読売日本交響楽団第609回定期演奏会を、サントリーホールにて。

 

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ

 

グルック(ワーグナー編):歌劇「オーリードのイフィジェニー」序曲

フランツ・シュミット:歌劇「ノートル・ダム」から間奏曲と謝肉祭の音楽

フランツ・シュミット:交響曲第4番

 

本来はソリストとしてウィーン・フィルのダニエル・オッテンザマー(Cl)、ソフィー・デルヴォー(Fg)を迎えてR・シュトラウスの二重小協奏曲が演奏されるはずであったのだが、この二人の来日が不可能となってしまった(当初3日予定の待機期間が14日になってしまって、スケジュール的にどうしようもなくなったそうだ)。

そのようなわけで2曲目がシュミットのノートル・ダムからの音楽となった。

 

新しいチラシに「次はシュミットを照らせ」とあるのだが、ドイツ・ロマン派でマーラー、ブルックナーに次いで人気が出る可能性がある作曲家として、私はマックス・レーガーとフランツ・シュミットを挙げたい。さすがにマーラーとブルックナーを上回るほど人気が出ることはないかもしれないが。

フランツ・シュミット(1874〜1939)はマーラーがウィーン宮廷歌劇場の監督だったころ、その下でチェロを弾いていたそうだが、マーラーとは折り合いが悪かったらしい。現ウィーン国立音楽大学の学長にまでなり、かのヘルベルト・フォン・カラヤンが同大学に在籍していたときの学長だったと記憶する。

2曲目に演奏された「ノートル・ダム」からの音楽、間奏曲はとても有名で、カラヤンがシュミットの曲で唯一演奏した曲であるが、そのカラヤンの演奏は本当に素晴らしい。残響が美しいベルリン・ダーレムのイエス・キリスト教会でベルリン・フィルの豊麗かつゴージャスな弦セクションを思いっきり鳴らした心地よい演奏である。そのカラヤンの演奏に比較してしまうと、今回の読響の演奏はあれほど豊麗に鳴っていないのは、まあ致し方ない。間奏曲の前後に演奏された謝肉祭の音楽は、オペラの場面を彷彿とさせる生き生きとした音楽。ちなみにこのオペラの全曲盤はクリストフ・ペリック指揮ベルリン放送響のものがあってキャストもなかなかすごい。

後半に演奏された交響曲第4番。とても意外なことに、自分はこの曲を実演で聴くのは初めてだった。かつてクリスティアン・アルミンクが新日本フィルで演奏した交響曲第2番を聴いたことはあったのだが。

シュミットの交響曲、最近ではパーヴォ・ヤルヴィがhr交響楽団(旧フランクフルト放送響)と全集を録音し、ファビオ・ルイージもかつてMDR響と全集を録音しているが、4番に関しては、なんと1971年にズービン・メータがウィーン・フィルを振った録音があるのだ。とても悲しげなトランペットの旋律が全曲を支配するが、耽美的と言える響きを随所に聴くことができて、後期ロマン派の濃厚な薫りが散りばめられた佳作である。

ヴァイグレの指揮、前回のワーグナー、シューマン、チャイコフスキーの演奏会ではタクトなしだったのだが、今回は全ての曲でタクトを持っての指揮。今回の曲目、オーケストラのメンバーもほとんど演奏したことがない曲目だったと思われるが、そのこととタクトは関係しているだろうか?

トランペットやホルンのソロも100%ではないがなかなかの水準であったし、何より木管と弦楽のセクションのレベルが高く素晴らしい演奏であった。もちろん、ウィーンのあの馥郁たる香りがあればこの曲はさらに魅力を増すのだろうけれど。

 

最初に演奏されたのはグルックのオペラの序曲をワーグナーが編曲したもの。クレンペラーの演奏で予習したのだが、調性の関係からだろうかただでさえ陰鬱なテイストの音楽をクレンペラーは遅めのテンポでやるものだからますます重苦しい印象の音楽になっていた。それに比べると、ヴァイグレはもう少し快活なテンポ設定で極めて穏当な表現であったと思う。

 

弦は14型。都響はここのところずっと16型でやっているのだし、もう16型に戻してもいいのではないだろうか。

 

それにしても今回のプログラム、変更はあったとはいえ、ヴァイグレの今回の来日公演のなかでは最も意欲的なプログラムであったと思う。ぜひシュミットは2番も採り上げてもらいたいものだ。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-11096569935.html

 

最後に、2名の団員に花束贈呈があったがクラリネット首席の藤井洋子さんが退団、ヴァイオリンのエルダー団員(嘱託ということか?)の望月寿正さんが最終公演とのこと。お疲れ様でした。藤井さんの素晴らしいソロ、いくつも心に残っている。

 

総合評価:★★★☆☆