都響スペシャル2020を、サントリーホールにて。

 

指揮/大野和士

ヴァイオリン/矢部達哉

チェロ/宮田 大

ピアノ/小山実稚恵

 

ベートーヴェン:ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲 ハ長調 op.56        

ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 op.55《英雄》

 

なんと都響を聴くのは2月2日以来。こんなに長い間都響を聴かなかったのも久しぶりである。緊急事態宣言後の都響の演奏会は会員優先で、非会員の私はチケットを取ることができず、今回も追加販売でなんとか手に入れた次第。

 

日本のオケの演奏会、オケのメンバーが登場するときは拍手がないのが通例であったが(例外はミューザ川崎の東響のみ)、緊急事態宣言後の演奏会はもう音楽が聴けるだけでうれしいということもあり、ほぼ全ての演奏会でオケメンバー登場とともに拍手が起きている。今回の演奏会も、オケ登場とともに拍手あり。

 

前半の三重協奏曲。つい最近聴いたな、と思ったのだが、それももう2月のことだった(アンネ=ゾフィー・ムターの来日公演)。

https://ameblo.jp/takemitsu189/entry-12576786669.html

ムターの濃厚な音色が他の奏者を引っ張っていたそのときの演奏に比べると、今回の演奏はかなり薄めに感じられ、曲の弱さがそのまま伝わってきたような感じがするのだが、まあそれも仕方なかろう。あのムターの演奏が普通ではなかったのだ。そして、久々にコンサート前に食事をしてしまったものだから、前半は眠くてほぼ仮眠状態。よってコメントは不能である。すみません。前半は弦が12型対向配置。この曲では最も活躍するチェロの宮田大の若々しい音色がとてもいい。

 

後半は英雄。こちらは14型対向配置。これはなかなか素晴らしい演奏であった。

昔ながらの巨匠風の堂々たる風格のアプローチで、都響の硬質で重量感たっぷりの低音がずっしりと響く。第1楽章コーダ、トランペット(655小節~)のファンファーレはかつての慣例通り最後まで吹き鳴らしていて、このアプローチは現存指揮者ではティーレマン、バレンボイム、インバル、ヴァイグレなど少数派。大野もこれに加わった。オーケストラは100%状態がいいとは言えないが健闘、広田氏のオーボエは相変わらず驚くほど素晴らしい。いつもほれぼれする…

 

しかし今日はもう少しステージに近い席で聴きたかった。2階センターは音が遠い。そして、近くに始終鼻すすっているオッサンがいて辟易。都響の会員のマナーは基本的に驚くほどいいのであるが。

 

後半の聴き応えある演奏ゆえ、オケが引いたあとカーテンコールやまず、大野和士とコンマス矢部さんがふたりで登場した。

 

総合評価:★★★☆☆