかっこよく、西洋楽器の世界におけるヴィルトゥオーソに引けを取らない超絶技巧が魅力である。箏という楽器の演奏技法も知らないし触ったこともないのだが、この曲がとんでもない技術を要することは素人にもわかる。

和楽器を西洋音楽に採り入れた先駆的な例としては武満徹のノヴェンバー・ステップス(琵琶と尺八)があまりに有名であるが、箏とオーケストラの作品だと三木稔の作品が有名。新実徳英の二十絃箏とオーケストラの作品は初演を聴いたことがある。

藤倉作品は14型。ちなみに作曲者は会場にいなかったようだ。この曲、CDになるそうなのだが、オケは読響でも指揮は鈴木優人らしい。

 

後半はブラームス2番。6月の演奏会におけるブラームス1番が名演だったそうなのだが、この2番も壮大なスケールの素晴らしい演奏である。肝心のホルンがやや不調だし、全般的に金管がやや精彩を欠くも、14型オケを開放的に鳴らし、読響の艶やかな弦をしなやかに歌わせていて、実に気持ちのよい演奏であった。

 

変貌しつつあるヴァイグレと息があった読響、これからも目が離せない。

演奏会が終わって会場から出ると、ものすごい音がしていた。豪雨と雷鳴。

 

総合評価:★★★☆☆